高感度X線偏光観測衛星“IXPE”を用いて“ほ座パルサー星雲”のX線偏光を観測してみると、極限的な強さがあることが明らかになったんですねー
これは、かに星雲と比べて偏光度が平均で2倍以上もあり、理論上許される最大値に近いもの。
この結果から推測されるのは、ほ座パルサー星雲内の磁場は極めて均一で、ほとんど乱れなく粒子が加速されていることでした。
でも、そのような高度に秩序だった磁場は、不安定な流れや乱流が粒子の加速に重要な役割を果たすという理論モデルによる予測に反しています。
今後、さらに新たなパルサー星雲についても観測を行い、今回分かったよく揃った磁場の起源が何に関連しているのかを、より深い研究で進めていくようです。
中性子星は密度が地球の数100兆倍、磁場が地球の約1兆倍もある天体。
その多くが超高速で自転していて、地球から観測すると非常に短い周期で明滅する規則的な信号がとらえられるので、パルサーとも呼ばれています。
そのため、パルサーの周りには、X線を放出する“パルサー星雲”と呼ばれるものがよく観測されるんですねー
パルサー星雲から放出されるX線は、超新星残骸の中にある磁場と荷電粒子がぶつかって絡みついている最中に放出されたものだと考えられています。
でも、その磁場がどのようにしてできたのか? また、どの程度きれいに磁場が揃っているのか? 詳しいことは分かっていませんでした。
このような磁場の情報を知るための強力な手段があります。
それは、その領域から放出される電磁波の偏光、すなわち波の振動が特定の方向に偏っている度合いを観測すること。
磁場が揃っているほど偏光度が高くなります。
これまでにX線の偏光が測定されたパルサー星雲は、おうし座のM1“かに星雲”だけ。
かに星雲全体の平均的な偏光度はせいぜい20%程度でした。
“ほ座超新星残骸”は、ほ座(南半球からは観測できない星座)の方向にあり、光の速度で行ったとしても、地球から約1000年近くかかる距離に位置しています。
当初予想されていたのは、“ほ座パルサー星雲”の偏光度も、かに星雲と同程度になることでした。
でも、“IXPE”の観測結果はこの予想を覆し平均的な偏光度は45%と、かに星雲に比べ2倍以上強いことに…
さらに分かってきたのは、領域を絞ってみた場合には、60%を超えるような領域があること。
これは、荷電粒子と磁場の相互作用で生じる電磁波の偏光度としては、理論上許される最大値に近いものでした。
この結果から推測されるのは、ほ座パルサー星雲内の磁場は極めて均一で、ほとんど乱れなく粒子が加速されていること。
でも、そのような高度に秩序だった磁場は、不安定な流れや乱流が粒子の加速に重要な役割を果たすという理論モデルによる予測に反しています。
このような予想を超える結果が得られたので、IXPEチームの中でいくつものグループが個別にデータ解析を実施。
山形大学の渡邊瑛里プロジェクト研究員や郡司教授もその解析に参加しています。
そして、間違いなくこのように強く偏光したX線が放出されていることを確認しました。
高感度X線偏光観測衛星“IXPE”を用いた観測は、今後さらに新たなパルサー星雲についても行われる予定です。
今回分かったよく揃った磁場の起源が何に関連しているのかを、より深い研究が進められる予定です。
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これは、かに星雲と比べて偏光度が平均で2倍以上もあり、理論上許される最大値に近いもの。
この結果から推測されるのは、ほ座パルサー星雲内の磁場は極めて均一で、ほとんど乱れなく粒子が加速されていることでした。
でも、そのような高度に秩序だった磁場は、不安定な流れや乱流が粒子の加速に重要な役割を果たすという理論モデルによる予測に反しています。
今後、さらに新たなパルサー星雲についても観測を行い、今回分かったよく揃った磁場の起源が何に関連しているのかを、より深い研究で進めていくようです。
X線など非常に高いエネルギーの電磁波を放出するパルサー星雲
太陽よりも数十倍重い星が一生の最期を迎えると超新星爆発を起こし、その爆発の中心部には中性子星が形成されることがあります。中性子星は密度が地球の数100兆倍、磁場が地球の約1兆倍もある天体。
