位置天文衛星“ガイア”の観測データを利用した研究から、天の川銀河で星の誕生が増えた時期が3回存在することが判明しました。
この3度のタイミングと一致したのが矮小銀河の衝突。
“いて座矮小銀河”は、過去3度にわたって天の川銀河と衝突していたようです。
天の川の周りを回っている銀河
“いて座矮小銀河”は、天の川銀河の周りを回っている伴銀河の1つで、1990年代まで存在が知られていなかった小規模な銀河です。
伴銀河(衛星銀河ともいう)とは重力の相互作用により、より大きな銀河の周囲を公転する銀河。
この小さな銀河は、過去に繰り返し天の川銀河の円盤を突き抜け、天の川銀河の星の動きに深い影響を及ぼしていたことが、これまでの研究で示唆されています。
天の川銀河のトレードマークである渦巻も、“いて座矮小銀河”が繰り返し衝突した結果形成されたものだと主張する論文もあるほどです。
最新の研究で分かってきたのは、その衝突のたびに天の川銀河で大量の星が生まれていること。
私たちの太陽も、その衝突で生まれた星の1つかもしれないんですねー
星の形成が促進された3回のタイミングと矮小銀河による3度の衝突
今回の研究では、スペイン・カナリア天体物理研究所のチームが、太陽を中心とした半径6500光年の球内にある星の光度、距離、色を調査。
ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”が集めたデータを用いています。
調査結果から導き出される星々の年齢から分かってきたのは、57億年前、19億年前、10億年前という3回のタイミングに、星の形成が促進されていた時期があることでした。
一方で“いて座矮小銀河”が天の川銀河と衝突したのも3回。
最初の衝突が50~60億年前、2度目が約20億年前、3度目が10億年前ごろとされているので、星形成が促進されていた時期と、見事なまでの一致を見せているんですねー
衝突のシナリオは以下の通りです。
天の川銀河では、最初に爆発的に星が生まれる時期があったが、やがて安定した状態になり一定のペースに落ち着いていきます。
ところが、突然衝突してきた“いて座矮小銀河”により平衡状態が崩れてしまいます。
すると、それまで静止していたガスやチリが、水面の波紋のように跳ね上がることに…
このようにして、天の川銀河の中に波紋が広がると、ガスやチリが押し寄せた部分で星の誕生が促進されるというわけです。
このことから研究チームが考えているのは、“いて座矮小銀河”が天の川銀河における星の形成に大きく寄与しているのではないかということ。
反対に、衝突のたびにガスやチリを剥ぎ取られた“いて座矮小銀河”は、小さくなっていったようです。
衝突は太陽系の誕生にも関わっている?
この“いて座矮小銀河”による衝突がなければ、私たちの太陽系も誕生していなかった可能性もあるようです。
太陽が生まれた時期として考えられているのは、“いて座矮小銀河”が初めて天の川銀河を通過したときの影響で星々が誕生していた頃。
ただ、太陽の材料になったガスとチリを収縮させた原因が“いて座矮小銀河”かどうかは、まだはっきりしていないんですねー
太陽の年齢が“いて座矮小銀河”の影響で生まれた星と一致するので可能性はありそうです。
さらに、今回の研究データが示唆しているのは、“いて座矮小銀河”が数億年前にも天の川銀河の円盤を突き抜けたという可能性でした。
実際、新たな研究によれば、最近になって星の形成率が増加しているので、現在の天の川銀河では星のベビーブームが進行しているのかもしれません。
位置天文衛星“ヒッパルコス”が1990年代初期に取得した観測データを元に、天の川銀河における星形成の歴史はいくらか特定されていました。
でも、その観測は太陽のごく近傍に限定されていて、銀河全体を代表するものではありませんでした。
今、私たちが見ている爆発的な星形成を明らかにすることはできなかったんですねー
2013年に打ち上げられた“ガイア”は、天の川銀河に属する恒星の位置と速度、性質を、きわめて精密に測定・記録してきました。
これらは、天の川銀河の起源や構造、そして進化に関する重要な問題に取り組む際の基礎データになるものです。
今回、天の川銀河における星形成の詳細な歴史を見れたのは“ガイア”の観測データのおかげですね。
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天の川銀河の周りには、未発見の矮小銀河が多数存在している。
この3度のタイミングと一致したのが矮小銀河の衝突。
