1977年に打ち上げられたNASAの惑星探査機“ボイジャー1号(Voyager 1)”と“ボイジャー2号(Voyager 2)”。
現在、この双子の探査機は、太陽圏を脱して星間空間を航行中、寿命をはるかに超えて46年間にも渡ってミッションを継続しています。
NASAの技術者は、この2機の老探査機の寿命を少しでも伸ばすべく、様々な取り組みを行っています。
最近では、スラスターの動作を修正するコマンドを送信したり、昨年“ボイジャー1号”で発生した不具合の再発を防ぐためのソフトウェアをアップロードといったことが行われているようです。
スラスター内では、外部の燃料ラインより25倍も細いチューブを推進剤が通ることになります。
ただ、スラスターの点火のたびに、そのチューブ内には、ごくわずかの残留物が残ってしまうんですねー
打ち上げから46年が経過し、一部のチューブでは残留物の蓄積が顕著になっているものもあります。
そこで、ボイジャーミッションの技術者が考えたのは、残留物の蓄積を遅らせるため、スラスターを噴射する前のアンテナと地球との間の角度のズレの許容範囲を、わずかに広げることでした。
これにより、スラスターの噴射頻度を減らすことができる訳です。
許容角度が大きくなると、気になるのは科学データの一部がときおり失われる可能性があること。
でも、今後のミッション全体としては、“ボイジャー”がこの先より多くのデータを送信することができると、ミッションチームは結論付けています。
スラスター内の細いチューブは、いつ詰まってしまうのでしょうか?
この時期を正確に予測することはできません。
でも、ミッションチームでは、今回の予防策によって少なくとも5年間は、完全に詰まることにはならないと見ています。
昨年、探査機の姿勢制御に関わる“AACS(attitude articulation and control system)”というシステムの動作が正常なのにもかかわらず、探査機の状態を反映していないテレメトリデータが送られてくる不具合が、“ボイジャー1号”で発生しました。
その時の不具合の原因は、“AACS”が適切でないコンピュータを介してテレメトリデータを送信したことにあり、すでに問題は解決しています。
ただ、どうして適切でないコンピュータにデーを送信するようになったのかは分からず…
根本的な原因が特定できていないので、再発するかどうかは分からない状況です。
ミッションチームは、この問題を防ぐはずだとして、ソフトウェアパッチのアップロードしようとしています。
パッチによって重要なコードが上書きされたり、そのほかの予期しない影響が生じるリスクもあります。
このリスクを低減するため、ミッションチームでは数か月をかけてコードの作成やチェックを行ってきました。
現在、“ボイジャー1号”は地球から240億キロ以上、“ボイジャー2号”は200億キロ以上離れた星間空間を航行しています。
“ボイジャー1号”は、人類史上最も遠方を航行する探査機として探査データの重要度も高いので、まずは“ボイジャー2号”にパッチをアップロードして試すことになっています。
コマンドが届くのにかかる時間は、“ボイジャー1号”は22時間以上、“ボイジャー2号”は18時間以上になります。
すでに、“ボイジャー2号”へのパッチが、10月20日にアップロードされているはずです。
問題が生じなければ、10月28日にはコマンドを送り、パッチが正常に動作しているかどうかを確認する予定になっています。
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現在、この双子の探査機は、太陽圏を脱して星間空間を航行中、寿命をはるかに超えて46年間にも渡ってミッションを継続しています。
NASAの技術者は、この2機の老探査機の寿命を少しでも伸ばすべく、様々な取り組みを行っています。
最近では、スラスターの動作を修正するコマンドを送信したり、昨年“ボイジャー1号”で発生した不具合の再発を防ぐためのソフトウェアをアップロードといったことが行われているようです。
星間空間を航行するNASAの惑星探査機“ボイジャー”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech) |
通信用アンテナを地球に向ける装置
2機の“ボイジャー”のスラスターは、主に探査機の通信用のアンテナを地球に向けるために使われています。スラスター内では、外部の燃料ラインより25倍も細いチューブを推進剤が通ることになります。
ただ、スラスターの点火のたびに、そのチューブ内には、ごくわずかの残留物が残ってしまうんですねー
打ち上げから46年が経過し、一部のチューブでは残留物の蓄積が顕著になっているものもあります。
そこで、ボイジャーミッションの技術者が考えたのは、残留物の蓄積を遅らせるため、スラスターを噴射する前のアンテナと地球との間の角度のズレの許容範囲を、わずかに広げることでした。
これにより、スラスターの噴射頻度を減らすことができる訳です。
許容角度が大きくなると、気になるのは科学データの一部がときおり失われる可能性があること。
でも、今後のミッション全体としては、“ボイジャー”がこの先より多くのデータを送信することができると、ミッションチームは結論付けています。
スラスター内の細いチューブは、いつ詰まってしまうのでしょうか?
この時期を正確に予測することはできません。
でも、ミッションチームでは、今回の予防策によって少なくとも5年間は、完全に詰まることにはならないと見ています。
不具合の再発を防ぐためのソフトウェアパッチ
ミッションチームは、2022年に“ボイジャー1号”で発生した不具合の再発を防ぐためのソフトウェアパッチを、2機の“ボイジャー”にアップロードしようとしています。昨年、探査機の姿勢制御に関わる“AACS(attitude articulation and control system)”というシステムの動作が正常なのにもかかわらず、探査機の状態を反映していないテレメトリデータが送られてくる不具合が、“ボイジャー1号”で発生しました。
その時の不具合の原因は、“AACS”が適切でないコンピュータを介してテレメトリデータを送信したことにあり、すでに問題は解決しています。
ただ、どうして適切でないコンピュータにデーを送信するようになったのかは分からず…
根本的な原因が特定できていないので、再発するかどうかは分からない状況です。
ミッションチームは、この問題を防ぐはずだとして、ソフトウェアパッチのアップロードしようとしています。
パッチによって重要なコードが上書きされたり、そのほかの予期しない影響が生じるリスクもあります。
このリスクを低減するため、ミッションチームでは数か月をかけてコードの作成やチェックを行ってきました。
現在、“ボイジャー1号”は地球から240億キロ以上、“ボイジャー2号”は200億キロ以上離れた星間空間を航行しています。
“ボイジャー1号”は、人類史上最も遠方を航行する探査機として探査データの重要度も高いので、まずは“ボイジャー2号”にパッチをアップロードして試すことになっています。
コマンドが届くのにかかる時間は、“ボイジャー1号”は22時間以上、“ボイジャー2号”は18時間以上になります。
すでに、“ボイジャー2号”へのパッチが、10月20日にアップロードされているはずです。
問題が生じなければ、10月28日にはコマンドを送り、パッチが正常に動作しているかどうかを確認する予定になっています。
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