その多くが超高速で自転していて、地球から観測すると非常に短い周期で明滅する規則的な信号がとらえられるので、パルサーとも呼ばれています。
中性子星は、太陽の10~30倍程度の恒星が、一生の最期に大爆発した後に残される宇宙で最も高密度な天体。主に中性子からなる天体で、ブラックホールと異なり半径10キロ程度の表面が存在し、そこに地球の約50万倍の質量が詰まっていている。一般に強い磁場を持つものが多い。
パルサーから勢い良く放出された荷電粒子は周囲の超新星残骸とぶつかり、X線など非常に高いエネルギーの電磁波を放出することがしられています。そのため、パルサーの周りには、X線を放出する“パルサー星雲”と呼ばれるものがよく観測されるんですねー
パルサー星雲から放出されるX線は、超新星残骸の中にある磁場と荷電粒子がぶつかって絡みついている最中に放出されたものだと考えられています。
でも、その磁場がどのようにしてできたのか? また、どの程度きれいに磁場が揃っているのか? 詳しいことは分かっていませんでした。
このような磁場の情報を知るための強力な手段があります。
それは、その領域から放出される電磁波の偏光、すなわち波の振動が特定の方向に偏っている度合いを観測すること。
磁場が揃っているほど偏光度が高くなります。
これまでにX線の偏光が測定されたパルサー星雲は、おうし座のM1“かに星雲”だけ。
かに星雲全体の平均的な偏光度はせいぜい20%程度でした。
“ほ座パルサー星雲”からの強く偏光したX線の放出
今回、中国・広西大学のFei Xeiさんたちの研究チームは、高感度X線偏光観測衛星“IXPE”を用いて“ほ座超新星残骸(Gum 16)”を観測。“ほ座超新星残骸”は、ほ座(南半球からは観測できない星座)の方向にあり、光の速度で行ったとしても、地球から約1000年近くかかる距離に位置しています。
“IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)”は、2021年12月9日に打ち上げられた世界初の高感度X線偏光観測衛星で、NASAとイタリア宇宙機関の主導する国際共同プロジェクト。日本グループは、主要観測装置の一部を提供するとともに、マグネターをはじめとする様々な天体のX線偏光観測とデータ解析に参加している(山形大学、広島大学、理化学研究所、大阪大学、千葉大学、名古屋大学、東京理科大など)。
残骸の中心に位置するパルサーが超新星爆発とともに生まれたのは、今から約1万1000年前と比較的新しく、パルサー星雲からは強いX線やガンマ線が放出されています。ほ座パルサーとパルサー星雲。高感度X線偏光観測衛星“IXPE”とX線天文衛星“チャンドラ”、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを合成した疑似カラー画像。(Credit: NASA/CXC/SAO/IXPE) |
でも、“IXPE”の観測結果はこの予想を覆し平均的な偏光度は45%と、かに星雲に比べ2倍以上強いことに…
さらに分かってきたのは、領域を絞ってみた場合には、60%を超えるような領域があること。
これは、荷電粒子と磁場の相互作用で生じる電磁波の偏光度としては、理論上許される最大値に近いものでした。
この結果から推測されるのは、ほ座パルサー星雲内の磁場は極めて均一で、ほとんど乱れなく粒子が加速されていること。
でも、そのような高度に秩序だった磁場は、不安定な流れや乱流が粒子の加速に重要な役割を果たすという理論モデルによる予測に反しています。
このような予想を超える結果が得られたので、IXPEチームの中でいくつものグループが個別にデータ解析を実施。
山形大学の渡邊瑛里プロジェクト研究員や郡司教授もその解析に参加しています。
そして、間違いなくこのように強く偏光したX線が放出されていることを確認しました。
高感度X線偏光観測衛星“IXPE”を用いた観測は、今後さらに新たなパルサー星雲についても行われる予定です。
今回分かったよく揃った磁場の起源が何に関連しているのかを、より深い研究が進められる予定です。
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