月はどうやって誕生したのでしょうか?
これまで月が形成される起源については、いくつかの仮説が提唱されてきました。
有力なのは、地球に火星くらいの大きさの天体“テイア”が斜めに衝突し、バラバラになった“テイア”と地球の一部がまとまって月になったという“ジャイアントインパクト説”。
ただ、この説は地球の一部と“テイア”から形成されたはずの月が、地球と成分が似すぎているという問題を抱えることに…
今回、この問題を解決するために“ジャイアントインパクト説”の数値シミュレーションを実施。
“テイア”との衝突が起こった際に、原始地球にマグマオーシャンが存在していれば問題の解決は可能なようです。
偶然地球の近くを通りかかったときに地球にとらえられた?
それとも、地球とほぼ同時に形成された?
まだ、はっきりとは分かっていませんが、最も有力と考えられているものに“ジャイアントインパクト(巨大衝突)説”があります。
この説によると、48億年ほど前の地球に火星サイズの天体“テイア”が衝突。
岩石は蒸発し地球の周りにばら撒かれ、やがて円盤状に原始地球を取り巻き、それらが重力によって集まり月になったとされています。
“ジャイアントインパクト説”だと地球と月の様々な特徴を説明することができるのですが、説明できない観測結果もあるんですねー
この説によると、月の成分の5分の1は地球の物質で、残る5分の4が衝突した天体の物質ということになります。
でも、実際にはそうならず… アポロ計画で月から持ち帰られた岩石中の元素の同位体比が地球のものとほぼ一致。
そう、このことが意味しているのは、月を構成する岩石が元々地球のものだったということです。
このことは、ジャイアントインパクト説の支持者たちを長く困惑させてきた矛盾点でした。
マグマオーシャンとは、大昔の地球の表面を覆っていたとされるマグマの海のこと。
液体の岩石は、固体の岩石と性質が大きく異なるので、これまでのシミュレーションとは違った結果が予想されました。
研究チームでは、理化学研究所のスーパーコンピュータ“京”を用いて大規模な数値シミュレーションを実施。
巨大衝突の直後に形成される月の材料になる円盤の中で、原始地球由来の物質がどの程度の割合になるか?
また、その割合がマグマオーシャンの有無によりどの程度変わるのかを調べます。
その結果示されたのが、マグマオーシャンが衝突時の地球に存在していれば、そのマグマオーシャンが円盤の形成に大きく寄与すること。
衝突後、地球のマグマオーシャンからマグマが噴出して、原始地球由来の物質の割合が多い円盤構造が形成されるそうです。
この円盤から月が形成されるので、月に原始地球由来の物質が多くなるというわけです。
さらに、天体が地球に衝突する際の角度と速度を様々に変化させたシミュレーションも実施。
このシミューレーションからは、マグマオーシャンが存在していれば、円盤中における原始地球由来の物質の割合が約7割以上にもなることが示されます。
これらの結果は、原始地球に巨大衝突が起こった際、原始地球にマグマオーシャンが存在していれば、地球と月の同位体比問題の解決が可能であることを示唆するものです。
“ジャイアントインパクト説”は、現在の地球と月を考える上で極めて重要な仮説であり、それを元に地球のその後の熱進化などが考えられてきました。
今回の計算結果は、これまで考えられてきた初期地球とは異なる結果をもたらすことになります。
なので、現在の地球がどのように形成されたかを知る上で、大きな手掛かりになると考えられるんですねー
また、巨大衝突は原始地球だけでなく太陽系内の他の惑星でも起こったと考えられているので、惑星の多様性を説明する上でも、今回の研究成果が役立つといいですね。
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月を作ったのは“巨大衝突”ではない。 のかも…
これまで月が形成される起源については、いくつかの仮説が提唱されてきました。
有力なのは、地球に火星くらいの大きさの天体“テイア”が斜めに衝突し、バラバラになった“テイア”と地球の一部がまとまって月になったという“ジャイアントインパクト説”。
ただ、この説は地球の一部と“テイア”から形成されたはずの月が、地球と成分が似すぎているという問題を抱えることに…
今回、この問題を解決するために“ジャイアントインパクト説”の数値シミュレーションを実施。
“テイア”との衝突が起こった際に、原始地球にマグマオーシャンが存在していれば問題の解決は可能なようです。
ジャイアントインパクト説
私たちにとって最も身近な天体の1つになる月は、太陽系の歴史の中でいつ頃どのように地球の衛星になったのでしょうか?偶然地球の近くを通りかかったときに地球にとらえられた?
