131億光年の彼方に位置するクエーサーの元素を調べてみると、太陽の300倍近い質量を持つ宇宙第一世代の星が超新星爆発で作りだしたと推定されるような特徴が見られたそうです。
これら“第一世代星(種族IIIの星)”は、ほぼ水素とヘリウムだけで出来ているはずです。
でも、その特徴を示す天体は、いまだ見つかっていません。
天文学では水素とヘリウムよりも重い元素のことを重元素と呼び、重元素の量が少ないと重い星が生まれやすくなります。
ガス雲が重力収縮して新たな星になるためには、ガス雲が冷える必要があるのですが、重元素が少ないガスは冷えにくいんですねー
このため、より大きなガスの塊でないと圧力に打ち勝って重力収縮が進まないからです。
こうして誕生した大質量星は、わずか数千年で超新星爆発を起こして一生を終えることになります。
なので、第一世代星の質量は極めて大きく、すぐに超新星爆発を起こして重元素をまき散らしたと予想されています。
それにより、第一世代星が残した元素を探しています。
この手法を、現在知られているクエーサーの中で2番目に遠い131億光年(赤方偏移7.54)の距離に位置するうしかい座の“ULAS J1342+0928”に適用。
クエーサーは、銀河中心にある超大質量ブラックホールに物質が落ち込む過程で生み出される莫大なエネルギーによって輝く天体で、遠方にあるにもかかわらず明るく見えています。
その光は、クエーサーを取り巻く物質など様々な要因によって決まりますが、研究チームでは他の要因を除外して元素の量を調べる手法を確立していました。
今回の観測では、アメリカ・ハワイにある口径8.1メートルのジェミニ北望遠鏡で“ULAS J1342+0928”のスペクトルを調査。
鉄に対するマグネシウムの割合が極めて小さく、太陽の10分の1しかないことを突き止めています。
研究チームでは、このような組成は太陽の150~300倍の質量を持つ第一世代星の超新星爆発でなければ説明できないと考えています。
これほど重い恒星は、対不安定型超新星爆発を起こすと考えられていますが、実際に観測されたことはありませんでした。
天の川銀河のハローの中に第一世代星が残した元素をたどる試みは以前から行われて、少なくとも1つの星で不確定ながら同定された例がありました。
それに対して、今回の発見は対不安定型超新星の最も明確なサインだと研究チームは考えています。
本当に第一世代星の痕跡を見つけたのであれば、宇宙における物質がどのようにして、私たちを含む現在の形へ進化したのかを理解する上で役立つ成果になるはずです。
ただし、今回の解釈を厳密に検証するために、他の天体が同様の特徴を持つかどうかを確認するために観測を重ねる必要があります。
大質量星の第一世代星は絶えて久しいのですが、それらが残した化学的痕跡は長く残り、私たちにとって比較的身近なところに今も残されている可能性があります。
今回の研究により、何を探せばいいのかの道筋は示されました。
宇宙の極初期の時代に、いま私たちがいる付近でも第一世代星の超新星爆発が起こったはず…
そうであれば、きっと証拠は見つかりますね。
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ビッグバン後の宇宙で最初に誕生した恒星
ビッグバンから1億年後、宇宙の年齢が現在の1%にも満たない頃に、最初の恒星が誕生したと考えられています。これら“第一世代星(種族IIIの星)”は、ほぼ水素とヘリウムだけで出来ているはずです。
でも、その特徴を示す天体は、いまだ見つかっていません。
天文学では水素とヘリウムよりも重い元素のことを重元素と呼び、重元素の量が少ないと重い星が生まれやすくなります。
ガス雲が重力収縮して新たな星になるためには、ガス雲が冷える必要があるのですが、重元素が少ないガスは冷えにくいんですねー
このため、より大きなガスの塊でないと圧力に打ち勝って重力収縮が進まないからです。
こうして誕生した大質量星は、わずか数千年で超新星爆発を起こして一生を終えることになります。
なので、第一世代星の質量は極めて大きく、すぐに超新星爆発を起こして重元素をまき散らしたと予想されています。
第一世代星の超新星爆発で合成された元素が撒き散らされる様子(イメージ図)。(Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva/Spaceengine) |
第一世代星が残した元素を探す
今回の研究では、遠方(初期宇宙)に位置する天体のスペクトルを分析して元素の割合を調べる手法を、東京大学のチームが開発。それにより、第一世代星が残した元素を探しています。
この手法を、現在知られているクエーサーの中で2番目に遠い131億光年(赤方偏移7.54)の距離に位置するうしかい座の“ULAS J1342+0928”に適用。
膨張する宇宙の中では、遠方の天体ほど高速で遠ざかっていくので、天体からの光が引き伸ばされてスペクトル全体が低周波側(色で言えば赤い方)にズレてしまう。この現象を赤方偏移といい、この量が大きいほど遠方の天体ということになる。110億光年より遠方にあるとされる銀河は、赤方偏移の度合いを用いて算出されている。
すると、大質量の第一世代の超新星爆発に由来すると考えられる比率の元素が見つかりました。クエーサーとその周囲(イメージ図)。(Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva/Spaceengine) |
その光は、クエーサーを取り巻く物質など様々な要因によって決まりますが、研究チームでは他の要因を除外して元素の量を調べる手法を確立していました。
今回の観測では、アメリカ・ハワイにある口径8.1メートルのジェミニ北望遠鏡で“ULAS J1342+0928”のスペクトルを調査。
鉄に対するマグネシウムの割合が極めて小さく、太陽の10分の1しかないことを突き止めています。
研究チームでは、このような組成は太陽の150~300倍の質量を持つ第一世代星の超新星爆発でなければ説明できないと考えています。
これほど重い恒星は、対不安定型超新星爆発を起こすと考えられていますが、実際に観測されたことはありませんでした。
天の川銀河のハローの中に第一世代星が残した元素をたどる試みは以前から行われて、少なくとも1つの星で不確定ながら同定された例がありました。
それに対して、今回の発見は対不安定型超新星の最も明確なサインだと研究チームは考えています。
本当に第一世代星の痕跡を見つけたのであれば、宇宙における物質がどのようにして、私たちを含む現在の形へ進化したのかを理解する上で役立つ成果になるはずです。
ただし、今回の解釈を厳密に検証するために、他の天体が同様の特徴を持つかどうかを確認するために観測を重ねる必要があります。
大質量星の第一世代星は絶えて久しいのですが、それらが残した化学的痕跡は長く残り、私たちにとって比較的身近なところに今も残されている可能性があります。
今回の研究により、何を探せばいいのかの道筋は示されました。
宇宙の極初期の時代に、いま私たちがいる付近でも第一世代星の超新星爆発が起こったはず…
そうであれば、きっと証拠は見つかりますね。
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