ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

籐の座面張り その後

2015年07月11日 | 木工
籐の座面編みの続きです。


二脚編んで、何とか安定した技法が確立できたように思います。

うんちくを書いてみますが、
独学の我流ですので、真似してうまくいかない人がいても知りません。





使ったのは未晒しの生皮籐、4~5ミリ幅。

水に浸けてから使います







ペーパーコードの場合、経糸(たていと)をすべて張ってからその間を捨て巻きするのですが、
籐の場合は経糸を張りながら捨て巻きもします。
その理由は籐には裏表があること、長さがそれほどないこと、
釘に引っ掛けるようなきつい折り返しができないことなどと思われます。






座枠部分にも織りを入れます。
飾りとほつれ防止の意味があるようです。

経糸を張りながら上にしたり下に入れたりするので間違えないように気を使います。






こんな感じ。






経糸を張り終えたら緯糸(よこいと)を張ります。


ウェブで見ていると裏もきれいに編んでいるものを見ますが、
私はあえて座枠の裏で籐を釘で止める方法にしました。


裏もぐるっと籐を回すと緩みやすいような気がします。
籐も余計に使います。
一本一本籐が切れている方が修理もしやすと思います。

いかがでしょうか?







緯糸はあらかじめ必要な長さに切ってしまい、どんどん入れていきます。

最初は簡単に差し込めますが、最後の方はテンションが強くなってなかなか入れにくくなります。
最後の数本は縫うようにして一本ずつ入れます。






両側に未処理の端がピンピン出ています。






座枠に巻きながらこの端を小釘で止めていきます。

籐は割れやすいので、なるべく細い釘を使うのがみそです。

籐一本に小釘一本で止まっているのは何とも心細いように見えますが。
座面として編まれると座った時の力は面として受け止められますし、
細い籐も織りの組織となると一枚の布のように丈夫になります。


籐は端が鋭くて、切り傷が絶えません。
指先の力はペーパーコード張りよりもいるのではないでしょうか。

なかなか根気のいる作業です。








肘掛けあり、無しのセットが出来ました。

ばんと張のある座面が出来ました。
軽くて扱いやすい椅子です。


この椅子四脚とテーブルをセットにして催事に出品します。

恥ずかしながら、催事のために物を作ったのは久しぶりです。




この籐の座面にどのくら耐用年数があるのか、正直わかりません。
お客様の扱い方でも寿命は違います。

籐の家具がこれだけあるのですから、そんなにやわなはずはありません。

しかしある程度使ったら張り替えるのが前提の椅子です。


布張りの椅子もほぼ10年でファブリックは擦り切れます。
そのくらいもてばよいのでしょう。



木の座面でしたらメンテナンスはいりませんけど。