銀河の形の違いが星形成効率の差を生み出す。
っというこれまでの定説を覆す結果が国立天文台野辺山の電波観測で得られました。
今後、星形成の止まった銀河には楕円銀河が多い っという銀河の性質を説明するには、別の理論が必要になるのかもしれません。
星形成活動に影響を及ぼすメカニズム
宇宙に存在する銀河は、新たな星を活発に生み出している銀河(星形成銀河)と、星形成がほぼ止まっている銀河(非星形成銀河)の2種類に分かれます。
星形成銀河の中で星を生み出す活動が止まると、その銀河は非星形成銀河へと進化すると考えられているのですが、銀河の星形成活動がどのようにして衰えたり止まったりするのかは完全には解明されていませんでした。
ただ、銀河の星形成が止まる仕組みを考える上で、銀河の“形”が重要な要素の1つになっているようです。
それは、星形成銀河の多くは円盤上で渦巻構造を持つ“円盤銀河”で、非星形成銀河はのっぺりした楕円型で細かい構造を持たない“楕円銀河”がほとだと知られているからです。
このことから、銀河の形と星形成活動の間には密接な関係がると考えることができるんですねー
星形成活動に何らかの影響を及ぼすメカニズムが、銀河の“形”に存在しているのかもしれません。
楕円銀河では星形成活動が抑制されやすい
こうしたメカニズムの候補として、“形態による星形成の抑制”というモデルが提唱されています。
楕円型の銀河では、銀河の星々は円盤銀河の場合よりも銀河中心部により集中して分布しています。
この場合、楕円銀河の中心にあるガス雲には、ガス雲自身の自己重力よりも銀河全体の重力の方が強く働き、ガス雲が分裂・収縮して星になる作用が円盤銀河の場合よりも効きづらくなります。
このため、楕円銀河では同量の分子ガスから星を生み出す割合“星形成効率”が円盤銀河よりも低くなり、星形成活動が抑制されやすい っというのが“形態による抑制”説です。
実際の観測でも、楕円銀河の星形成効率は円盤銀河に比べて低いというデータが得られています。
でも、これまでの観測研究では“星形成をしている円盤銀河”と“星形成をしていない楕円銀河”でしか星形成効率を比べていませんでした。
銀河の形の影響だけを抜き出して正しく見積もることが出来ていないのかもしれません。
円盤型と楕円型の両方を含む銀河
今回、愛媛大学宇宙進化研究センターのチームは、銀河の形と星形成効率の関係を正しく評価するため、“グリーンバレー銀河”と呼ばれる銀河のグループに着目しました。
それは、“グリーンバレー銀河”が星形成銀河から非星形成銀河への進化途中にある銀河だと考えられていたからです。
青っぽい星形成銀河と赤っぽい非星形成銀河の中間的な性質を持っているので、グリーンバレー(緑色の谷間)と名付けられています。
円盤型と楕円型両方の銀河を含んでいる“グリーンバレー銀河”は、銀河の形と星形成効率の関係を調べるのに適しているといえます。
形の違いによる星の形成効率の差はほとんど無い
研究チームは“グリーンバレー銀河”の中から円盤型の銀河を13個、楕円型の銀河を15個選出。
国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡を用いて、一酸化炭素(CO)輝線の強さを測定しています。
CO輝線の強さを測ると、星の材料になる分子ガスがその銀河にどれくらい存在していたかを知ることが出来ます。
このCO輝線の強度データと、スローンデジタルスカイサーベイでこれらの銀河を可視光線で観測したデータから、各銀河の星形成率(1年間に新たに生み出す星の総質量)を求めています。
さらに導き出したのは、これら2つの情報を組み合わせた各銀河の“星形成効率”(銀河の星形成率をその銀河に含まれる分子ガスの質量で割った値)。
こうして求めた各銀河の星形成効率を比べてみると、調査した銀河のサンプルは全体的に星形成効率が低いものの、形の違いによる星形成効率の差はほとんどないことが分かります。
つまり、“グリーンバレー銀河”の星形成効率は形とは関係無く低い状態にあるということになるんですねー
これは、近年支持されてきた“形態による抑制”説を覆す結果…
銀河の星形成活動が止まるのに形の変化は必ずしも必要でないことを示唆するものでした。
今回の結果を踏まえると、銀河に見られる“形と星形成の活発さ”の関係は、何か別の原因によって作り出されていることになります。
楕円銀河では銀河内の分子ガスの量自体が、円盤銀河よりも少なくなってしまうような何らかのメカニズムがあるのでしょうか?
