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モバライダー mobarider

3つの巨大ブラックホールが、互いに回転し合っている銀河

2014年07月27日 | 宇宙 space
遠く離れた銀河の中心で、
3つの巨大ブラックホールが、互いに回転し合っているのが発見されました。
宇宙には、2組や3組のブラックホールが、意外に多いのかもしれません。
超大質量ブラックホールは、そこから放出さえれるジェットにより観測される。

過去10年から20年の間に、多くの銀河の中心には、
太陽の数百万倍から数十億倍もの質量を持つ、巨大質量ブラックホールが存在することが分かってきました。

でも、今回行われた観測では、
多くの銀河が、1つではなく2つ以上の巨大ブラックホールを中心に持ち、
それらが、重力的に密接に影響し合いながら、
互いの周りを回転していることが分かってきたんですねー

2つの銀河が近づくと、両者の重力で合体して、1かたまりの星の集団を形成する、
という説は広く受け入れられていて、
実際、銀河系と、比較的近くにあるアドロメダ銀河とは、
約40億年後にこのような合体をすると考えられています。

そして、各銀河の中心には1つの大質量ブラックホールがあるので、
合体した銀河は2つのブラックホールを持つことになるんですねー

でも現実には、二重のブラックホールは、
これまで、それほど多く発見されてきませんでした。

これは、「ブラックホールは非常に短時間で融合してしまうため、二重の状態ではあまり見つからない」からだそうです。
まぁー あまりにも接近した軌道を回っているので、識別できないのかもしれませんが…


今回、観測プロジェクト“スローン・デジタル・スカイ・サーベイ”で、
“SDSS JI50243.091111557.3”という長い名前をもつ銀河の中心に、
明るい光源が2つあるように見えることが分かります。

そしてこのことは、そこに2つのブラックホールがある可能性を示すことに…

もちろん、目に見えないブラックホールから光が発せられるわけではなく、
周辺のガスがブラックホールの強力な重力に引き寄せられ、
渦を巻きながら降着していく際に、熱を帯びてジェットが噴き出し発光しているからです。

なので、そのブラックホールの位置は、
放出されるジェットにより、正確に分かることになります。

この2つの光源が何であるのかを突き止めようと、
この銀河を、超長基線電波干渉計“VLBA”で観測することになります。

結果、そこには数千光年の間隔を持つ、2つのブラックホールが見つかります。
さらに片方のブラックホールは、
実際にはそれ自体2つの巨大ブラックホールであることも分かることに…
あまりにも近くの軌道を回っているので、1つの天体に見えていたんですねー


この2つのブラックホールは、
わずか460光年しか離れておらず、15万年の周期で互いの周りを回っています。

ブラックホールが互いの周りをスパイラル運動するためには、
軌道エネルギーの一部を放出する必要があります。
1つの方法は、周囲の恒星やガスを投げ飛ばすことになります。

でも、ある時点で周囲に投げ飛ばす星がなくなると、
重力波の形でエネルギーを放出するしかなくなります。
これは、アインシュタインが予測した現象なんですが、
これまで直接的に観測されたことがないんですねー

2つのブラックホールが非常に近づくと、こうした重力波が強くなります。

すると原理上は、重力波を検出する装置“レーザー干渉計宇宙アンテナ”で、
検出できるレベルに達することになります。

どれくらいの割合の銀河に、
接近した軌道を持つ複数のブラックホールがあるか分かれば、
“レーザー干渉計宇宙アンテナ”が重力波を検出できる可能性が、
どのくらいかを絞り込むことができます。

わずか6つの銀河を観測しただけで、
接近した二重ブラックホールを発見できたのは朗報なんですが、
この2つは、“レーザー干渉計宇宙アンテナ”が重力波を検出できるほど近くを回っていませんでした。

でも今回の発見から、
これよりはるかに接近した二重ブラックホールも、
たくさん見つかると期待できるんですねー


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