minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

ブランフォードのクリニック

2006年05月07日 | ライブとミュージシャンたち
 石森管楽器店で「ブランフォード・マルサリスのクリニック」が急遽行われる事になり、お誘いを受けて出かけました。でも朝から喉がとても痛く、だる~い。風邪の一種かなあ?

 会場に30分前に着くと、サックスを抱えた若本達がぞろぞろと・・・。クリニックなんて久々だ。自分が何度かやった事はあっても、人のは大学時代のリーブマンクリニックの時以来だわ。どんな事をやるのか、興味深々。しかも生音を聴けるんだから。

 遼介にも「今日、凄いサックス奏者が来るから、クリニックに行ってみない?」と誘ったのだが(本人も少しだけ興味はあったようだが)イーグルの練習があるかも知れないので、と断られてしまった。「それって、何するんだよ?サックスの掃除の仕方とか教えてくれんの?」「はあ~?」

 そう言えば思い出した。大学時代のリーブマンのクリニックを受講しに六本木ピットインへ出かける直前に母が「リーブマンのクリニックに行ってくるね。」という私に向かって「どこの洗濯屋?」ああ、世代を越えて血は争えない。クリニックとクリーニングをすっかり間違えるおばあちゃんと息子。

 くだらない横道にそれちゃったけど、とにかく結論から言うと最初から最後まで未来のサックス奏者達のマニアックな質問を受けてそれに答える質疑応答の形。手に手にサックスを持ってきている若者達、サックス吹かせてもらえるチャンスはなかった。最後にソプラノとテナーでバラッドとブルースを演奏してくれたのが唯一の救い。クリニックってこんなもんだったかなあ?5000円はちょいと高いと思いますが、満足そうにサックス抱えて雨の中を帰っていく若者もいたのでこれはこれでいいのかもね。

 ブランフォード45歳。ダブルリップ奏法に高校生の時に変えたそうだ。内容をかいつまんでご紹介します。

Q「高音が細く、コントロールがうまくできません、どうすればいいでしょう?」
A「一週間に一度2時間練習するよりは、1日30分でも毎日練習しなさい,そうすれば6週間後には良い音がでるようになっている、って私が保証するよ。」

Q「作曲するときって、コードから作っているのでしょうか?」
A「最近の若い世代のサックス奏者の曲はエチュードのような機械的なものが多過ぎる。自分が作曲するときはメロディを一番大切にしているんだ。」

Q「サックスの音色をよくする為には?」
A「良い音のCDを沢山聴く事だね。ベン・ウェブスター、ロリンズ、C.ホーキンスとかね。」
「コルトレーンは?」「彼の音は細いので音楽は素晴らしいけど、私は好きではない。」

Q「ビッグバンドでリーダーやってますが、曲をやるときに何を大切に指導すればよいでしょうか?」
A「私は○○大学でやはり教えているけど、最近の若者は音楽を聴かないね。譜面をただ吹く事はできても、その時代背景だとか、その人達の演奏などを沢山聴いて理解しなくては、その音楽を忠実に演奏できないよ。沢山音楽を聴かせなさい。」

Q「作曲されるときに、スランプとかはないのですか?そんな時はどうしてますか?」
A「毎日スランプさ(苦笑)。どうすればそれが抜けられるか、なんて誰にもわからない。でも自分は民族音楽を沢山聴くようにしているんだ。ある日突然、ふっと体から尺八の音が浮かんで来てそれをもとに一曲書いてしまう、って事もある。がむしゃらにエチュードをやったっていいし、人それぞれ工夫していけば良い事だ。」

歳と共に体調管理もおろそかにしないよう、ジムでのトレーニングもやっているそうです。特にテナー(12kg)を肩から下げる訳だから、肩を鍛えるためにいろいろやっているようでした。サックス奏者のみなさん、参考になりましたか?

ジミヘンの思い出

2006年05月07日 | 音楽&CD
 BSで[IMAGINE]と[ジミ・ヘンドリクス at ワイト島ライブ]を立て続けに観た!ああ、NHKの受信料まじめに払っていてよかった~。ジョン・レノンとギターの神様ジミ・ヘンドリクス、彼らの音楽は自由と平和に繋がっていた。そしてかなりフリージャズ。自由音楽。私はやはりフリー音楽と一生つきあいたい、と確信した夜でした。

 高校3年の時に英言語学東大大学院生のWさんと出会った。Wさんは団塊の世代。ジミヘンの熱狂的ファンでコルトレーンの「至上の愛」を私に教えた人でもある。当時、初心な私は彼から多大な影響を受けた。彼との出会いは野方図書館。そこで受験勉強を友達としていたのだが、あまりにもおバカな英語の勉強をしていたのを横で見て、たまらなくなり「俺が英語の勉強見てやろうか?」と声をかけてくれたのだった。無料英語塾は友人たちに広まり、図書館近くの彼のアパートに夜な夜な5、6人の友人たちがたむろする日々。ああ、懐かしい。そんなWさんは大の音楽好きで私がサックスを吹いてジャズを齧り出したのを知って大喜び。コルトレーンとジミヘンの凄さを私に説いて聞かせてくれたのです。

 今は岡山のどこかの大学で教鞭をとっていらっしゃると思うのですが、もう一度御会いしたい大事な人・・・彼の愛したジミヘンの事も当時は「ただのサイケな変なギター」って感じでよくわからなかったのですが(高校生でフリージャズを理解しろっていってもね)映像を見て、改めてジミヘンの凄さがわかりました(って20年も経ってるよ~)。それにしてもジョンもジミヘンも天国、エリスも。天才は長生きできないのかな?