NAFLD(非アルコール性脂肪肝)って、アルコールを飲まない人の脂肪肝でも死亡リスクがあがるという報告。糖尿病の方の寿命が縮むのも同じようなことが背景にあるからなんでしょうね。肝臓以外のがんが含まれているところが、肝臓専門医にとっては悩ましい。。。全身のチェックが更に重要となってきます。認知症や他の病気も引き起こしやすいでしょうから、肝臓を元気にすることをテーマに頑張るのが一番と思うようにします。
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NAFLDは軽度でも死亡リスクを上昇 2020年10月26日 11:45
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肥満者に多く、欧米では成人の約25%が罹患しており、慢性肝疾患の最多原因となっている。米・Massachusetts General HospitalのTracey G. Simon氏らは、スウェーデンの全国登録の肝組織学データを用いてNAFLDと死亡リスクとの関連を検討。死亡率は重症度に従い上昇するが、軽症の脂肪肝のみでも死亡リスク上昇と関連するとGut(2020年10月9日オンライン版)に報告した。
○病理学データに基づく初の人口レベル研究
NAFLDの組織学的な死亡予測因子として、肝線維化の進行と肝硬変が重要であることは、以前の小規模臨床研究で示されていたが、人口レベルで肝臓の組織学的データを解析した研究はこれまで存在しなかった。
今回の研究は、NAFLDによる疾患負荷が増大していることを受け、スウェーデン・Karolinska Institutetと共同でスウェーデン全国を網羅する包括的な組織病理学コホートESPRESSO※のデータを用いて実施された。同コホートは200万人超の組織病理学データを集積しており、患者、死因、処方薬、がんなど、同国のさまざまな全国登録との紐付けが可能である。
Simon氏らは、1966~2017年にスウェーデンの全病理学研究室28施設に提出された肝生検標本から、組織学的にNAFLDが確認された患者1万568例のデータを抽出。NAFLDのステージにより①単純性脂肪肝②非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のうち線維化を伴わないもの③非硬変性の線維化④肝硬変−の4つに分類して年齢、性、暦年、居住地をマッチさせた一般人口4万9,925人(対照群)と比較した。
○脂肪肝のみでも死亡リスクは1.7倍
中央値で14.2年の期間中にNAFLD群では4,338例が死亡し、対照群に対するNAFLD群の全死亡率は有意に高かった〔1,000人・年当たりの死亡数:対照群16.9人、NAFLD群28.6人、群間差11.7人、調整済みハザード比(aHR)1.93、95%CI 1.86~2.00、図-A〕。
図. 対照群に対するNAFLD群の累積死亡率
(Gut 2020年10月9日オンライン版)
対照群に対するNAFLD群における死亡率の超過は、単純性脂肪肝のサブグループから既に見られ(1,000人・年当たり8.3人、aHR 1.71、95%CI 1.64~1.79)、非線維化NASH(同13.4人、2.14、1.93~2.38)、非硬化性線維症(同18.4人、2.44、2.22~2.69)、肝硬変(同53.6人、3.79、3.34~4.30)とステージが進行するにつれて増大した(傾向性のP<0.01、図-B)。
ステージ進行と死亡率増大の関連は、単純性脂肪肝を参照群とした場合でも同様であった(傾向性のP<0.01)。
○肝外がんと肝硬変が死亡率増大に寄与
NAFLD患者群における死亡率超過の寄与因子は、主に肝外がん(1,000人・年当たり4.5人、aHR 2.16、95%CI 2.03~2.30)と肝硬変(同2.7人、18.15、14.78~22.30)で、心血管疾患(同1.4人、1.35、1.26~1.44)と肝細胞がん(HCC:同1.2人、11.12、8.65~14.30)の寄与度は比較的低かった。
筆頭研究者のSimon氏は「今回の研究は、詳細な肝組織学的データを用いてNAFLDが全死亡リスク増大に寄与することを初めて全国コホートにおいて確認した研究である。これらの知見は、標的を絞り込んだ介入法の開発によりNAFLD患者の死亡率を低下させる方策に活用されるべきである。NAFLD患者は急増しており、NAFLDから肝硬変への進行および肝外がんを予防するための公衆衛生策が必要である」と述べている。
研究責任者で同研究所のJonas F. Ludvigsson氏は「スウェーデンの全ての病理学部門にコンタクトを取ることにより、NAFLDを含むさまざまな消化器疾患の検討が可能な全国レベルの消化器組織病理コホートを構築できた。ESPRESSOコホートを活用して今年(2020年)に発表された研究は、今回のNAFLDと死亡リスクに関する研究で17件目である」と述べている。
