minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

キューバ音楽旅行記20 SINTESIS40周年記念ライブ

2017年01月04日 | 
ソーライクエルボのブッキングマネジャーWoldoさんに、出演を断りに行くつもりだったが痛みがだいぶ弱くなってきて「せっかくキューバジャズフェスに出演できるチャンスをゲットしたのに………」という気持ちも強くなり、RIOが「母ちゃんが演奏できないぶん、俺と父ちゃんでカバーするからやろうよ!」

出演時間の確認をするためにWoldoさんに会いに行き、Woldoさんは「ええ?そんな手で大丈夫か?」とずいぶん心配してくれましたが、「大丈夫。サックスは吹けるんです!」と無理に指を動かして見せた(苦笑)。

私たちの演奏はたったの30分間だけなのでなんとかなるだろう。本当はとっても不安だったけれど、翌日は痛みもまた減って少しだけ練習ができた。ただ、左手の小指を使うと激痛が走る。むかし、洋輔さんの著書で「今日はA(ラ)の音を使わずに演奏する」なんて荒技をやっていたのを思い出す。サックス奏者にしかわからないだろうが、最低音のBとBbが使えないのだ。私たちの演奏はフリージャズとは違うから演奏できる曲が限られてしまうが、みんなに我慢してもらうことになった。コンサートは3日後だ。

明日からキューバのジャズフェスが4日間行われる。町中の会場がジャズのコンサートで溢れる。今年で32回目になるが、今年はアメリカ国交回復第一弾としても注目を集めていた。12月1日からパンアメリカンやユナイテッッド航空が直行便を運行しだしたのもあって、町中が11月に比べて観光客(特にアメリカ人)が多くなり、英語も飛び交うようになっていた。

パーカッションの河野さんの情報で「今日の夜、SINTESISというこちらの人気バンドの40周年記念野外ライブがセントロの教会で無料で行われます。おすすめですからぜひ行ってみては?そのあとに私たちのところに来れますか?明日からのジャズフェスがフリーパスで入れるように手配しておきましたので。」

なんと素晴らしい!!!ありがたい提案にさっそくSINTESISのライブ会場へ1時間前に到着。予想どうりの人、人、人。ものすごい人気バンドなんだな。

40年も続くってすごいことだ。ヨルバ系のリズムを使った歌(コーラス)のグループでジャンルで言えばロックになるらしい。一曲目が始まった途端、鳥肌ものだった。そして、入れ替わり立ち替りゲストが入りながらどんどんとステージが進行していく。どの曲も素晴らしいのだ。わ〜、これはCDを買って帰らねば。感動していると、一曲だけサックスが登場した。あれれ?とよく見ればセサル・ロペスだった。さすが超売れっ子、セサル。でもPAがサックスの音をほとんど拾えずに、生音で演奏しているようだったのがちと残念だったが、SINTESISという素晴らしいグループのライブが聴けたことは本当にラッキーだった。



このあと、河野さんのいるコイーバホテルへ行くと、ミュージシャンパスを3枚、ちゃんと用意してくださっていた。

ああ、明日からジャズフェスが始まる。楽しみだあああああ。




Sintesisはyoutubeにたくさんあるようです。これもその中の一つ。ぜひごらんください。














キューバ音楽旅行記19 キューバの医療制度

2017年01月04日 | 
ハバナに戻ってあと1週間、というところで転んで手首を痛めてしまったドジな私。前夜、痛くて眠れず、朝から移民局へVISAの申請に行き(1ヶ月以上の滞在は延長ビザが必要になる)、昼過ぎに宿のおじさんに病院の場所を教えてもらいトシキと行ってみることにした。

幸い、ハバナ大学のすぐ裏手に大きな病院があった。ただ、大きすぎて入り口や受付がどこにあるのかわからない。RIOがいないので、言葉がうまく伝わらず、約1時間ほど病院の敷地内をたらい回しに・・・汗。「仕方ないわね・・・」と言いながら女医さんが紙になにやら書いてくれた。それを持っていろんな人を訪ねて行くと・・・ようやく見つけ出した入り口(特に受付などない)でインターン(?)の青年がこのメモをみるとすぐに「着いておいで」と言って医師のいる部屋をノック。少しだけ待ってから入るように指示される。

医師が診察してくれたあと、また同じ青年が「こっちだよ。」とレントゲン室の前まで案内してくれる。診察中もずっとそばにいて、何から何まで面倒見てくれるなんて親切なシステムだな〜。順番待ちの人達もいるのにこんなにスムーズに診てもらえるなんて。旅行者だから特別扱いなのかもしれない。レントゲン室で自分の順番を待つ間も頭から血を流しているおじさん、生きているのがやっと、というおばあさん、などが次々にレントゲン室に入っては目の前を通り過ぎていく。ああ、私の手なんか軽いほうだ、こんなんでここにいてもいいのかしらん?と申し訳ない気持ちに。

レントゲンの結果、親指付け根あたりにひびが入っていることがわかった。そのままギブスを作って包帯で固定。「あの、指先だけは使えるように巻いてください。」とお願いしてみる。先生方は苦笑していた。



そのまま、診察してくれた医師がわら半紙のきれっぱしのような紙にちゃっちゃっと何やら書き込み私に渡してくれた。「安静にしていれば15日くらいで治ると思うよ。痛み止めの薬を帰りに薬局へ寄ってもらって行きなさい。いつ帰国?来週月曜?では日曜にもう一度きてください。」

そしてサポートの青年は出口まで見送ってくれ、この先の通りに薬局があるから、と親切に教えてくれたのでした。あれ?料金を払う所がなかった。そっか、医療はこちらは無料なんだ・・・・なんてありがたいシステムなんだろう。怪我のおかげで、こんなキューバ医療の一端を垣間見ることができたのは幸運だったかもしれない。ゲバラがもともと医学生だったからこういう素晴らしいシステムができあがったのだ。

痛み止めの処方された薬は一瓶(20錠)で40円くらいだった。

「リオ、すごく親切でイケメンのお医者さんだったのよ〜。」と戻って写真を見せると「え?どれが?このヒヨコ豆の方???」



ありがたい医師になんてことを!と思ったけれどもうこの先生の顔がヒヨコ豆にしか見えなくなってしまった(汗)。


ギブスで固定したおかげで少し痛みが治まった。でもサックスは吹けるかなあ・・・・・。やはり無理っぽいので夜になったらソーライクエルボに挨拶に行くことになっていたが、やはり出演できなくなりました。と謝りに行くしかないか。(つづく)