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ブラックホールは2つの時よりも3つの方が速く合体する?

2019年10月06日 | ブラックホール
X線天文衛星“チャンドラ”などの観測から、3つの超大質量ブラックホールからなる衝突銀河の様子がとらえられました。

この現象は複数の望遠鏡を使うという手法によって発見されたんですが、3つのブラックホールが起こす相互作用も分かってきたようです。


3つの銀河中心ブラックホールが合体する天体

かに座の方向約10億光年の距離に位置する“SDSS J084905.51+111447.2”は、市民科学者たちが協力する銀河分類プロジェクト“Galaxy Zoo Project”で、複数の銀河が衝突しつつある状態にあると考えられている天体です。

NASAのX線天文衛星“チャンドラ”や赤外線天文衛星“WISE”などの観測により明らかになってきたのは、この“SDSS J084905.51+111447.2”の正体が、3つの銀河が互いに接近しているものであること。

このことが意味しているのは、それぞれの銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールも衝突する運命にあるということ。
3つの超大質量ブラックホール同士の距離は約1万から3万光年しかないそうです。
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“SDSS J084905.51+111447.2”。左下の四角内が“チャンドラ”がとらえたX線画像。
背景画像はハッブル宇宙望遠鏡とスローン・デジタル・スカイサーベイによる可視光線(赤、緑、青)画像。


ガスやチリで覆い隠された天体

観測では合体過程にあるブラックホールに典型的にみられる特徴が見つかっています。

それは、3つの超大質量ブラックホールの1つの周囲に、大量のガスとチリが存在するという証拠でした。

ただ、ガスやチリに覆い隠されていると発見するのは難しくなります。
そこで、今回の研究ではX線や赤外線といった多波長の観測データを組み合わせることで発見を可能にしています。


3つのブラックホールが起こす相互作用

もともと今回の研究で探していたのはブラックホールのペアでした。

この過程で見つかったのが、3つの超大質量ブラックホールからなる“SDSS J084905.51+111447.2”だったんですねー

さらに、“SDSS J084905.51+111447.2”は活動銀河核が3つ接近しているような天体としては、これまでで最も確実性の高いものでした。
  活動銀河核は活発に活動している超大質量ブラックホール

今は2重や3重の超大質量ブラックホールは極めて珍しい存在です。
でも、銀河が衝突と合体を繰り返して大きくなるという考え方に基づけば、こうした多重ブラックホールの存在は自然かつ必然的なもののはず。

3つのブラックホールが相互作用を起こすと、2つだけのブラックホールが合体してより大きくなるよりもずっと速く、3つのうちの2つのブラックホールが合体します。

ブラックホールが2つだけの場合だと、お互いの距離が数光年以内まで接近しても、公転運動のエネルギーの大きさのためになかなか合体するほどまで近づくことができません。

でも、3つ目のブラックホールがあれば、この問題が解決するんですねー

コンピューターを用いたシミュレーションによれば、衝突銀河内にある超大質量ブラックホールのペアのうち16%は、合体前に3つ目のブラックホールと相互作用することが示されているそうです。

今回のように複数の望遠鏡を使うという手法によって、今後さらに多くの3重ブラックホールが発見されるといいですね。
“SDSS J084905.51+111447.2”の紹介動画。


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