軽井沢の南の風越地区にあるタリアセンは、塩沢湖という人工湖を中心
にしたリゾート・パークです。湖の周囲に気持ちのよい散歩道があり、
イギリス庭園や、美術館、レストランなどもあります。
あちこちの木陰に可愛い妖精が潜んでいます。
タリアセンというのは古代ウェールズの詩人の名で、「輝く額」という意味
だとか。建築家ライトが主催した創造的集落の名前でもあるそうで、ここ
はそれから名付けられたのでしょう。いくつか素晴らしい建物があります。
その内でも最も印象深かったのは睡鳩荘。まどろむ鳩の館というすてきな
名前の臙脂色の洋館。上の写真はその遠景です。関西学院や明治学院
のチャペルなど、大正から昭和期、多くの建物を設計したヴォーリズという
人の手になるものです。
このヴォーリズという人、大変多才な人で、実業家としては、あのメンソ
レータムで知られる近江兄弟社を作り、音楽家としても、宣教師としても
活躍したそうです。
睡鳩荘は三越や朝日生命の社長だった朝吹常吉の別荘で、娘の朝吹登水子
が暮らしていたとか。彼女が訳したフランソワーズ・サガンの数々の小説を
若いころ耽読した私には感慨深いものがありました。ああこんなすてきなと
ころで住んでいたから、あんなに洒落た感じに訳せたんだななんて思って。
元々は軽井沢の他の場所にあったのを、最近ここに移築したようです。
館内で假屋崎省吾の向日葵をテーマにした華道展が開かれていました。