minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

選ばれし者、グリオ

2009年03月28日 | 映画、本、芝居関係
昨日のpit inn「春の祭典」楽しかった~~~~。元ちゃんとコスマスの2パーカッションっていつ聴いても最高。ステージで踊りたくなる(踊れないけど)。次にこの2人でやれるのはいつだろう。新澤君は前日もグレッグのトリオでピットインだったらしく、2連チャンで絶好調、ピアノの線を切っていた。イエイ!

ステージの横でみんなのホットな演奏ににまにましながら「グリオ」という言葉が頭の中を駆け巡っていた。

一昨日のレイトショー「ユッスー・ンドゥール/魂の帰郷」。グリオの家系に生まれたユッスーが故郷であるセネガルのゴレ島を出発して黒人奴隷のルーツを探りながら、ヨーロッパ、NY、そしてまたゴレ島へ戻るドキュメント映画。ゴレ島は何万もの奴隷たちが家族ばらばらされ世界各地へ運ばれて行った船の出発した場所だった。偉大なるアフリカの悲劇。彼らを唯一救うものが音楽だった。歌であり、太鼓のリズムだった。ジャズ、ラテンのリズムのルーツは全てアフリカなのだ、という事を再確認しながら、ジャズの音楽家たちと演奏していくユッスー。

共演するミュージシャン達がみんな素晴らしい。盲目のピアニスト、モンセフ・ジュヌ。ヤマハのエレピをホテルに持ち込んで練習していた。ファラオサンダースのところで叩いていたドラマー、アイドリス・ムハマド。ゴレ島でジェンベを叩く若者たちに「(素晴らしい音楽のルーツに対して)君たちのおかげだ、ありがとう。」と共演したあと深々と感謝する。

ハーモニカのグレゴア・マレ。初めて聴いたけど、パット・メセニーやマーカスのバンドでも演奏している人らしい。その熱い熱い演奏スタイルが心を打つ。「いつでも、手を抜く演奏はしない。どんなときでも最高の演奏を心がけるよ。」うんにゃ。その通り!!

そしてNYでレコーディングするシーンが出て来るのだが、何だか見覚えがあるぞ???と思って観ていたら「Double Rainbow」を録音したブルックリンのスタジオ「Brooklyn Systems two」だった!おおお、懐かしい。しかもエンジニアのJoまで映っている!!そこでアミラ・バラカ(リロイ・ジョーンズ)の詩の朗読まで聴けるなんて。カーネギーホールで使っていた古いピアノ、まだ同じかしらん?

ミュージシャンってそれ自体がグリオ(Story Teller)の宿命を持っている。世界中を駆け巡って「大切なもの」を伝えて行けるのはミュージシャンに与えられた宿命。そんな原点を知る事のできる映画だった。今日まで(しかも9時)しかやっていないけど、もし行けるようでしたら、本当にお薦め。サントラ盤もDVDも見つからないけど、ぜひ欲しい。そして明日の日曜はminga3でサンジャックです。普段より少し早い7時半開演なのでお気をつけて。

写真提供:津田啓三郎