そこで研究チームが計画しているのが、より分解能の高いアルマ望遠鏡を観測に使うこと。
“グリーンバレー銀河”の内部で分子ガスが、どのように分布しているのかを詳細に調べるそうですよ。
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なぜ進化の進んだ大きい銀河の星形成は穏やかなのか? アルマ望遠鏡で見えてきた銀河内の星の工場
っというこれまでの定説を覆す結果が国立天文台野辺山の電波観測で得られました。
今後、星形成の止まった銀河には楕円銀河が多い っという銀河の性質を説明するには、別の理論が必要になるのかもしれません。
星形成活動に影響を及ぼすメカニズム
宇宙に存在する銀河は、新たな星を活発に生み出している銀河(星形成銀河)と、星形成がほぼ止まっている銀河(非星形成銀河)の2種類に分かれます。
星形成銀河の中で星を生み出す活動が止まると、その銀河は非星形成銀河へと進化すると考えられているのですが、銀河の星形成活動がどのようにして衰えたり止まったりするのかは完全には解明されていませんでした。
ただ、銀河の星形成が止まる仕組みを考える上で、銀河の“形”が重要な要素の1つになっているようです。
それは、星形成銀河の多くは円盤上で渦巻構造を持つ“円盤銀河”で、非星形成銀河はのっぺりした楕円型で細かい構造を持たない“楕円銀河”がほとだと知られているからです。
このことから、銀河の形と星形成活動の間には密接な関係がると考えることができるんですねー
星形成活動に何らかの影響を及ぼすメカニズムが、銀河の“形”に存在しているのかもしれません。
楕円銀河では星形成活動が抑制されやすい
こうしたメカニズムの候補として、“形態による星形成の抑制”というモデルが提唱されています。
楕円型の銀河では、銀河の星々は円盤銀河の場合よりも銀河中心部により集中して分布しています。
この場合、楕円銀河の中心にあるガス雲には、ガス雲自身の自己重力よりも銀河全体の重力の方が強く働き、ガス雲が分裂・収縮して星になる作用が円盤銀河の場合よりも効きづらくなります。
このため、楕円銀河では同量の分子ガスから星を生み出す割合“星形成効率”が円盤銀河よりも低くなり、星形成活動が抑制されやすい っというのが“形態による抑制”説です。
実際の観測でも、楕円銀河の星形成効率は円盤銀河に比べて低いというデータが得られています。
でも、これまでの観測研究では“星形成をしている円盤銀河”と“星形成をしていない楕円銀河”でしか星形成効率を比べていませんでした。
銀河の形の影響だけを抜き出して正しく見積もることが出来ていないのかもしれません。
円盤型と楕円型の両方を含む銀河
今回、愛媛大学宇宙進化研究センターのチームは、銀河の形と星形成効率の関係を正しく評価するため、“グリーンバレー銀河”と呼ばれる銀河のグループに着目しました。
それは、“グリーンバレー銀河”が星形成銀河から非星形成銀河への進化途中にある銀河だと考えられていたからです。
青っぽい星形成銀河と赤っぽい非星形成銀河の中間的な性質を持っているので、グリーンバレー(緑色の谷間)と名付けられています。
円盤型と楕円型両方の銀河を含んでいる“グリーンバレー銀河”は、銀河の形と星形成効率の関係を調べるのに適しているといえます。
形の違いによる星の形成効率の差はほとんど無い
研究チームは“グリーンバレー銀河”の中から円盤型の銀河を13個、楕円型の銀河を15個選出。
国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡を用いて、一酸化炭素(CO)輝線の強さを測定しています。
CO輝線の強さを測ると、星の材料になる分子ガスがその銀河にどれくらい存在していたかを知ることが出来ます。
このCO輝線の強度データと、スローンデジタルスカイサーベイでこれらの銀河を可視光線で観測したデータから、各銀河の星形成率(1年間に新たに生み出す星の総質量)を求めています。
さらに導き出したのは、これら2つの情報を組み合わせた各銀河の“星形成効率”(銀河の星形成率をその銀河に含まれる分子ガスの質量で割った値)。
(上段)スローン・デジタル・スカイ・サーベイで得られた円盤型(左)と 楕円型(右)の“グリーンバレー銀河”の可視光線画像。 (下段)野辺山45メートル電波望遠鏡でとらえた各銀河のCO輝線。 |
つまり、“グリーンバレー銀河”の星形成効率は形とは関係無く低い状態にあるということになるんですねー
これは、近年支持されてきた“形態による抑制”説を覆す結果…
銀河の星形成活動が止まるのに形の変化は必ずしも必要でないことを示唆するものでした。
研究チームが調査した円盤型と楕円型の“グリーンバレー銀河”の星形成効率。 両者の平均的な星形成効率には違いがなく、形によらずどちらの銀河でも同じ量の分子ガスからは、 同じ効率で新たな星が生み出されている。 |
楕円銀河では銀河内の分子ガスの量自体が、円盤銀河よりも少なくなってしまうような何らかのメカニズムがあるのでしょうか?
そこで研究チームが計画しているのが、より分解能の高いアルマ望遠鏡を観測に使うこと。
“グリーンバレー銀河”の内部で分子ガスが、どのように分布しているのかを詳細に調べるそうですよ。
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