minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

春一番とハードボイルド

2008年02月23日 | 映画、本、芝居関係
もの凄い風が東京の街を襲った。一番風の強い時間帯に利樹はウォーキングに出かけて行った(汗)。私は少し弱まってからお買い物に出かけ、無事に自転車も倒れることなく帰って来れた。ふ~~。それにしても凄まじい春一番。

最近、図書館から見つけた一冊の本を読んでいる。原寮(本当は寮のウ冠がない字です)の「ミステリオーソ」というエッセイ集。

もともと九州出身のジャズピアニストで「ニュージャズシンジケート」を法政大学でプロデュースしたり、黒澤映画関係の助監督をやったり(シナリオライターになりたかったようだ)、レコード会社に2ヶ月だけ勤めたりしながら、ハードボイルド作家になっていく青春時代が短編で綴られている。モンク、エリントン、コルトレーン、黒澤映画、チャンドラー、ルイ・マル、アランドロン、と様々な話が入り交じっているのが興味深い。団塊の世代らしいが、こんなピアニストがいたなんて全く知らなかった・・・。でも知り合いが沢山登場するので、彼の名前を一度も聞いたことがなかったのが不思議なくらいニアミスしている。直木賞も受賞しているので、知らないのは私だけかしら・・・?

私自身、ハードボイルド小説にあまり興味がなかったが、この本を読むと、チャンドラーを手本に作家になろうと決意した作者が

「ハードボイルドとはもともと固いゆで卵の事らしく、流動食のごときヤワな文章と違ってボソボソとと喉を通りにくいが、それだけ含蓄も滋養もある、という意味だろうか。使われた当初はすべてのジャンル名と同じく『蔑称』だったに違いない。ジャズ、歌舞伎、純文学どれも元来は蔑称である。(中略)「大いなる眠り」の冒頭に、ある豪邸を訪れた探偵マーロウが、素行の悪い末娘から「背が高いのね」と横柄な態度で声をかけられる場面がある。これにどう答えるか・・・(中略)これにしかるべき応対ができるかどうかで、読者はその小説を判定する。(略)答え方をひとつでもあやまれば、その瞬間に読者は「こんなものはハードボイルドではない」と断定してしまう。『ハードボイルド』とは、あらゆる難問に答えていく小説だと私は考えている。」

というくだりを読んで、私も少しだけハードボイルド小説というものを読んでみたくなった。まずはチャンドラーからかな?マーロウが少女にどう答えたか・・・気になって眠れない。