それとも、地球とほぼ同時に形成された?
まだ、はっきりとは分かっていませんが、最も有力と考えられているものに“ジャイアントインパクト(巨大衝突)説”があります。
この説によると、48億年ほど前の地球に火星サイズの天体“テイア”が衝突。
岩石は蒸発し地球の周りにばら撒かれ、やがて円盤状に原始地球を取り巻き、それらが重力によって集まり月になったとされています。
“ジャイアントインパクト説”だと地球と月の様々な特徴を説明することができるのですが、説明できない観測結果もあるんですねー
この説によると、月の成分の5分の1は地球の物質で、残る5分の4が衝突した天体の物質ということになります。
でも、実際にはそうならず… アポロ計画で月から持ち帰られた岩石中の元素の同位体比が地球のものとほぼ一致。
そう、このことが意味しているのは、月を構成する岩石が元々地球のものだったということです。
このことは、ジャイアントインパクト説の支持者たちを長く困惑させてきた矛盾点でした。
衝突時にはマグマの海が地球の表面を覆っていた
今回、海洋研究開発機構の研究チームは、理論と観測の矛盾を解決する要素として地球のマグマオーシャンを提案。マグマオーシャンとは、大昔の地球の表面を覆っていたとされるマグマの海のこと。
液体の岩石は、固体の岩石と性質が大きく異なるので、これまでのシミュレーションとは違った結果が予想されました。
研究チームでは、理化学研究所のスーパーコンピュータ“京”を用いて大規模な数値シミュレーションを実施。
巨大衝突の直後に形成される月の材料になる円盤の中で、原始地球由来の物質がどの程度の割合になるか?
また、その割合がマグマオーシャンの有無によりどの程度変わるのかを調べます。
その結果示されたのが、マグマオーシャンが衝突時の地球に存在していれば、そのマグマオーシャンが円盤の形成に大きく寄与すること。
衝突後、地球のマグマオーシャンからマグマが噴出して、原始地球由来の物質の割合が多い円盤構造が形成されるそうです。
この円盤から月が形成されるので、月に原始地球由来の物質が多くなるというわけです。
月の材料になる物質の質量とその起源の時間進化。 赤は原始地球のマグマオーシャン由来の成分、青は衝突した天体由来の成分、 グレーは原始地球および衝突した天体の金属コアの成分。 |
このシミューレーションからは、マグマオーシャンが存在していれば、円盤中における原始地球由来の物質の割合が約7割以上にもなることが示されます。
様々な衝突角度と衝突速度のシミュレーションで得られた円盤の質量と、 そのうちの原始地球からの物質の割合。 赤はマグマオーシャンが存在する場合、青は存在しない場合の結果。 |
“ジャイアントインパクト説”は、現在の地球と月を考える上で極めて重要な仮説であり、それを元に地球のその後の熱進化などが考えられてきました。
今回の計算結果は、これまで考えられてきた初期地球とは異なる結果をもたらすことになります。
なので、現在の地球がどのように形成されたかを知る上で、大きな手掛かりになると考えられるんですねー
また、巨大衝突は原始地球だけでなく太陽系内の他の惑星でも起こったと考えられているので、惑星の多様性を説明する上でも、今回の研究成果が役立つといいですね。
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月を作ったのは“巨大衝突”ではない。 のかも…
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