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夜間頻尿について 札幌医師会市民広報 健康さっぽろ第52号(令和6年9月25日発行)から

2024年11月07日 | 学会研究会報告新聞記事など


寒くなってくると夜間おしっこに行くのがおっくうになる時期でも有ります。また、夜間におしっこで目が覚めるのも回数が増えると苦痛になりますよね。今回、健康さっぽろで夜間頻尿の特集がありました。夜間のおしっこに行く回数を増やさない工夫など紹介されています。日常的に取り入れると体にも良さそうなコツが紹介されていますので、是非読んでみてください。
以下の文章中の表や図は上の画像の方に載っていますので、そちらを見ていただければ早いかな。
泌尿器科の先生から、就寝3時間前半身浴が理想的とアドバイスもありました。ありがとうございます。

以下札幌医師会市民広報 健康さっぽろ第52号からの引用となります。柿崎先生からも掲載許可いただきありがとうございます。
夜間頻尿 について
 生活習慣の見直しが大切です
◎はじめに夜間就眠後に排尿のために1回以上起きなけれ ばならない症状を夜間頻尿といいます。特に夜間の排尿回数が2回以上になると生活の質(QOL)にも大きな影響を与えます。夜間頻尿の主な原因は、夜間多尿(夜間の尿量が多いこと)と膀胱蓄尿障 害(膀胱に十分な量の尿を溜めることができない状 態)です。さらに睡眠障害という要因が加わります 【 図 1 】。夜 間頻尿の頻度と原因、家庭での対処法 、 病院での診療について解説したいと思います。

夜間頻尿の頻度
排尿のために夜間に起きる人の割合は年齢とともに増加します。国内で行われた調査の結果をみますと、60歳以上では 80%以上の人が夜間1回は排尿に起きることが示されています【図2】。男女を問わず排尿に関係する症状のうち、もっとも困るのが夜間頻尿です。夜間2回ある いは3回以上排尿に起きる人は、転倒や骨折のリスクが高くなり、また死亡率も増加することが知られています。このように、夜間2回以上排尿に起きる人は要 注意ですので、家庭での対処や病院の受診を考慮して下さい。

夜間頻尿の主な原因
 夜間頻尿には多くの原因があります。糖尿病、高血圧、脳卒中、心臓病、肥満などの生活習慣病が夜間頻尿に関係します。このような内科的な病気がある場合 は、しばしば夜間多尿となります。また、腎臓病で腎機能が低下してくると、夜間多尿になることがあります。一般的には、就眠後から朝の起床時までの夜間尿 量(夜間の排尿量の総量)が1日尿量の33%を超える場合に夜間多尿ありと判断しますが、簡便な方法として夜間尿量が10mℓ/kg体重を超える場合に夜間多尿ありと判断することもできます。 一方、前立腺肥大症や過活動膀胱などの泌尿器疾患が夜間頻尿の原因となることも少なくありません。前立腺肥大症や過活動膀胱では、膀胱蓄尿障害のために昼夜とも排尿回数が多くなります。高齢者では内科的な疾患に関連する夜間多尿と膀胱蓄尿障害の両方を合併することが多く、これが夜間頻尿につながります。
もともとぐっすり眠れない人は、わずかな尿意で目を覚ましやすいため、夜間頻尿となることがあります。睡眠時無呼 吸症候群のある人は、しばしば夜間頻尿となります。家庭での対処法

(行動療法)
 内科的な病気がある場合は、主治医の指示に従ってその治療をきちんと継続することが重要です。夜間頻尿があると排尿に起きた後になかなか眠れず、睡 眠障害につながることも少なくありません。夜間頻尿と睡眠障害をよくするための生活上のアドバイスを【表1】に示します。1日に必要な飲水量は、体重の2~ 2.5%とされています。体重60kgの人で は 、1 日 の 飲 水 量 は 1,200~ 1500mℓで十分ということになります。 必要な水分を日中の時間帯で摂取し、夕方以降は飲水を控えることが大切です。夕方以降はカフェインやアルコールを制限することも大切です。晩酌をされる方 は、晩酌をした日は夜間頻尿になっても仕方がないと思って下さい。塩分の取りすぎは夜間多尿につながりますので、減塩を心掛けて下さい。良好な睡眠を得る ためには、短時間の昼寝、日光浴、夕方の軽い運動 、入床 1 ~ 2 時間前の入浴・足浴が有効とされています。
夜間頻尿のある患者さんを診療してい ますと、夕方以降もかなり水分を摂取している方が少なくありません。繰り返しになりますが、必要な水分は日中の時間帯に摂取し、夕方以降は水分制限すること が夜間頻尿に対する行動療法の最重要ポイントです。なお、北海道では少ないですが、熱帯夜の場合には、必要に応じて夜間の水分補給を忘れないで下さい。

【表1】夜間頻尿―睡眠障害を 良くするための10か条
1.夕方以降の水分、カフェイン、アルコール制限
2.塩分は控える
3.昼寝は昼食後に30分程度 (午後3時以降は昼寝しない)
4.昼間に光を浴びる
5.夕方の軽い運動
6.入床1~2時間前の入浴または足浴
7.就寝1時間前から部屋の明かりを暗くする
8.就眠前1時間、中途覚醒時の喫煙は避ける
9.眠くなるまで床につかない (7時間前後の睡眠時間で十分)
10.朝一定の時刻に起床し、 きちんと朝食をとる

病院での診療
 夜間頻尿を訴えて病院を受診される患さんに対しては、問診 、尿検査 、腹部超音波検査(エコー)などを行い、前立腺肥大症や過活動膀胱などの膀胱蓄尿障害をきたす病気がないかどうかを確認します。前立腺肥大症や過活動膀胱と診断される場合は、それぞれに対する薬物治療を行います。薬物治療を行っても、夜間頻尿が十分に改善しない場合は、患者さんに排尿記録を付けてもらい、夜間多尿の有無を調べます。前立腺肥大症や過活動膀胱に対する薬物により膀胱蓄尿障害が良くなっているにもかかわらず、夜間多尿のために夜間頻尿が良くならない場合は、男性では夜間の尿量を減少させる薬物を使用することが できます。

おわりに
 夜間頻尿はとてもよくみられる症状で、生活の質にも多大な影響を及ぼします。夜間頻尿の原因は、夜間多尿、膀胱蓄尿障害、睡眠障害です。夜間頻尿の ある方は、まず日々の生活習慣を見直すことが大切です。家庭での行動療法をしっ かりと行ってみて下さい。それでも夜間頻尿が良くならない場合は、内科の主治医 に相談し、泌尿器科の専門病院を受診して下さい。夜間頻尿.comというインター ネット上のサイトは、夜間頻尿に関するさまざまな情報を提供していますので、夜間 頻尿でお困りの方は是非一度このサイトにアクセスしてみて下さい。
(北海道泌尿器科記念病院 東区 柿崎 秀宏)

文献  札幌医師会市民広報 健康さっぽろ第52号(令和6年9月25日発行)から


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