現在知られている褐色矮星の中で太陽系に一番近い“Luhman 16A”。
ここから届く光の偏光を調べてみると、“Luhman 16A”には雲の帯があり、木星のような縞模様になっていることが分かってきました。
将来的には、恒星の近くを回る高温のガス惑星の大気も調べられるようです。
6.5光年彼方にある褐色矮星の連星
光輝くのに必要な核融合反応を起こすには質量が小さすぎるため“恒星になることができなかった”天体。
それが褐色矮星です。
質量は木星の13倍~80倍もあるのに、重力で収縮しているのでサイズは木星と同程度。
こうした“惑星”でも“恒星”でもない褐色矮星に、木星や土星のような縞模様が存在することが観測により明らかになったんですねー
縞模様の証拠が得られたのは、ほ座の方向約6.5光年の彼方にある褐色矮星“Luhman 16A”。
“Luhman 16A”は、もう一つの褐色矮星“Luhman 16B”と連星を成していました。
どちらの褐色矮星も質量は木星の約30倍ほど、温度も摂氏1000度と同程度で、おそらく同時に形成されたと考えられています。
この連星系は、ケンタウルス座α星の3連星と、へびつかい座のバーナード星に次いで3番目に太陽系に近いものでした。
光の偏光により褐色矮星の雲を調べる
今回の研究を進めたのはアメリカ・カリフォルニア工科大学のチーム。
ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTで“Luhman 16”系からの偏光を調べています。
通常、光の波は様々な方向に振動しています。
でも、何らかの要因で特定の方向に振動が偏ることがあり、この状態を偏光といいます。
例えば、雲の中のしずくのような粒子が光を反射すると、特定の角度に偏向する傾向があります。
つまり、遠く離れた星系から届く光の偏光を調べることで、雲の姿を直接観測しなくてもその存在を確認することができるわけです。
研究では、光が何かとぶつかったのかを特定するため、観測結果をいろいろなモデルと比較。
褐色矮星の大気にはっきりとした雲の層がある場合、縞状の雲の帯がある場合、さらには自転速度が速くて褐色矮星が扁平な場合も考えています。
その結果、大気中に雲の帯があるモデルだけが、“Luhman 16A”の観測結果と一致することが分かったんですねー
“Luhman 16A”に安定した縞模様がある一方で、“Luhman 16B”の雲は不規則なまだら模様になっているようです。
そのため、“Luhman 16B”のほうだけが表面の明るさが変化していました。
偏光を測定する手法は褐色矮星だけでなく系外惑星にも適用できます。
褐色矮星の大気は、恒星の近くを回る高温のガス惑星の大気と似ているからです。
ただ、このような系外惑星は暗く、すぐ近くに恒星があるので偏光の観測はかなり難しくなります。
それでも、褐色矮星から得られた情報が将来の研究に役立つ可能性はあるそうです。
2021年にはNASAの“ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡”の打ち上げが予定されています。
さらに、NASAが計画中の“近赤外線広視野サーベイ望遠鏡”が加われば、系外惑星や褐色惑星の大気と雲に関する研究が進むはずですよ。
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この2つの天体にはどんな違いがあるの? 恒星と惑星の中間的な性質を持つ“褐色矮星” と 木星の数倍ある“巨大ガス惑星”
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将来的には、恒星の近くを回る高温のガス惑星の大気も調べられるようです。
6.5光年彼方にある褐色矮星の連星
光輝くのに必要な核融合反応を起こすには質量が小さすぎるため“恒星になることができなかった”天体。
それが褐色矮星です。
質量は木星の13倍~80倍もあるのに、重力で収縮しているのでサイズは木星と同程度。
こうした“惑星”でも“恒星”でもない褐色矮星に、木星や土星のような縞模様が存在することが観測により明らかになったんですねー
縞模様の証拠が得られたのは、ほ座の方向約6.5光年の彼方にある褐色矮星“Luhman 16A”。
“Luhman 16A”は、もう一つの褐色矮星“Luhman 16B”と連星を成していました。
どちらの褐色矮星も質量は木星の約30倍ほど、温度も摂氏1000度と同程度で、おそらく同時に形成されたと考えられています。
この連星系は、ケンタウルス座α星の3連星と、へびつかい座のバーナード星に次いで3番目に太陽系に近いものでした。
木星のような縞模様を持つ褐色矮星“Luhman 16A”のイメージ図(Credit: Caltech/R. Hurt (IPAC)) |
光の偏光により褐色矮星の雲を調べる
今回の研究を進めたのはアメリカ・カリフォルニア工科大学のチーム。
ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTで“Luhman 16”系からの偏光を調べています。
通常、光の波は様々な方向に振動しています。
でも、何らかの要因で特定の方向に振動が偏ることがあり、この状態を偏光といいます。
例えば、雲の中のしずくのような粒子が光を反射すると、特定の角度に偏向する傾向があります。
つまり、遠く離れた星系から届く光の偏光を調べることで、雲の姿を直接観測しなくてもその存在を確認することができるわけです。
研究では、光が何かとぶつかったのかを特定するため、観測結果をいろいろなモデルと比較。
褐色矮星の大気にはっきりとした雲の層がある場合、縞状の雲の帯がある場合、さらには自転速度が速くて褐色矮星が扁平な場合も考えています。
その結果、大気中に雲の帯があるモデルだけが、“Luhman 16A”の観測結果と一致することが分かったんですねー
“Luhman 16A”に安定した縞模様がある一方で、“Luhman 16B”の雲は不規則なまだら模様になっているようです。
そのため、“Luhman 16B”のほうだけが表面の明るさが変化していました。
偏光を測定する手法は褐色矮星だけでなく系外惑星にも適用できます。
褐色矮星の大気は、恒星の近くを回る高温のガス惑星の大気と似ているからです。
ただ、このような系外惑星は暗く、すぐ近くに恒星があるので偏光の観測はかなり難しくなります。
それでも、褐色矮星から得られた情報が将来の研究に役立つ可能性はあるそうです。
2021年にはNASAの“ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡”の打ち上げが予定されています。
さらに、NASAが計画中の“近赤外線広視野サーベイ望遠鏡”が加われば、系外惑星や褐色惑星の大気と雲に関する研究が進むはずですよ。
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