『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『私の中のあなた』を観た]

2009-10-21 23:49:27 | 物語の感想
☆仕事が忙しく、昨夜観たのだが、明日も忙しいので、簡単に書く。

 話題作だが、公開からかなりの日にちが経っている。

 正直、観ないでも良い・・・、と思っていた。

 あまりにも予告編で煽り過ぎていた。

 <ワーナーマイカル>なんて、特別予告編第一弾、特別予告編第二弾と続いていた。

 その度に、小利口そうな主人公のべシャリを見せられ、子供らしい子供好きの私としては、特には見たくない作品の一つとなっていた。

 しかし、昨夜、遅ればせながら観た。

 よく出来た作品であった。

 感動した。

 難病物なので、簡単に涙が出ると御思いかもしれないが、そんな直接的なものとは一味違う。

 心に深く突き刺さり、涙こそは出ないが、強烈に心を揺り動かされた。

 くだんの、難病の姉を持つ、ドナーとして遺伝子操作で生まれたアナ(アビゲイル・ブレスリン)の、「姉のために生きているのではない!」と言って反抗する小利口さは、あくまでも、家族の一人の個性にしか過ぎず、それさえも、後に大きな秘密を抱えていることが分かる。

   ☆

 この作品の魅力は、両親、息子、難病の姉、ドナーとしての妹・・・、家族それぞれが、それぞれの相対化された「正しさ」を持っているということだ。

 私は「相対化」を批判することが多いが、この作品においては、それが素晴らしい効果を生む。

 アナから、「ドナー拒否」の弁護を依頼される弁護士、

 (どうしても、姉・ケイトを永らえさせたくて、アナにドナーを強いる母親との)アナの裁判での判決を下さなくてはならない女性裁判官、

 そもそも、ケイトを救うために、遺伝子操作でドナー適合する兄弟を出産することを諭した医師・・・。

 それぞれ、目の前の難問に真摯に答えを出したに過ぎないのだ。

   ◇

 何よりも割を食うのが、母親(キャメロン・ディアス)である。

 ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)のために、もう一つの命・アナに艱難を強いる存在は、物語の悪役のようだ。

 でも、母親としての立場を、考えるに辛い。

 究極の二者択一で、言い訳もせず、答えを出して言ってるに過ぎない。

 だからこそ、末期症状にあったケイトは、最後に、母親と二人の時を過ごすのだ。

   ◇

 何よりも、難病にかかったケイトが、ちゃんと青春を過ごせたことが素晴らしい。

 次第にボロボロの体になっていくケイトが、テイラーと言う恋人(美しい瞳を持っている)と、温もりを確かめ合う関係になれたのには、さすがに涙がこぼれた。

 最期の最後まで笑顔を忘れなかったケイト・・・、とてもチャーミングだ。

   ◇

 見終えた後では、アナ役のアビゲイル・ブレスリンが、非常に高度な役を演じていたことが分かる。

 この子は、利発だが、子供に過ぎなかったのである。

 だが、状況が、小利口な見かけを必要としていたのだ。

 あなたが、一番、辛かったね・・・。

   ◇

 見どころは、父親や息子の優しさにもある。

 二時間弱の上映時間に、多くの多角的な視点を内包している。

 傑作である。

 必見の作品だ。

                                     (2009/10/21)

[映画『仏陀再誕』を観た]

2009-10-21 01:40:12 | 物語の感想
☆<幸福の科学>の映画である^^;

 普通なら敬遠するのだが、予告編での、そのなかなかの映像のクオリティや、声優陣の豪華さに惹かれて、「あるいは良作?」の思いもあり観てきた^^;

 ・・・前回の選挙で、<幸福の科学>は国政に打って出た。

 雑誌『正論』で、保守派の中村黎氏が、「誤解を受けるかもしれないが」の前置きをしつつ、その選挙戦での手法の真っ当さを肯定していた。

 私も、ラジオで聞く、幸福実現党のCMを聞き、その政策や理念を「直球」で訴える姿勢に、ちょいと感心したものだ。

   ◇

 それはさておき、この映画、思ったより面白かったが、思ったよりつまらなかった。

 そのつまらなさは、先に見た『ATOM』とどっこいどっこいだった。

 ただ、『ATOM』が、表現に古く、ドラマツルギーにおいては破綻がなく、作品として評価できるのに対し、

 『仏陀再誕』は、そのドラマ性において、崩壊していた。

   ◇

 物語は、学校新聞の記者・天河小夜子が、現世を徘徊する霊の姿が見えるようになり、

 その原因を、テレビで見た、「仏陀の再来」と称す創価学会の池田大作会長への取材をする中で明らかにしようとする。

 しかし、小夜子の元カレのユウキが、「アイツは危険だ!」と、自分らの属する宗教団体<幸福の科学>の大川隆法こそが「仏陀の生まれ変わりなんだ!」と言い、

 日本掌握を目論む池田大作と大川隆法の、闇と光の戦いが始まるのだった・・・。

   ◇

 ドラマが崩壊しているのは、そのテーマが、長々と抽象的で、全てを、言葉においてだけでも詰め込もうとしているからだ。

 小夜子やユウキの、物語的な成長を通して、テーマが語られるのならば、こちらも俄然ノリノリで観られるのだろうが、

 物語と全く有機的なつながりがなく、主人公たちとの問答もなく、一方的に大川隆法が記憶に残らない能書きを垂れまくるだけなのである^^;

 講演会ノリである^^

 もう、チャンスとばかりに、エンディングテーマ「悟りにチャレンジ!」にまでも、多くの情報(教義)を詰め込む姿勢に、

 そのエンディングテーマが今風のスローバラードであるが故に、悲しさもひとしおだ^^;

   ◇

 主人公の女の子は可愛いけど、他のキャラクターともども、あまり個性が感じられなかった。

 ただ、色んなファッションに身を包むので、そこでかろうじて、ちょっとだけ萌える^^;

 似たキャラクターデザインの『チョコレート・アンダーグラウンド』のキャラにも、いまいち無個性を感じたが、それ以上である。

 元カレ役のユウキも、『BLEACH』の主人公の<もどき>みたいだった。

 池田大作や大川隆法の絵柄は、『北斗の拳』と言うよりも、アニメとしての絵柄劣化の『蒼天の拳』レベルのラオウやトキのようであった。

 お目当ての三石琴乃演じる女優・マリも、『蒼天の拳』レベルの作画であった^^;

 ただ、魅力的に見れないこともない。

 この人だけが、女優業を続けていく上で、具体的な苦悩を抱き、作中、大川隆法に救われたようだからだ・・・。

 そのような、判定の難しい雰囲気が、作品全般に漂う。

 なお、マリの女優業苦難のエピソードは、<幸福の科学>による、創価学会系芸能人への批判を示していよう。

   ◇

 池田大作の野望は、東京を襲うUFOの大群と、メディア占拠の中での日本全土への大津波と続く。

 その二つの、あまり面白くないスペクタクル映像を見て、飽きていた私は、「さあ、これにてエンディングだ^^」と思ったら、更に「ミッション」が続くので、ややゲンナリした。

 大川仏陀と対決する最後の大ボスの正体がダイバダッタなら面白いのに…、などと思いつつも、当然そんなことはなく、なおも大川隆法は一方的な説教を続け、物語は終わる・・・。

 最後のほうの、天使を従えた、大川仏陀の曼荼羅映像には苦笑し、

 毒にも薬にもならない「空気映画」を見てしまった後悔が募った・・・。

 ・・・長い映画であった。

                                     (2009/10/21)