ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

オーディオラックの制作

2016年05月23日 | 木工
工房の横の道がノルディックウォークイベントのコースになりましたので、




家具と名刺を置いて勝手に宣伝してみました。









川が近いのでカワトンボが工房に入ってきます。

網で捕まえて外に逃がします。










漆が乾くのを待つ間、もう一本家具を作りました。

オーディオラックです。





部材は三枚の板と四本の足のみです。
材はサクラ。






部材が四角いうちに仕口を作ります。

切り込みを入れて互い違いにかみ合うような接合方法です。




この仕口はすっと入るようなかみ合わせで良ければ簡単に作れます。

しかしそのような緩い嵌合度では木が痩せてきたときに隙間が出来てしまいガタガタになってしまいます。


そうならないようにするためには、少しきつめに仕口を作り、かみ合う部分を「木殺し」ます。



「木を殺す」とは金槌などで叩いて潰し、凹ませるということです。

物騒な表現ですいません。



木を殺して凹ませればきついホゾも組み立てることができ、

糊を吸うと凹んだ木が復元し、それでもぎっちりと押さえ合うので木が痩せてきても隙間ができにくくなるのです。








先に、木殺しをするとどのくらい木が凹むかを調べます。

0.5mほど小さくなるということがわかりました。









機械加工で1.5mmほど厚く仕上げ、プラス0.5mmの厚さになるようにノギスで測りながら鉋をかけます。

厚みを決めながら表面を仕上げるのです。







かみ合う部分だけ玄能で叩いて木殺しします。







すべての仕口を調子をみながら組んでみます。

入りにくければさらに叩いて木殺しします。







すべての接合部を調整したら形の成型、面取り、研磨などをして部材を仕上げます。






組み立てです。

この組み立て作業は実はなかなかの難易度です。



糊を付けて圧入した時に少しきつくなるように調整した仕口が12か所あり、

その寸法の遊びは全くないので、それをきっちり合わせて短時間で組み上げなければなりません。

足も大きく丸く面取りをしてあるのでプレスする力が逃げてしまうのも難易度を高めます。







さすが硬いサクラ材、組み立ての時にバンバン叩いたりぎっちり締め付けても傷が付きませんでした。








今回は塗料も指定がありました。


このオイルは米糠が原料で安全性が高いらしい。

粘度が高く、従来のオイルより塗りにくいです。

匂いはほとんど無いです。







オイルを塗って仕上がり。

綺麗な木目のサクラ材でした。リボン杢とでもいうのでしょうか。






こんなディテールです。

コメント
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