火星と木星の間にある小惑星帯で最も大きい天体が準惑星ケレスです。
今回分かってきたのは、ケレス表面のクレータに、地球の海氷で一般的にみられる物質が見つかったこと。
さらに、このクレーターの地下には塩水をたたえる海があることでした。
地球以外の天体で海の誕生につながる物質が見つかったことは、生命誕生がどんな天体でも起こりうることを意味しているのかもしれません。
海氷で一般的にみられる物質をケレスのクレーターで発見
準惑星ケレスは、火星と木星の間に存在する小惑星帯で最大の天体(直径960キロ)で、C型小惑星に分類されています。
C型小惑星と呼ばれる天体は、有機物や水などの揮発性物質を多く含む“炭素質コンドライト”という隕石とスペクトルが似ているので、水や有機物が多く存在する天体だと予想されているんですねー
小惑星探査機“はやぶさ2”が探査を行った“リュウグウ”や、NASAの“オシリス・レックス”が探査中の“ベンヌ”もC型小惑星になります。
ケレスの表面には、今から約2200万年前の微惑星衝突で形成されたと考えられている、直径約92キロの“オッカトル・クレーター”があります。
今回、NASAの小惑星探査機“ドーン”による重力測定データから分かってきたのは、“オッカトル・クレーター”の地下およそ40キロには、今も幅数百から1,000キロにわたって塩水が溜まっていることでした。
さらに、“オッカトル・クレーター”の中央に存在しているのが“ケレアリア・ファキュラ”と呼ばれる明るい領域。
この領域では、ハイドロハライト(含水岩塩)という海氷で一般的にみられる物質が見つかっていて、地球以外では初めてのことでした。
“ケレアリア・ファキュラ”のハイドロハライトは、今から約750万年前と約200万年前に地表へと湧き上がってきた塩水に由来していると考えられています。
地球以外の天体で海の誕生につながる物質が見つかったことは、生命誕生がどんな天体でも起こりうることを示唆しています。
地球上で海が誕生したのも、今回ケレスで発見されたような事象が、ごく短期間に何度も繰り返されたからかもしれません。
ケレスで起きている“潮汐加熱”をともなわない独特な低温火山活動
今回、研究チームが注目したのは、“オッカトル・クレーター”の活動時期でした。
“ケレアリア・ファキュラ”のハイドロハライトの大部分は、クレーター形成時の熱で溶けた地下の浅いところからもたらされたものの、その熱は衝突から数百万年程度で失われたと見られています。
ただ、“ドーン”のミッション中に“オッカトル・クレーター”を断続的に覆う薄いもやの兆候が見つかっていること。
さらに、“ドーン”がケレスに到着する前の2014年には、ヨーロッパ宇宙機関の赤外線天文衛星“ハーシェル”によってケレスから水(水蒸気)が噴出していることも明らかになっています。
時にはかなり爆発的だったとされる初期の低温火山活動と比ると、なぜ現在の活動は落ち着きながらも続いているのでしょうか?
考えられる可能性は、クレーターが形成された際の衝撃で地殻に亀裂が生じ、地下の塩水が表面へと湧き上がる経路ができたことです。
この亀裂を通して今も塩水が地表へと湧き上がり、ほとんどが昇華によって失われているのかもしれません。
太陽系で知られているものとしては、独特な低温火山活動が起きている準惑星ケレス。
木星の衛星エウロパ、土星の衛星エンケラドス、海王星の衛星トリトンといった天体では、惑星の潮汐作用による内部の過熱“潮汐加熱”を熱源とした低温火山活動によって、地下から水などの物質が噴出していると見られています。
今回、ケレスは少なくとも比較的最近まで地質活動をしていたことが明らかになりました。
このことが示唆するのは、氷に富んだ天体では“潮汐加熱”が起きなくても、ケレスと同様の活動が生じているかもしれないということ。
さらに、ケレスにおけるごく最近の地質活動の証拠は、「小天体は地質学的に活発ではない。」 っとする一般的な認識を覆し、惑星科学に新たな方向性をもたらしたようです。
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今回分かってきたのは、ケレス表面のクレータに、地球の海氷で一般的にみられる物質が見つかったこと。
さらに、このクレーターの地下には塩水をたたえる海があることでした。
地球以外の天体で海の誕生につながる物質が見つかったことは、生命誕生がどんな天体でも起こりうることを意味しているのかもしれません。
