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アンテナの改修で7か月ぶり… NASAが久しぶりに“ボイジャー2号”へコマンドを送信

2020年11月16日 | 宇宙 space
太陽圏を脱出して恒星間空間を航行しているNASAの惑星探査機“ボイジャー2号”。
実は、今年の3月中旬から“ボイジャー2号”へのコマンド送信は休止しているんですねー

それは、“ボイジャー2号”との通信に用いられる通信網“ディープ・スペース・ネットワーク(DSN)”のアンテナが改修作業を受けていたからでした。

“ディープ・スペース・ネットワーク(DSN)”はNASAジェット推進研究所が運用する通信網で、“ボイジャー1号”や“ボイジャー2号”との通信に用いられています。
改修作業を受けていたのは、この“ディープ・スペース・ネットワーク”を構成する通信アンテナの一つ“DSS 43(Deep Space Station 43)”でした。

“DSS 43”が建設されたのは、オーストラリアの“キャンベラ深宇宙通信施設”。
1972年12月に打ち上げられた“アポロ17号”の頃から使用されてきた、直径が70メートルもあるアンテナです。

ジェット推進研究所の発表によると、10月に“ボイジャー2号”へのコマンド送信に成功し、運用の再開は来年初めになるそうです。
改修作業を受けている“ディープ・スペース・ネットワーク”の通信アンテナ“DSS 43”。(Credit: CSIRO)
改修作業を受けている“ディープ・スペース・ネットワーク”の通信アンテナ“DSS 43”。(Credit: CSIRO)

人類史上2番目に太陽圏を出た人工物“ボイジャー2号”

1977年に打ち上げられた“ボイジャー2号”は、16日後に地球を出発した“ボイジャー1号”と同じく、その設計寿命5年のうちに木星と土星への接近探査を行っています。

その後の遠隔アップデートにより“ボイジャー2号”はさらに高性能化され、天王星や海王星への接近通過も実施。
4つの惑星探査“グランドツアー”を終えた“ボイジャー2号”は、寿命をはるかに超えて43年間も飛行し続けているんですねー

NASA史上最長の稼働期間記録を持つ探査機になった“ボイジャー2号”が飛行しているのは、地球から180億キロ以上も離れた場所。
“ボイジャー2号”が送信したデータが地球に届くまでには約16.5時間もかかるそうです。
“ボイジャー2号機”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech)
“ボイジャー2号機”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech)

180億キロも離れた“ボイジャー2号”と通信するアンテナ

“ディープ・スペース・ネットワーク”のアンテナが建設されたのは南半球のオーストラリアだけでありません。
北半球のアメリカ(ゴールドストーン)やスペイン(マドリード)にも建設されていて、“ボイジャー1号”とは北半球のアンテナを使って通信することができます。

一方、地球から見た位置関係の都合上、南半球のアンテナを使わないと“ボイジャー2号”と通信することができないんですねー

キャンベラにある通信アンテナの中で、地球から180億キロ以上も離れた“ボイジャー2号”にコマンドを送信できるのは、強力な送信機を備えていてサイズも大きな“DSS 43”だけでした。

ただ、“DSS 43”は3月から改修作業が始まってしまったので、“ボイジャー2号”へコマンドを送ることができなくなっていました。

ジェット推進研究所によると、今回“DSS 43”から“ボイジャー2号”へマンドが送信されたのは10月29日のこと。
“ボイジャー2号”からはコマンドを受信したことを示す信号が返ってきていて、コマンドも問題なく実行されたそうです。

“ボイジャー2号”との通信に成功した“DSS 43”の運用再開は2021年2月に予定されています。

なお、太陽圏を離脱した“ボイジャー2号”から送信されている星間空間の観測データは、キャンベラにある直径34メートルの通信アンテナ3基を同時に使用することで、“DSS 43”の改修作業中も受信し続けているそうです。


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