肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

脂肪肝対策血液データの見方 22分 と にこたま療法 10分 動画 2021年4月15日

2021年04月15日 | 医療講演や歌の集いの動画
脂肪肝対策血液データの見方 22分 2021年4月15日


脂肪肝対策にこたま療法編10分版 2021年4月15日


 
元気で長生き医療講演 in 札幌 10名参加 脂肪肝エコー体験1名脂肪肝疑い0
○4月15日(木) 午後2時から40分 
テーマ 脂肪肝対策で元気に!血液データの見方脂肪肝を見つけるために
肝臓の数値が異常なしでも油断は禁物、正常範囲の方でも注意すべき検査値の見方を説明します。是非検査結果を持参してお聞き下さい。
場所 水色の木もれ陽 研修センター
住所 札幌市中央区北11条西15丁目2-1
    桑園メディカルプラザ3F
共催 肝臓友の会はるにれ会 肝がん検診団
後援 北海道肝炎患者対策協議会
参加無料 申し込み不要です
問い合わせ先 
肝がん検診団(留守番電話) 011-728-1008

B型肝炎治療、新機序薬の開発に期待 メディカルトリビューンから

2021年04月15日 | 学会研究会報告新聞記事など
メディカルトリビューンの記事から武蔵野日赤の黒崎先生の記事が載っていました。
新しい機序の薬がどんどん開発されて実用化に向けて進んでいる。安全にB型肝炎ウイルスの排除が実現するならこんなに嬉しいことはないですねえ。期待したいです。

B型肝炎治療、新機序薬の開発に期待
2021年04月14日 16:00
 直接作動型抗ウイルス薬(DAA)の登場により、C型肝炎ウイルス(HCV)感染者の大部分ではウイルスの完全排除が可能になった。一方、B型肝炎ウイルス(HBV)感染については治療が大幅に進歩したものの、ウイルスの排除はまだできない。しかし、新機序薬剤の開発が相次いでおり将来的な治療には希望が持てるという。B型肝炎治療の進歩について、武蔵野赤十字病院(東京都)副院長の黒崎雅之氏に解説してもらった。また、今年(2021年)1月に改訂された『B型肝炎治療ガイドライン(第3.3版)』(以下、GL)の改訂ポイントについても聞いた。
ICIによるHBV再活性化に注意を促す
 日本肝臓学会は今年1月にGLを改訂し、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療に伴う免疫関連副作用によるHBVの再活性化、ステロイドによるHBV再活性化についての記載を追加した。
 近年、さまざまながんに対してICIが使用されており、肝がんに対しても使えるようになった。抗がん薬など免疫を抑制する薬剤を用いるとHBVの再活性化が起こることは以前から知られており、旧GLにも記載されていたが、ICIの投与によってもHBVが増殖する症例の報告があった。そうした事例に対し警告を発する意味合いから、現時点で判明しているエビデンスを整理して記載したという。
 黒崎氏は「ICIによるがん治療において、ICIそのものあるいはICIで副作用が発現した場合に使用するステロイドよってHBVの再活性化が起こる可能性がある。そのため、十分注意して使用していただきたいとの主旨で、今回のアップデートとなった」と述べた。
新機序薬開発の途中経過は良好
 B型肝炎患者では、症状が落ち着いたり寛解に至ることはあるが、体内にHBVが潜んでおり、抗がん薬治療などで再活性化するケースがある。そのためHBV感染者では、症状の消失後に内服薬などによる治療を行ってもHBVの完全排除はできない。
 B型肝炎治療は、当初はインターフェロンの注射剤で効果はあまり高くなく、経口の核酸アナログ製剤ラミブジンの登場によりウイルスの増殖を抑制できるようになった。画期的な治療法の出現であったが耐性ウイルスが問題となり、エンテカビル、テノホビル(TDF)、テノホビルアラフェナミド(TAF)の3種の薬剤が使えるようになって、ようやく安全、確実にHBVの抑制が可能になった。黒崎氏は「以前に比べたら現在の治療は格段の進歩を遂げており、治療が必要な患者は迷わず服薬する時代になった」と述べている。しかし、治療としてはまだ完成形ではないという。
 現在使われているB型肝炎治療薬は、ウイルスの増殖過程である逆転写を抑制する。同氏は「これまでとは異なる機序の薬剤でないとHBVは排除できない」と指摘。「幸い、新機序薬の開発は現在盛んに行われている」と説明する。HBVが肝細胞内に侵入するのをブロックする侵入阻害薬、肝臓内でHBV遺伝子が増殖する際に遺伝子そのものを破壊するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)治療、低分子干渉RNA(siRNA)、ウイルス粒子が形成されるのを抑えるキャプシド集合阻害薬(CAM)などが開発中である(図)。

図. HBV複製機構と新規治療薬の作用機序


 
(田中靖人. 日本内科学会雑誌 2018; 107: 32-37)

 同氏は「これまでとは異なる段階をブロックすることでHBVの完全排除を目指せる。進行中の複数の試験が成功すれば、より深い効果が見込まれ完全排除が達成できるのではないか。いずれも結果が出るまでにはあと数年かかるが、第Ⅰ相、第Ⅱ相試験など途中経過は良好で、うまくいく可能性は高いと思う」と期待を込める。
病状進行の抑制が重要

 黒崎氏は「新機序の薬剤が使用できるようになると、治療のコンセプトがこれまでとは一新される。現在、C型肝炎ではウイルスの完全排除が可能なため、感染者は全て治療するが、B型肝炎では治療すべき患者と治療が不要な患者を見分けて、必要性が高い患者のみ治療を行う」と説明。「状態が安定しているHBVキャリアーに対して治療せずに様子を見ることになっているのは、患者負担を考慮するためだ」と述べた。

 B型肝炎では治療薬によるウイルスの完全排除が見込めず、投薬や通院を一生続けることが大きな負担となるため、治療の必要性と患者負担のバランスを取っているという。同氏は「短期間でウイルスの完全排除が可能な薬剤が出てくれば、キャリアーに対しても治療を行うことになるかもしれない。B型肝炎の治療や患者ケアのシステムが大きく変わる可能性がある」と展望している。

 肝がん発症者は減少しているものの、B型肝炎ではウイルスが完全排除に至らないため、発がんの可能性はなくならない。同氏は「肝硬変まで進行すると病状が改善しない患者もいる。病状が進行する前の、可能な限り早期に効果的な薬剤で肝疾患を抑えていくことが重要である」と述べている。(慶野 永)