海氷で一般的にみられる物質をケレスのクレーターで発見
準惑星ケレスは、火星と木星の間に存在する小惑星帯で最大の天体(直径960キロ)で、C型小惑星に分類されています。
C型小惑星と呼ばれる天体は、有機物や水などの揮発性物質を多く含む“炭素質コンドライト”という隕石とスペクトルが似ているので、水や有機物が多く存在する天体だと予想されているんですねー
小惑星探査機“はやぶさ2”が探査を行った“リュウグウ”や、NASAの“オシリス・レックス”が探査中の“ベンヌ”もC型小惑星になります。
ケレスの表面には、今から約2200万年前の微惑星衝突で形成されたと考えられている、直径約92キロの“オッカトル・クレーター”があります。
今回、NASAの小惑星探査機“ドーン”による重力測定データから分かってきたのは、“オッカトル・クレーター”の地下およそ40キロには、今も幅数百から1,000キロにわたって塩水が溜まっていることでした。
“ドーン”はNASAが打ち上げた準惑星ケレスおよび小惑星ベスタを目標とする無人探査機。低コストで効率の良いミッションを目指した太陽系内の探査計画“ディスカバリー”の1つ。
さらに、“オッカトル・クレーター”の中央に存在しているのが“ケレアリア・ファキュラ”と呼ばれる明るい領域。
この領域では、ハイドロハライト(含水岩塩)という海氷で一般的にみられる物質が見つかっていて、地球以外では初めてのことでした。
“ケレアリア・ファキュラ”のハイドロハライトは、今から約750万年前と約200万年前に地表へと湧き上がってきた塩水に由来していると考えられています。
ハイドロハライトという物質は、非常に不安定な存在で時間の経過とともに消失してしまうので、噴出し始めたのは最近2万年の出来事と考えられる。
地球以外の天体で海の誕生につながる物質が見つかったことは、生命誕生がどんな天体でも起こりうることを示唆しています。
地球上で海が誕生したのも、今回ケレスで発見されたような事象が、ごく短期間に何度も繰り返されたからかもしれません。
NASAの小惑星探査機“ドーン”が撮影した準惑星ケレス(疑似カラー画像)。中央付近にあるのが“オッカトル・クレーター”で、この中に明るい領域“ケレアリア・ファキュラ”が存在する。(Credit: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA) |
ケレスで起きている“潮汐加熱”をともなわない独特な低温火山活動
今回、研究チームが注目したのは、“オッカトル・クレーター”の活動時期でした。
“ケレアリア・ファキュラ”のハイドロハライトの大部分は、クレーター形成時の熱で溶けた地下の浅いところからもたらされたものの、その熱は衝突から数百万年程度で失われたと見られています。
ただ、“ドーン”のミッション中に“オッカトル・クレーター”を断続的に覆う薄いもやの兆候が見つかっていること。
さらに、“ドーン”がケレスに到着する前の2014年には、ヨーロッパ宇宙機関の赤外線天文衛星“ハーシェル”によってケレスから水(水蒸気)が噴出していることも明らかになっています。
時にはかなり爆発的だったとされる初期の低温火山活動と比ると、なぜ現在の活動は落ち着きながらも続いているのでしょうか?
考えられる可能性は、クレーターが形成された際の衝撃で地殻に亀裂が生じ、地下の塩水が表面へと湧き上がる経路ができたことです。
この亀裂を通して今も塩水が地表へと湧き上がり、ほとんどが昇華によって失われているのかもしれません。
太陽系で知られているものとしては、独特な低温火山活動が起きている準惑星ケレス。
木星の衛星エウロパ、土星の衛星エンケラドス、海王星の衛星トリトンといった天体では、惑星の潮汐作用による内部の過熱“潮汐加熱”を熱源とした低温火山活動によって、地下から水などの物質が噴出していると見られています。
今回、ケレスは少なくとも比較的最近まで地質活動をしていたことが明らかになりました。
このことが示唆するのは、氷に富んだ天体では“潮汐加熱”が起きなくても、ケレスと同様の活動が生じているかもしれないということ。
さらに、ケレスにおけるごく最近の地質活動の証拠は、「小天体は地質学的に活発ではない。」 っとする一般的な認識を覆し、惑星科学に新たな方向性をもたらしたようです。
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