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天の川銀河の過去に何が起こっていたのか? 痕跡は円盤部に存在する数百万個の星の動きに残っていた

2018年10月14日 | 宇宙 space
天文衛星“ガイア”の観測データから、天の川銀河の円盤部に存在する数百万個の星の動きに特徴的なパターンが見つかったんですねー

この特徴的なパターンは何を意味するのでしょうか?

どうやら、数億年前に起こった他の銀河との接近遭遇が影響しているようです。


10億以上の星の正確な位置と動きから分かること

2013年12月に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”は、2014年7月から天の川銀河の恒星を観測し続けています。

すでに、10億個以上の星の正確な位置と天球上での(2次元的な)動きを測定していて、そのうち数百万個の星については、3次元的な速度も推定されています。

今回、このデータを用いてスペイン・バルセロナ大学の研究チームが、天の川銀河の星の位置と速度の関係を調査します。

すると、銀河の円盤部に存在する星々が、予想外の興味深い動きをしていることが明らかになることに…

そこで研究チームは円盤からの上下方向の距離と、その方向への速度をグラフにプロットします。
そして現れたのが、これまで見たことがない、カタツムリの殻のようなパターンでした。

あまりにはっきりとした形だったので、当初研究チームが考えたのはデータに問題があること。
ただ、どんなにチェックしても、そのパターンが実際に存在しているという結果にしかならないんですねー

これは、“ガイア”のデータの精度がこれまでのものに比べて格段に高かったため、初めて見えてきたパターンでした。

考えられるのは、このパターンが何らかの外的な要因によって作り出されたということでした。


“ガイア”の観測データから分かる天の川銀河の歴史

外的な要因による痕跡を星の空間分布から見つけ出すのは難しいのかもしれません。
でも、星の速度に痕跡が残されていたんですねー
○○○
かく乱される天の川銀河(イメージ図)
その要因を生み出したと考えられるのが“いて座矮小楕円銀河”です。

“いて座矮小楕円銀河”は数千万個ほどの星でできた小さな銀河で、現在の天の川銀河に飲み込まれつつあります。

この銀河が数億年前に天の川銀河に接近。
その際、“いて座矮小楕円銀河”が天の川銀河の星に重力的な影響を及ぼしたと考えられます。

この接近時期は、研究チームによるシミュレーションで導かれたグラフのパターンが作られ始めるタイミングとほぼ一致。
“いて座矮小楕円銀河”が要因であるという説を裏付けることになります。
○○○
“ガイア”が2014年から2015年にかけて取得したデータから作成された星の分布図。
中央楕円のところにあるのが“いて座矮小楕円銀河”。
ただ、“いて座矮小楕円銀河”とパターンとの関連は、今のところ単純なコンピュータモデルと分析に基づくものにすぎません。

次のステップは現象を精査して、天の川銀河についてより完全な知識を得ることになります。

簡単に発見できたパターンでしたが、その解釈は困難な状態といえます。
パターンが意味するところや示唆するものを完全に理解するには、数年かかるかもしれないそうです。

“ガイア”の主目的は天の川銀河の構造や進化、その起源を調べることで、今回の発見は今年の4月にリリースされた第2期データによるものです。

天の川銀河には様々な歴史があり、私たちはその物語を“ガイア”の観測データから読み解き始めたところなんでしょうね。


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