※ Epidemiology Strengthened by histoPathology Reports in Sweden
(小路浩史)
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NAFLDは軽度でも死亡リスクを上昇 2020年10月26日 11:45
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肥満者に多く、欧米では成人の約25%が罹患しており、慢性肝疾患の最多原因となっている。米・Massachusetts General HospitalのTracey G. Simon氏らは、スウェーデンの全国登録の肝組織学データを用いてNAFLDと死亡リスクとの関連を検討。死亡率は重症度に従い上昇するが、軽症の脂肪肝のみでも死亡リスク上昇と関連するとGut(2020年10月9日オンライン版)に報告した。
○病理学データに基づく初の人口レベル研究
NAFLDの組織学的な死亡予測因子として、肝線維化の進行と肝硬変が重要であることは、以前の小規模臨床研究で示されていたが、人口レベルで肝臓の組織学的データを解析した研究はこれまで存在しなかった。
今回の研究は、NAFLDによる疾患負荷が増大していることを受け、スウェーデン・Karolinska Institutetと共同でスウェーデン全国を網羅する包括的な組織病理学コホートESPRESSO※のデータを用いて実施された。同コホートは200万人超の組織病理学データを集積しており、患者、死因、処方薬、がんなど、同国のさまざまな全国登録との紐付けが可能である。
Simon氏らは、1966~2017年にスウェーデンの全病理学研究室28施設に提出された肝生検標本から、組織学的にNAFLDが確認された患者1万568例のデータを抽出。NAFLDのステージにより①単純性脂肪肝②非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のうち線維化を伴わないもの③非硬変性の線維化④肝硬変−の4つに分類して年齢、性、暦年、居住地をマッチさせた一般人口4万9,925人(対照群)と比較した。
○脂肪肝のみでも死亡リスクは1.7倍
中央値で14.2年の期間中にNAFLD群では4,338例が死亡し、対照群に対するNAFLD群の全死亡率は有意に高かった〔1,000人・年当たりの死亡数:対照群16.9人、NAFLD群28.6人、群間差11.7人、調整済みハザード比(aHR)1.93、95%CI 1.86~2.00、図-A〕。
図. 対照群に対するNAFLD群の累積死亡率
(Gut 2020年10月9日オンライン版)
対照群に対するNAFLD群における死亡率の超過は、単純性脂肪肝のサブグループから既に見られ(1,000人・年当たり8.3人、aHR 1.71、95%CI 1.64~1.79)、非線維化NASH(同13.4人、2.14、1.93~2.38)、非硬化性線維症(同18.4人、2.44、2.22~2.69)、肝硬変(同53.6人、3.79、3.34~4.30)とステージが進行するにつれて増大した(傾向性のP<0.01、図-B)。
ステージ進行と死亡率増大の関連は、単純性脂肪肝を参照群とした場合でも同様であった(傾向性のP<0.01)。
○肝外がんと肝硬変が死亡率増大に寄与
NAFLD患者群における死亡率超過の寄与因子は、主に肝外がん(1,000人・年当たり4.5人、aHR 2.16、95%CI 2.03~2.30)と肝硬変(同2.7人、18.15、14.78~22.30)で、心血管疾患(同1.4人、1.35、1.26~1.44)と肝細胞がん(HCC:同1.2人、11.12、8.65~14.30)の寄与度は比較的低かった。
筆頭研究者のSimon氏は「今回の研究は、詳細な肝組織学的データを用いてNAFLDが全死亡リスク増大に寄与することを初めて全国コホートにおいて確認した研究である。これらの知見は、標的を絞り込んだ介入法の開発によりNAFLD患者の死亡率を低下させる方策に活用されるべきである。NAFLD患者は急増しており、NAFLDから肝硬変への進行および肝外がんを予防するための公衆衛生策が必要である」と述べている。
研究責任者で同研究所のJonas F. Ludvigsson氏は「スウェーデンの全ての病理学部門にコンタクトを取ることにより、NAFLDを含むさまざまな消化器疾患の検討が可能な全国レベルの消化器組織病理コホートを構築できた。ESPRESSOコホートを活用して今年(2020年)に発表された研究は、今回のNAFLDと死亡リスクに関する研究で17件目である」と述べている。
※ Epidemiology Strengthened by histoPathology Reports in Sweden
(小路浩史)