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銀河団の形成に関わる? ブラックホールのアウトフロー

2012年12月04日 | 宇宙 space
115億光年以上のかなたにある超大質量ブラックホール。
ここで、記録的なガスとチリの放出現象(アウトフロー)が観測されました。

このブラックホールは、質量が太陽の10~30億倍あり、“SDSS J1106+1939”と呼ばれるクエーサーの中心部に存在します。
(クエーサーとは、非常に明るく輝く活動銀河核の一種で、超大質量ブラックホールを中心にもつ天体です。)









クエーサー“SDSS J1106+1939”の
超大質量ブラックホール近傍で
物質が放出されている様子
(イメージ図)






この現象は、これまでで最も強力なもので、そのパワーは過去に観測された現象の5倍もあるようです。

今回の研究では、南米チリにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の高性能望遠鏡を使われています。
そして研究チームは、このアウトフローの速度と、その他の特性を計測することに成功しています。

この現象は、クエーサーから約1000光年の場所で発生しています。
年間に太陽の400倍もの重さの物質を放出していて、放出する速度は時速約2900万キロに達するんですねー

そして、このクエーサーの中心にあるブラックホールが、巨大なエネルギー源のようになっています。
質量は天の川銀河にあるブラックホールの少なくとも1000倍はあり、天の川銀河全体の約100倍の出力でエネルギーを生成しているとみられています。

超大質量ブラックホールは、太陽系を丸飲みできるほど大きく、恒星を引き裂いて吸い込んでしまうことで知られています。
でも、一方で遠方のクエーサーのエネルギー源となり、高速で物質を放出しているんですねー

アウトフローは、銀河の進化に重要な役割を果たしていると考えられてきました。
ただ、果たしてそれほど強力な現象なのか? っということも研究者の間で、長年の疑問になっています。

今回観測された強力なアウトフローによって、
銀河の質量は中心にあるブラックホールの質量と、どのように関連しているのか?
宇宙にはなぜ巨大銀河が比較的に少ないのか?
っといった、宇宙の主要な謎が解けるかもしれません。

そして、銀河と銀河団の形成をめぐる複数の重要な問題…
これをクエーサーのエネルギー出力によって説明する、理論的概念がいくつか存在します。
今回の発見は、それらを裏付ける決定的な証拠になるかもしれないんですねー

今回の研究で得られたクエーサーの優れた分光データは、標準的なアウトフローのエネルギー特性の定量化に大きな進展をもたらしました。

このことは、銀河の進化の全貌を解き明かし、その中でクエーサーが果たしている役割を突き止める上で、重要な一歩になるようです。


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