C型肝炎ウイルスに対してのインターフェロン療法は、私が医学部の学生だった頃治験がされていたのでしょうね。卒業してすぐ、保険適応になり、抗ガン剤として認識されていたインターフェロンが肝炎の治療に使われると、びっくりしたものでした。インターフェロン自体は、体で作られる物質の一つであり、インフルエンザなどのウイルスにかかったとき体がたくさん作り発熱などを起こしてウイルスを排除するものなんですよね。それが、C型肝炎ウイルスはうまい具合に体にインターフェロンを作らせずに住み着くことができる。だから、体の外からインターフェロンを投与して、C型肝炎ウイルスを排除するって考え方でできた治療法なんです。
1992年2月 インターフェロン療法の6ヶ月投与が始まりました、これは筋肉注射です。静脈注射のタイプは6週から8週という投与期間でした。全国的には一生のうちで1度だけのものというしばりで行われていたため、複数回の治療は原則認められないというものでした。自治体によっては、複数回の治療ができたこともあり、可能な限りウイルスを排除することが努力されました。
静脈注射タイプの場合は、一日2回に分けた方が効果があるなど、今から思えば苦しい戦いでしたが、みんながどうやるといいかと頑張っていました。
このころは、まだウイルスのタイプなどが分かっていなかったので、IFNが効きやすい人たちを集めた場合と、効きにくい人を集めた場合で効果が全然違ったものでした。その後ウイルスの型や量によって効果が違うことが分かるようになりました。
2001年12月には、やっと、リバビリンの併用療法(イントロンとレベトール)が保険適応となり、それまで、高ウイルス量の場合には1割に満たなかった効果が、3割弱になりました。しかし、その分副作用は強くなっていたと言えます。
2002年2月 インターフェロンの単独療法の6ヶ月縛りがなくなりました。これにより、長期間インターフェロン療法を行うことが可能となりました。ネオファーゲンのように、炎症を抑えることを目的にしたり、発癌を抑制することを目的としてインターフェロンを投与する可能性がでてきたことは、画期的なことでした。
2003年12月 週一回投与のペガシスが承認、48週投与が基本となりました。この間週3回投与だったインターフェロンが週一回で済むようになったと喜ばれました。しかし、血小板減少が予想以上にでることがあり、採血によるチェックが義務づけられました。これが、足かせになっている場合もありますが、副作用も週3回のときよりは少ない感じで、少量長期投与向きと言えるインターフェロンの出現でした。
2004年12月 レベトールのあいかたのイントロンのペグ化をしたペグイントロンが承認。半年投与だった併用療法が48週投与が基本となり、ウイルス除去率もはじめて治療を受けるセロタイプ1の人では、5割前後となりました。
2005年4月 インターフェロンの自己注射が承認されました。これにより、通院困難な方へのインターフェロン療法のチャンスが増えました。しかし、自己注射はなれるまでは、患者さんにとっては辛いものです。
2006年4月 ウイルスが消える可能性の高い一部の肝硬変の人に、フェロンというインターフェロンが適応になりました。
このように時代と共に進歩してきています。肝硬変へのインターフェロンの併用療法も治験が進んでいます。肝癌を作らないでいけるようみんなが頑張っているのが、わかります。しかし、世界はもっと先に行っている、日本は負けられないんですよね、ほんとは。