minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

キューバ音楽旅行記23 バテリスタたちの夢の競演

2017年01月06日 | ライブとミュージシャンたち
ようやくキューバ日記も最終回になりました。ここまでよくお付き合いくださりありがとうございます。

怒涛のジャズフェス4日間のうち、あと残り2日間。さあどれを聴きに行こうか、と迷うほどだったのですが、チューチョ・バルデスのコンサートの次に特筆すべき貴重なコンサートが3日目に!

その前に昼の11時から海外のアーティストたちとのコラボバンドが次々に出演する野外ステージに行きましたが、これもどのバンド(4バンド聴いたのですが)も素晴らしかった。フィンランドのサックス、コロンビアのボーカルを中心としたもの、単独で来てこちらのバンドとコラボレーションするものが多いようでしたが、どれも念入りなリハーサルをしていないはずなのに・・・素晴らしいアンサンブル。中にはFourやIn a sentimental moodがちゃんと弾けない大御所ベーシストもいましたが(苦笑)。

その中の一つのバンドの動画






そして、夜はドラム好きの私には本当にヨダレ物のライブが「Teatro Nacional」ホールで行われるというので、混雑するだろうから1時間前に到着。するとほとんど誰もいない。???会場と同時に入ってパスを見せると一番前から2列目に座れ、と指示される。あれ〜?こんなに良い席に座っていいのかな?喜んでいると「会えましたね。」と河野さんがやってきた。パーカッショニストだから聴きにくるのも当然ですね。今までのキューバ滞在を楽しいものにしてくださったのはこの河野さんのおかげ。たくさん積もる話やらお礼やらしたかったけれど、次々にミュージシャンたち(出演者)が通るたびに河野さんに挨拶していくので忙しそう。それでもびっくりしたことに、トシキの高校の一つ上の先輩であることが判明。なんて世間は狭いのだろう!!!

話をもどして、気がつけばあっという間に会場はお客様で埋め尽くされていました。会場が暗くなると・・・舞台から足音が聞こえてきた・・・・。

このコンサートはRuy Lopez Nussaというドラマーが主催しているもので、彼が総監督。音楽学校の教師たち、そして卒業生たちで構成されている。オープニングアクトはこの音楽学校の生徒たち(高校生)がみごとなボディパーカッションを披露。



2曲目からはキーボードがファルコン、シタール、トランペットと総監督のRuyのドラムでエルクンバンチェロ。



次はRuyの息子とRamses RodriguezのドラムDuo。ただのバトルではなく、緻密に譜面に書かれたものとソロを交互に行う感じ。

次にギターのエミリオとロドニーバレットdrが出てきて、高校生たちの選抜チーム5名と共演。エミリオはハードロックギターを弾かされていたw。



そして、最後に極め付け、お待ちかねの6人のドラマーとティンパニの饗宴。動画をお楽しみください。キューバNo.1(ロドニー)とNo.2(オリバー・バルデス)が並んで叩いています。Oliverの右隣がRamses Rodriguezですが、彼は翌日のフォンセカpのグループのドラマーでした(エミリオはこのドラマーが一番好きだそう)。



至福の饗宴動画


いやあ、凄すぎました。翌日のロベルト・フォンセカpのグループも素晴らしかったのですが、あまりにこのコンサートが強力すぎて霞んでしまいました(苦笑)。

本当にキューバのバテリスタたち、恐るべし。キューバの音楽学校ではクラシックしか教えないようです。

そして難しい試験を通ったものだけが音楽学校に入れ、さらに成績が優秀でないと卒業できない。そのあとは、合格したものだけが「国家公務員」となって国からお給料をもらえる(ほんのわずからしいけど)。セサル・ロペスクラスになれば、家も国が提供してくれるらしいけれど生活は大変です。(従って海外遠征で稼ぐ)

