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モバライダー mobarider

若い恒星を取り巻く、華やかな二重リング

2015年10月28日 | 宇宙 space
アルマ望遠鏡が、
若い恒星“おおかみ座IM星”の周りに、二重の華やかなリングをとらえたんですねー

この二重のリングは、今まさに惑星が形作られている円盤“原始惑星系円盤”にあり、
予想されていた内側のリング以外に、予想外になる外側のリングも発見されました。

この発見は、原始惑星系円盤の外側の性質を理解する手がかりになるようです。


リングの素材

若い星“おおかみ座IM星”の周りにある二重のリングは、
宇宙で最もありふれている重イオン(荷電分子)の1つ、
DCO+(重水素-炭素-酸素)でできているそうです。

ただ、宇宙にはHCO+(水素-炭素-酸素)という重イオンが多く分布しているんですねー

なのでDCO+は、HCO+の水素が“水素重水素交換”という反応で、
重水素に置き換えられたもののようです。
アルマ望遠鏡が観測した、“おおかみ座TM星”の周囲の原始惑星系円盤。
中心の恒星を取り囲むDCO+の二重リングが見えている。


外側のリングにあるDCO+

星の近くでは温度が低く、材料になる一酸化炭素(CO)ガスが豊富にあるので、
DCO+のリングが作られると考えられています。

もっと星に近いとDCO+ができるには暖かすぎで、
反対に離れてしまうと貯まっていた一酸化炭素がすべて凍り、
チリの粒や、微惑星の上に氷の膜を作ることになります。

では外側のリングのDCO+は、どうやってできたのでしょうか?

研究チームが導いたのは以下の仮説でした。

中心の星から遠くなるほど周囲の環境は冷たく暗くなります。

でも、円盤の密度がひじょうに低い部分では、
中心星からの光が、円盤の内部まで突き刺さるように届くことになります。

この光によって、凍っていた一酸化炭素が昇華し円盤中に戻っていくことで、
DCO+の生成が再び起こるというもの。

つまり、重水素でできた重い分子が、
これまで予想されていなかったような場所で、
作られる可能性があるということになります。

今回の研究により、
これらの分子が太陽系や、その他の惑星系の形成史を探る、
有力な道具になることが分かったということです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 原始惑星系円盤に2つ目のリングギャップを、すばる望遠鏡が発見


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