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系外惑星の分光観測に成功 “うしかい座τ星b”

2012年07月09日 | 宇宙 space
“うしかい座τ星b”は、これまで大気を観測することができなかった系外惑星です。
今回オランダの研究チームが、この系外惑星からの光を直接分光して、
大気組成を調べることに成功しました。
“うしかい座τ星b”は初めて発見された系外惑星の1つで、地球に最も近い系外惑星の1つでもあるんですねー
主星(恒星)から非常に近い軌道を周回している巨大ガス惑星なので、ホットジュピターに分類されます。

ふつう系外惑星の大気を調べるには、惑星が恒星の前を通過する必要があります。
なぜかと言うと、惑星が恒星の前を通るとき、惑星の大気を通り抜けてきた恒星の光に大気の組成情報が入っているからなんですねー

でも、“うしかい座τ星b”は地球から見て恒星の前を横切ることがないため、この惑星の大気を調べることができませんでした。

そこで研究チームは観測に、チリ・パラナル天文台の超大型望遠鏡VLTに搭載されたCRIRESという装置を使っています。
この装置による高性能赤外線観測に、
惑星からわずかに放射される光を検出する新しい技術を組み合わせたんですねー

この結果、“うしかい座τ星b”の大気構造調査と、惑星の質量推定に初めて成功しました。
見えている光のたった0.01%が惑星から来たもので、他の全ては恒星の光だったそうです。

系外惑星のほとんどは、惑星がその重力で主星に与えるわずかな「ふらつき」を検出するドップラー・シフト法で見つかっています。

この場合観測から得られる情報は限られていて、惑星の質量下限しか求めることができませんでした。

これは主星がふらつく動きのうち検出できるのが、地球から見て視線方向の動き「遠ざかるか、近づくか」になるからなんですねー

惑星が本当はもっと重くて、主星をもっと大きく振り回しているとしても、公転面が地球から見て傾いていれば、それだけ視線方向の動きとして検出できないことになります。

でも、今回使われた新しい方法で惑星からの光を直接見れば、
惑星の公転面の角度が求められ、さらに惑星の正確な質量を求めることもできるんですねー

“うしかい座τ星b”の場合、44度傾いた軌道を回り、木星の6倍の質量を持っていることが確認されました。

さらに研究チームは惑星大気の一酸化炭素の存在量を求め、高度が高くなるほど大気の温度が下がることもわかりました。
これは他のホットジュピターで見られる温度逆転「高度が高くなるほど大気の温度が上がる」っという傾向とは全く逆の結果になりました。

将来、他の元素も検出できるようになれば、系外惑星の大気環境についてもっと分かるようになります。
惑星の公転運動を追跡しながら観測すれば、系外惑星の朝と夜の大気変化も見ることできるかもしれません。

この方法を使えば地球型惑星を発見して、生命活動の証拠を見つけることができる… のかもしれませねー


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