恒星のサイズに対して大きすぎる太陽系外惑星を発見したとする研究が、アメリカのペンシルベニア州立大学などの研究チームにより発表されました。
この研究で見つけているのは、太陽の9分の1の質量を持つ低温の超低温矮星“LHS 3154”を、3.7日で周回する地球の13倍以上の質量を持つ惑星“LHS 3154b”。
両者の質量比は、太陽と地球の質量比の100倍以上もありました。
惑星は、若い恒星(原始星)を取り巻く原始惑星系円盤の中で形成されると考えられています。
惑星形成モデルによると、小さくて温度も低い超低温矮星では原始惑星系円盤の質量およびサイズが小さいので、これほど巨大な惑星が形成されることは予想されていませんでした。
“LHS 3154”で発見された巨大惑星の場合だと、観測から推定された惑星の重い核は、モデルが予測するより大量の固体物質が必要になります。
また、“LHS 3154”のような星を取り巻く原始惑星系円盤で、今回発見された大質量の惑星を形成するには、チリの質量およびチリとガスの比率が、観測された値よりも10倍以上高い必要があるそうです。
これほど大きな惑星は、どうやって形成されたのでしょうね。
このとき、内部では紫外線によって分子が壊されなくなるので、原子から分子が作られ始めます。
そのような雲を“分子雲”と呼び、数光年~数十光年と様々な大きさのものが存在します。
その分子雲の中で、自己重力でガスやチリが集まってできた高密度な場所を“分子雲コア”と呼び、いわゆる星の卵に相当します。
分子雲コアがさらに収縮することによって、太陽のような恒星や、それよりもさらに重い星(大質量星)その連星が誕生することになります。
このように誕生した原始星(恒星)の周りには、水素を主成分とするガスやチリからなる円盤状の構造“原始惑星系円盤”が広がり、この中で惑星が誕生していきます。
今回の研究で発見しているのは、太陽の9分の1の質量を持つ超低温矮星“LHS 3154”を、3.7日で周回する地球の13倍以上の質量を持つ惑星“LHS 3154b”でした。
これほど大きな質量を持つ惑星が、これほど低質量の恒星の周りを回っているのが発見されたの初めてのことでした。
ただ、この発見は小さな恒星の周りの惑星形成に関する、現在の理論予測に反するものだったんですねー
“超低温矮星(Ultracool Dwarf Star)”は有効温度が3000ケルビン(摂氏2730度)を下回るほど赤い赤色矮星で、サイズや質量が恒星としての下限に近く、主に赤外線の波長で輝く天体です。
惑星形成モデルによると、超低温矮星では原始惑星系円盤の質量およびサイズが小さいので、木星型惑星ではなく、水星から地球程度のサイズの惑星を比較的たくさん持ちうることが示唆されています。
一方、“LHS 3154b”の場合だと、地球の13倍以上の質量を持っているので、惑星の形成には大量の固体物質が必要になることに…
今回発見された“LHS 3154”の周りに広がっていた原始惑星系円盤では、惑星“LHS 3154b”を形成するのに十分な材料があるとは予想されていませんでした。
HPFは、テキサス州マクドナルド天文台のホビー・エバリー望遠鏡(口径10メートル)で使用するために、ペンシルベニア州立大学のMahadevanさんたちの研究チームにより開発されたもの。
太陽よりも小さく、表面温度も低い赤色矮星の周囲に広がるハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を、ドップラーシフト法で検出することが主な目的で、近傍の恒星からの赤外線信号を、これまでで最も高精度に測定してきました。
検出された惑星は、その表面に生命の重要な要素である液体の水が存在する可能性が調べられることになります。
ハビタブルゾーンとは、主星(恒星)からの距離が程良く、惑星の表面に液体の水が安定的に存在できる領域のこと。
この領域にある惑星では生命が居住可能だと考えられていて、太陽系の場合は地球から火星軌道が“ハビタブルゾーン”にあたります。
ただ、太陽のような恒星の周りでは、ハビタブルゾーンを公転する惑星の検出は非常に困難になります。
