肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

なぜ行動するのか

2009年03月01日 | 患者さんとの関わり
いろんな活動を通して、いろんな人と出会ったり話したりします。そして、どうしてそんなに頑張るのか、どうしてそんなに急ぐのか、いろんな疑問を聞かれることがあります。
私自身なんでだろうって、考えると。どうしようもなく、いま、できることをすることが大事だという衝動がそうさせているってことしか無いのです。どうして、そういう衝動が生まれてくるか。それは、いろんな理由があるのだと思います。
自分が、医者という仕事を選んだ理由は、病気で困っている人、お金がなかったり、田舎であったりして医者にかかれない人のために医者になりたいと思ったのが原点です。そして、肝臓病が、本当に肝臓をたくさん診ている専門医が少なく、治療法も患者の思いをなんとか叶えようという方法もいろんなパターンがあるのが現状です。ですから、患者さんと関わる中で何が大切かを感じることが必要なんだなあと思うのですが、いつも患者さんに満足させてあげられていない部分があります。そんななかでもなんとか近づきたいと思う気持ちがあることが今の自分かなって思います。でも、疲れたりするとこんなこともできないのかと悲しくなったりもします。

医者になってから、たくさんの患者さんとお別れをしてきました。このことも、いまの肝臓患者さんを少しでも早く、1人でも多くもっと助けてあげられるようにしたいという気持につながってるのだなと思います。俺のような患者さんをひとりでも助けてあげてねとか、自分の体を使ってもっといい治療を開発してくださいとか、亡くなっていくときに私に投げかけていった言葉がたくさんあります。もっともっとつらい思いをしない人を増やせるように、幸せになれる人を増やしていけるように、みんなが良かったと笑っている世の中に近づいて欲しいから、今行動しないわけに行かないんだなとも思います。

心もからだも限界になっていくこと、あります。そんなときは、ごめん休ませてと心の中で思う自分がいます。
先生倒れないでね、体を大事にしてねといわれるたびに、ごめんね心配かけてと思う自分がいます。そう言ってくれる患者さんのために、今自分ができること将来も自分がしなければならないことを、理想を思い描いてがんばっているんだなと思います。
自分が幸せでいるために、みんなに幸せになって欲しい、そんな面もきっとあるんでしょうね。

慢性肝炎の治療は、かなり確立してきたと言えるかもしれません、しかし、いま、肝癌や肝硬変でつらい人たちをもっと本気で早急に助けられる方法はあるのです。死んでいく人よりも生き残る人を優先するという理屈かもしれませんが、死んでいく人を思って頑張っている人は、そのおかげで生かされていることに気付いてほしいと思うのは、私だけではないような気がします。
肝臓病だけではありませんが、ひとりでも多くの人が救われること、どの病気からでも改善することはしていって欲しい。どれが先、誰が先になるかを思うよりも、誰でもいいからひとりでも多くの人が救われて欲しい。それが原点なのかもしれません。