“いて座矮小銀河”は、過去3度にわたって天の川銀河と衝突していたようです。
天の川の周りを回っている銀河
“いて座矮小銀河”は、天の川銀河の周りを回っている伴銀河の1つで、1990年代まで存在が知られていなかった小規模な銀河です。
伴銀河(衛星銀河ともいう)とは重力の相互作用により、より大きな銀河の周囲を公転する銀河。
この小さな銀河は、過去に繰り返し天の川銀河の円盤を突き抜け、天の川銀河の星の動きに深い影響を及ぼしていたことが、これまでの研究で示唆されています。
天の川銀河のトレードマークである渦巻も、“いて座矮小銀河”が繰り返し衝突した結果形成されたものだと主張する論文もあるほどです。
最新の研究で分かってきたのは、その衝突のたびに天の川銀河で大量の星が生まれていること。
私たちの太陽も、その衝突で生まれた星の1つかもしれないんですねー
星の形成が促進された3回のタイミングと矮小銀河による3度の衝突
今回の研究では、スペイン・カナリア天体物理研究所のチームが、太陽を中心とした半径6500光年の球内にある星の光度、距離、色を調査。
ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”が集めたデータを用いています。
調査結果から導き出される星々の年齢から分かってきたのは、57億年前、19億年前、10億年前という3回のタイミングに、星の形成が促進されていた時期があることでした。
一方で“いて座矮小銀河”が天の川銀河と衝突したのも3回。
最初の衝突が50~60億年前、2度目が約20億年前、3度目が10億年前ごろとされているので、星形成が促進されていた時期と、見事なまでの一致を見せているんですねー
“いて座矮小銀河”(黄色っぽい楕円)と天の川銀河の変遷のイラスト。上段左から順に80億年前、57億年前の1度目の衝突、30億年前、19億年前の2度目の衝突、10億年前の3度目の衝突、現在。(Credit: ESA) |
天の川銀河では、最初に爆発的に星が生まれる時期があったが、やがて安定した状態になり一定のペースに落ち着いていきます。
ところが、突然衝突してきた“いて座矮小銀河”により平衡状態が崩れてしまいます。
すると、それまで静止していたガスやチリが、水面の波紋のように跳ね上がることに…
このようにして、天の川銀河の中に波紋が広がると、ガスやチリが押し寄せた部分で星の誕生が促進されるというわけです。
このことから研究チームが考えているのは、“いて座矮小銀河”が天の川銀河における星の形成に大きく寄与しているのではないかということ。
反対に、衝突のたびにガスやチリを剥ぎ取られた“いて座矮小銀河”は、小さくなっていったようです。
衝突は太陽系の誕生にも関わっている?
この“いて座矮小銀河”による衝突がなければ、私たちの太陽系も誕生していなかった可能性もあるようです。
太陽が生まれた時期として考えられているのは、“いて座矮小銀河”が初めて天の川銀河を通過したときの影響で星々が誕生していた頃。
ただ、太陽の材料になったガスとチリを収縮させた原因が“いて座矮小銀河”かどうかは、まだはっきりしていないんですねー
太陽の年齢が“いて座矮小銀河”の影響で生まれた星と一致するので可能性はありそうです。
さらに、今回の研究データが示唆しているのは、“いて座矮小銀河”が数億年前にも天の川銀河の円盤を突き抜けたという可能性でした。
実際、新たな研究によれば、最近になって星の形成率が増加しているので、現在の天の川銀河では星のベビーブームが進行しているのかもしれません。
位置天文衛星“ヒッパルコス”が1990年代初期に取得した観測データを元に、天の川銀河における星形成の歴史はいくらか特定されていました。
“ヒッパルコス”は1989年に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星。
でも、その観測は太陽のごく近傍に限定されていて、銀河全体を代表するものではありませんでした。
今、私たちが見ている爆発的な星形成を明らかにすることはできなかったんですねー
2013年に打ち上げられた“ガイア”は、天の川銀河に属する恒星の位置と速度、性質を、きわめて精密に測定・記録してきました。
これらは、天の川銀河の起源や構造、そして進化に関する重要な問題に取り組む際の基礎データになるものです。
今回、天の川銀河における星形成の詳細な歴史を見れたのは“ガイア”の観測データのおかげですね。
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