これは、恒星から離れた位置にハビタブルゾーンが位置するからです。
でも、超低温矮星は太陽よりも小さく表面温度も低いことから、太陽系の場合よりも恒星に非常に近い位置がハビタブルゾーンになります。
そう、表面に液体の水を持つことができる惑星は、恒星に遥かに近い位置を公転することになるんですねー
この場合、惑星と恒星との距離が短いことと、超低温矮星の質量の低さが相まって、惑星の存在を知らせる検出可能な信号が得られることになります。
惑星の軌道が超低温矮星に十分に近い場合、恒星の周りを公転している惑星の重力で、恒星が引っ張られると地球からわずかに遠ざかったり近づいたりします。
この動きによる光の波長の変化“ゆらぎ”を読み取る“ドップラーシフト法”により、惑星の存在を知ることができます。
さらに、この光の波長のゆらぎからは、分光器により光の波長ごとの強度分布“スペクトル”を得ることができます。
この“スペクトル”に現れる線は、光のドップラー効果によって私たちの方へ動いている物質からの光は短い波長(色でいえば青い方)へ、遠ざかっている物質の光は長い波長(色でいえば赤い方)へズレてしまいます(シフトする)。
この周波数の変化量を測定することで、天体の動きやその速度を知ることができます。
ドップラーシフト法の観測データからは、系外惑星の公転周期や最小質量を知ることができるわけです。
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この研究で見つけているのは、太陽の9分の1の質量を持つ低温の超低温矮星“LHS 3154”を、3.7日で周回する地球の13倍以上の質量を持つ惑星“LHS 3154b”。
両者の質量比は、太陽と地球の質量比の100倍以上もありました。
惑星は、若い恒星(原始星)を取り巻く原始惑星系円盤の中で形成されると考えられています。
惑星形成モデルによると、小さくて温度も低い超低温矮星では原始惑星系円盤の質量およびサイズが小さいので、これほど巨大な惑星が形成されることは予想されていませんでした。
“LHS 3154”で発見された巨大惑星の場合だと、観測から推定された惑星の重い核は、モデルが予測するより大量の固体物質が必要になります。
また、“LHS 3154”のような星を取り巻く原始惑星系円盤で、今回発見された大質量の惑星を形成するには、チリの質量およびチリとガスの比率が、観測された値よりも10倍以上高い必要があるそうです。
これほど大きな惑星は、どうやって形成されたのでしょうね。
この研究は、ペンシルベニア州立大学のSuvrath Mahadevanさんたちの研究チームが進めています。
論文は、11月30日付の科学誌“サイエンス”のオンライン版に掲載されました。
論文は、11月30日付の科学誌“サイエンス”のオンライン版に掲載されました。
図1.地球の13倍以上の質量を持つ惑星“LHS 3154b”から見た太陽の9分の1の質量を持つ超低温矮星“LHS 3154”のイメージ図。“LHS 3154b”は質量が大きいので海王星のような組成をしていると考えられる。(Credit: Penn State / Penn State. Creative Commons) |
小さくて温度も低い恒星“超低温矮星”
星間空間に撒き散らされた原子やチリが集まって雲のようになったとき、周囲からの紫外線(星間紫外線)が内部まで届かなります。このとき、内部では紫外線によって分子が壊されなくなるので、原子から分子が作られ始めます。
そのような雲を“分子雲”と呼び、数光年~数十光年と様々な大きさのものが存在します。
その分子雲の中で、自己重力でガスやチリが集まってできた高密度な場所を“分子雲コア”と呼び、いわゆる星の卵に相当します。
分子雲コアがさらに収縮することによって、太陽のような恒星や、それよりもさらに重い星(大質量星)その連星が誕生することになります。
このように誕生した原始星(恒星)の周りには、水素を主成分とするガスやチリからなる円盤状の構造“原始惑星系円盤”が広がり、この中で惑星が誕生していきます。