さらに河野さんから聴いた情報だと、驚いたことにこのキューバジャズフェスは国が主催しているので出演者には一切ギャラが発生しないんだそう。ひえ〜〜〜。

一つだけ変わったことといえば、プログラムや座席に「Blue Note」のロゴを見るようになった(スポンサーがついた?)ことだそうです。もしかすると、少しづつアメリカ資本のシステムが導入されていくのではないかしらん。良い意味でも悪い意味でも。ギリギリの変化する前のキューバが見れただけでも幸せでした。

ありがとう、キューバ。出会った全ての友人、そして素晴らしい音楽家たち。さらにさらにこの旅を企画し、チケットや宿の手配など面倒なことをいろいろと引き受けてくれたトシキ、通訳でいろいろと助けてくれた息子RIOに心から感謝です。

キューバ音楽旅行記22 TReS@キューバジャズフェス

2017年01月06日 | 
キューバのジャズフェスティバル2日目。朝(11時ころ)から様々な場所で無料のライブが行われていた。

私たちは出番が10時すぎなので、昼間は十分時間がある。「テアトロ・ベルトルト・ブレヒト」という会場でエミリオ(セサル・ロペスのグループでギターを弾いていたマエストロ)のトリオ「 Natural Trio」を聴きに行く。





エミリオの才能はギターを弾くことだけでなく、曲作りにもある。すべて彼のオリジナルなのだがどの曲もポップで格好いいのだ。これをシンプルなパーカッションと歌うようなベースの3人で奏でる音楽はいつまでも聴いていたい気持ちの音楽だった。でも30分であっという間に終了。

この次に出てきたバンドは若手バンドで、昨夜のテレンスのようにサックスソロにエフェクターをかけまくっていた。めちゃくちゃ上手いサックスだったのにもったいないなあ。やはりこういう音楽は苦手だ。さっさと会場を出ると、出口でエミリオたちとばったり。

エミリオはこのあと、2本、セサルとのギグがあるそう。頑張ってね〜。と超売れっ子ギターリストのエミリオと別れる。「聴きにいけないけど、きみたちも素敵なライブを!」



いったん家に帰ってリハーサルをしてから10時にライブハウスのソーライクエルボへ向かう。すでに入り口に長蛇の列ができていて、そこをすりぬけて行くとWoldoさんがこっちにおいで、とPAのそばのテーブルに案内し「何飲みたい?」と飲み物まで用意してくれた。

1バンド目は結構大所帯でバタドラムを叩くおじいさんがリーダーのグループ。サックスが2人、トランペットと豪華なホーンセクション。だったがKiller Joeをチャチャで演奏したり、だらだらと続くソロ・・・あまり期待した音楽とは違った。バタドラムもほとんど叩かなかった。コンガのソロだけは秀逸だった。



いよいよ私たちの番がきた。もう11時を回っている。でもお客様はほとんど帰らないのでほっとするw。海外からの旅行者が大半だ。マイクはいらない、とアップライトベースにだけPAを使用し、サックスは生音で演奏開始。PAのお兄さんがこのステージ写真を撮ってくれました。ありがたい。






腕の包帯がきになるけれど、まあ、とりあえずリオとトシキが私をかばって演奏してくれたのでなんとか無事終了。お客様もヤンヤの喝采。これでもう少し手が動けば・・・・ないものねだりはよそう(苦笑)。

マネジャーやバーテンダーたちも私たちの演奏を食い入るように聞いていた。終わるとWoldoさんも大喜び。お客様はこのセットが終わると半分以上が帰って行ったけれど、もう一つバンドが出るんだよね〜。深夜までやるというのは本当にすごいなあ。と思っていたら、さきほどエミリオたちの後に演奏していた若手バンドだった。最初の出だしからさきほどのコンサートと全く同じだったので、さっさと帰宅することに・・・。


こうして長い長い1日が終了。もう演奏しなくていいので、残りの4日間、音楽聴きまくるぞ〜〜〜!!!