宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

火星の黒い筋模様は水が流れてできたものではない?

2016年01月09日 | 火星の探査
火星の表面に液体の水が存在する「これまでで最も有力な証拠」が、
数か月前に発表されました。

でも、少なくとも火星の多数の傾斜地に刻まれた溝には、
液体の水は存在しないとする研究結果が発表されたんですねー

フランスの研究チームが発表したこの研究結果には、
火星にある小渓谷は、地球上で見られるような水流によるものではなく、
ドライアイスの融解によって形成された可能性が高いそうです。
NASAが公開した火星の地表上に見られる筋模様(2014年7月14日撮影)。


水でなく二酸化炭素だった

「火星の熱帯地域の傾斜地に走る黒い線は、超高濃度の塩水によってできた筋で、
 生命を維持できる水の存在を推測させるものだ」
という研究結果が発表されたのが9月のことでした。

この発表はメディアで大々的に報じられるのですが、
今回の研究では、これを示唆する結果は何も得られなかったそうです。

今回、研究チームが扱っているのは、
火星の別の地域、主に緯度30~60度の中緯度領域にある、
極の側を向いた寒冷な傾斜地表面の地質特性に関するもの。

目指していたのは、クレーターの壁や丘陵など、
火星の隆起地形に刻まれた小渓谷の形成原因の究明でした。

これらの小渓谷は発見当初、
数十万年前に起きた氷の融解や地下水の漏水によって、
形成されたものだと考えられていました。

でもその後、現在の火星は気温が低すぎて水が液体で存在できないのに、
小渓谷の形成が進行中だということが分かるんですねー

そこで研究チームでは、
小渓谷が形成される期間に存在することが観測されている、
凍結した二酸化炭素による薄い層に答えを求めることになります。
火星の北の平原にあるクレーターに見られる筋模様(2015年7月30日撮影)。


すべてが二酸化炭素では説明できない

表面の氷層の下で出口がない状態で融解した二酸化炭素は、
ガスとして蓄積されていきます。

そして最終的には、
表層土を突き破ってガスと土石の噴流を引き起こすと、
考えることができます。

そこで研究チームが行ったのが、
この説を裏付けるためのコンピュータ・シミュレーションでした。
もちろん地球上では、同様のプロセスが起きた例は知られていません。
火星の地表上の筋模様(2014年8月1日撮影)。

ドライアイスの融解によって、
火星の小渓谷の形成すべてを説明できるわけではありません。

ただ、最近になって形成された小渓谷がある寒冷地帯については、
二酸化炭素ガス形成説が有力ということです。

赤道に近い領域で発見された小渓谷は、
別のメカニズムで形成された可能性が高いんですねー

なので今言えることは、
どのような可能性も排除することはできないということ。

どうやら、今回の研究と9月の発表との関連性は無いようですね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 火星で液体の水が流れている!? 有力な証拠をNASAが発表


最新の画像もっと見る

コメントを投稿