今回の研究で発見しているのは、太陽の9分の1の質量を持つ超低温矮星“LHS 3154”を、3.7日で周回する地球の13倍以上の質量を持つ惑星“LHS 3154b”でした。
これほど大きな質量を持つ惑星が、これほど低質量の恒星の周りを回っているのが発見されたの初めてのことでした。
ただ、この発見は小さな恒星の周りの惑星形成に関する、現在の理論予測に反するものだったんですねー
“超低温矮星(Ultracool Dwarf Star)”は有効温度が3000ケルビン(摂氏2730度)を下回るほど赤い赤色矮星で、サイズや質量が恒星としての下限に近く、主に赤外線の波長で輝く天体です。
惑星形成モデルによると、超低温矮星では原始惑星系円盤の質量およびサイズが小さいので、木星型惑星ではなく、水星から地球程度のサイズの惑星を比較的たくさん持ちうることが示唆されています。
一方、“LHS 3154b”の場合だと、地球の13倍以上の質量を持っているので、惑星の形成には大量の固体物質が必要になることに…
今回発見された“LHS 3154”の周りに広がっていた原始惑星系円盤では、惑星“LHS 3154b”を形成するのに十分な材料があるとは予想されていませんでした。
図2.惑星“LHS 3154b”-超低温矮星“LHS 3154”と私たちの地球-太陽の質量を比較した図。(Credit: Penn State / Penn State. Creative Commons) |
赤外線分光器を用いた赤色矮星を公転する惑星の検出
この巨大な惑星“LHS 3154b”を発見したのは、赤外線分光器“HPF(Habitable-zone Planet Finder)”でした。HPFは、テキサス州マクドナルド天文台のホビー・エバリー望遠鏡(口径10メートル)で使用するために、ペンシルベニア州立大学のMahadevanさんたちの研究チームにより開発されたもの。
太陽よりも小さく、表面温度も低い赤色矮星の周囲に広がるハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を、ドップラーシフト法で検出することが主な目的で、近傍の恒星からの赤外線信号を、これまでで最も高精度に測定してきました。
検出された惑星は、その表面に生命の重要な要素である液体の水が存在する可能性が調べられることになります。
ハビタブルゾーンとは、主星(恒星)からの距離が程良く、惑星の表面に液体の水が安定的に存在できる領域のこと。
この領域にある惑星では生命が居住可能だと考えられていて、太陽系の場合は地球から火星軌道が“ハビタブルゾーン”にあたります。
ただ、太陽のような恒星の周りでは、ハビタブルゾーンを公転する惑星の検出は非常に困難になります。
これは、恒星から離れた位置にハビタブルゾーンが位置するからです。
でも、超低温矮星は太陽よりも小さく表面温度も低いことから、太陽系の場合よりも恒星に非常に近い位置がハビタブルゾーンになります。
そう、表面に液体の水を持つことができる惑星は、恒星に遥かに近い位置を公転することになるんですねー
この場合、惑星と恒星との距離が短いことと、超低温矮星の質量の低さが相まって、惑星の存在を知らせる検出可能な信号が得られることになります。
惑星の軌道が超低温矮星に十分に近い場合、恒星の周りを公転している惑星の重力で、恒星が引っ張られると地球からわずかに遠ざかったり近づいたりします。
この動きによる光の波長の変化“ゆらぎ”を読み取る“ドップラーシフト法”により、惑星の存在を知ることができます。
さらに、この光の波長のゆらぎからは、分光器により光の波長ごとの強度分布“スペクトル”を得ることができます。
この“スペクトル”に現れる線は、光のドップラー効果によって私たちの方へ動いている物質からの光は短い波長(色でいえば青い方)へ、遠ざかっている物質の光は長い波長(色でいえば赤い方)へズレてしまいます(シフトする)。
この周波数の変化量を測定することで、天体の動きやその速度を知ることができます。
ドップラーシフト法の観測データからは、系外惑星の公転周期や最小質量を知ることができるわけです。
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