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原始惑星のコアだった可能性がある小惑星へ! 打ち上げ準備が進められるNASAの小惑星探査機“サイキ”は2023年10月出発予定

2023年08月13日 | 太陽系・小惑星
打ち上げ準備が進められているNASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機。
2023年7月25日(現地時間)、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センター近くにあるアストロテック・スペース・オペレーションズの施設で、探査機“Psyche(サイキ)”本体に太陽電池アレイ取り付けられているところです。
“Psyche”の日本語表記について、小惑星はラテン語の読み方の“プシケ”、NASAのミッションおよび探査機は英語の読み方の“サイキ”を用いています。
NASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機への太陽電池アレイ取り付け作業の様子(2023年7月25日撮影)。(Credit: NASA/Kim Shiflett)
NASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機への太陽電池アレイ取り付け作業の様子(2023年7月25日撮影)。(Credit: NASA/Kim Shiflett)

ディスカバリー計画で14番目のミッション

小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の目的は、火星と木星の間に広がる小惑星帯を公転する小惑星“16 Psyche(プシケ)”の周回探査。
“ディスカバリー計画”14番目のミッションとして2017年に選定されました。

ディスカバリーと言えば、1992年に当時のNASA長官が提唱した、「より速く、より良く、より安く」のスローガンを体現する計画。
過去のディスカバリー計画の探査ミッションには、小惑星“ベスタ”と準惑星“ケレス”を探査した“ドーン”、太陽系外惑星探査を行う“ケプラー”、彗星を探査した“メッセンジャー”などがあります。

そう、低コストのミッションなのに高パフォーマンス!
どれも素晴らしい結果を残しているんですねー

原始惑星のコアだった可能性がある小惑星へ

小惑星“16 Psyche(プシケ)”は、鉄やニッケルといった金属を豊富に含む“M型小惑星”に分類されています。

その正体は初期の太陽系で形成された原始惑星のコア(核)ではないかと予想されてきました。

過去に探査機が接近して観測した小惑星や彗星は主に岩石や氷でできているので、“16 Psyche(プシケ)”は金属質の小惑星を間近で観測する初のミッションになります。

地球のコアを直接調べることはできないので、原始惑星のコアだった可能性がある“16 Psyche(プシケ)”の観測を通して、地球のような惑星の形成についての貴重な情報が得られると期待されています。
NASAの小惑星探査機“Psyche(サイキ)”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin)
NASAの小惑星探査機“Psyche(サイキ)”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin)

打ち上げは日本時間の2023年10月5日23時38分

小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”は、もともと2022年の8月1日~10月11日に探査機を打ち上げる予定で準備が進められてきました。

でも、地上試験で用いられるソフトウェア試験用のテストベッド(試験用の環境やプラットフォームのこと)で問題が見つかるんですねー
このため、2022年6月には打ち上げがいったん見送られることに…
現在、探査機“Psyche(サイキ)”の打ち上げ目標日時は、日本時間の2023年10月5日23時38分に再設定されています。

NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、探査機“Psyche(サイキ)”には5枚のパネルを十字型に配置した太陽電池アレイが2基搭載されています。

展開後の面積は2基合わせて75平方メートルで、1基当たりの寸法は長さ11.3メートル・幅7.4メートル。
太陽電池アレイを拡げた“Psyche(サイキ)”の幅は、テニスコートの縦方向の長さとほぼ同じ24.7メートルにもなります。
小惑星探査機“Psyche(サイキ)”への太陽電池アレイ取り付け作業の動画(英語)。(Credit: NASA/Glenn Benson and Cory Huston)
巨大な太陽電池アレイの発電能力は地球近傍では21キロワット。
でも、地球よりも太陽から遠い小惑星帯では2キロワット強にまで低下してしまいます。

それでも、“16 Psyche(プシケ)”までの飛行を担うホールスラスター(キセノンを利用した電気推進システム)をはじめ、探査機本体のシステムや観測装置などの電力需要を満たすのに十分なんだとか。

“Psyche(サイキ)”に推進剤のキセノン(合計1085キロ)が充填されるのは2023年8月中旬。
2023年10月に打ち上げられると、2029年7月に“16 Psyche(プシケ)”に到着し、26か月間にわたって周回探査を実施する予定です。

“Psyche(サイキ)”により原始惑星やそのコアについて新たな知見が得られるのでしょうか… まずは打ち上げの成功ですね。
小惑星“16 Psyche(プシケ)”(奥)を観測する探査機“Psyche(サイキ)”(手前)のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)
小惑星“16 Psyche(プシケ)”(奥)を観測する探査機“Psyche(サイキ)”(手前)のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)


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