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太陽系の最果てで発見された小天体“ファーアウト”は、未知の第9惑星発見のカギになるのか?

2019年01月04日 | 太陽系・小惑星
すばる望遠鏡による観測で、太陽から120au(180億キロ)もの彼方に新天体“2018 VG18”が発見されました。100auを超える距離で太陽系外縁天体が発見されたのは今回が初めてのことなんですねー

これまで知られている太陽系外縁天体の多くが、お互いに類似した軌道の性質を持っています。
この類似した軌道は、数百au彼方にある未知の第9惑星の影響だと仮定すれば、うまく説明できるそうです。

それでは、“2018 VG18”の軌道も未知の第9惑星の存在を示しているのでしょうか?

大変遠くにある“2018 VG18”は軌道速度が遅く、太陽の周りを一周するのに1000年はかかるので、軌道を確定するのに今後数年の追跡観測が必要になるようですよ。


太陽から最も離れた場所で見つかった天体

アメリカ・カーネギー研究所の研究チームが、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ“ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)”を使った観測から新天体“2018 VG18”を発見しました。

チリ・ラスカンパナス天文台のマゼラン望遠鏡による確認観測で分かったことは、この天体が太陽から120au(太陽から地球までの距離の約120倍=180億キロ)の距離に位置していること。

この距離は、準惑星エリスが発見された96auを大きく上回っていて、新記録になるんですねー
100auを超える距離で太陽系天体が発見されたのも今回が初めてのことでした。
  “2018 VG18”は太陽系の最遠で見つかったので、
  “ファーアウト(Farout=遠く離れた)”という名称が付けられている。

○○○
すばる望遠鏡で観測された新天体“2018 VG18”の発見画像(2018年11月10日に撮影)。
(1時間ごとに撮影された2枚の画像を交互に表示。)
背景の恒星に対して、画像中央にある小さな光点が動いていることが分かる。
“2018 VG18”は、大変遠くにあるので軌道速度が遅く、おそらく太陽の周りを一周するのに1000年はかかるそうです。


太陽系外縁天体は未知の惑星の影響を受けている

明るさから判断した“2018 VG18”の大きさは、直径500キロの球形で準惑星クラスだと考えられています。

また、氷を多く含む天体に見られるピンク色の色調をしていることも分かっています。
○○○
“2018 VG18”(手前)のイメージ図。
太陽もはるか彼方の光点(上)としか見えない。
研究チームでは、理論的に予測されている太陽系の未知の惑星“第9惑星(プラネット・ナイン)”を含む、太陽系外縁部の天体の探査を行ってきました。

そして、2014年に太陽系外縁天体“2012 VP113”を発見し(現在の距離は84au)、2018年10月には、すばる望遠鏡の観測から80au彼方の太陽系外縁天体“2015 TG387”を発見しています。

  やっぱり第9惑星の存在を示している?
  すばる望遠鏡が太陽系の外縁部で発見したのは偏った軌道を持つ天体

    

これら2つの天体の軌道は、海王星や木星といった太陽系の大きな惑星から十分に離れているので、重力的な影響はほとんど受けないはずです。

そこで研究チームは、2つの天体の軌道の性質が未知の第9惑星の存在を示していると考えたわけです。

ただ、今回発見された“2018 VG18”は軌道速度が遅いので、太陽を公転する軌道を確定するのに今後数年の追跡観測が必要になるんですねー
でも、“2012 VP113”や“2015 TG387”に近い方向で見つかっているので、似た軌道を持っている可能性は十分にあります。

これまで知られている遠方にある太陽系外縁天体の多くが、お互いに類似した軌道の性質を持っていました。

この類似した軌道の原因が、数百au彼方にある未知の第9惑星の影響だとすれば、“2018 VG18”の軌道はどうなのでしょうか?

“2018 VG18”を、未知の第9惑星の存在を示唆するこれらの天体に加えるには、まだ少し時間が必要なようです。
今後の観測結果が待ち遠しいですね。


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