宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

遠方にある星形成銀河から分かってくる宇宙の泡構造

2017年02月18日 | ダークマターとダークエネルギー
宇宙にある質量の大半を占めながら観測できていない物質…

その物質“暗黒物質”の分布と銀河の3次元分布とを比べてみると、
不思議な関連性が見えてきたんですねー

分かってきたのが、宇宙では過去に遡るほど、
暗黒物質の分布と星形成銀河分布の関連が深くなるということでした。


暗黒物質の分布

宇宙には、ほとんど何もないところや、
反対に銀河が多く集まっているところがあります。

こうした銀河の分布のことを“宇宙の泡構造”と呼び、
とくに銀河が多く集中しているところは“銀河団”と呼ばれています。

泡構造の形成は、
暗黒物質(ダークマター)同士の重力相互作用に支配されているのですが、
暗黒物質は電磁波では観測できません。

でも、暗黒物質の分布の様子を知る方法はあるんですねー
それは“重力レンズ効果”を観測すること。

遠方の銀河の形状が、
手前の銀河団の重力によってゆがめられる“重力レンズ効果”を観測することで、
分布の様子を知ることが出来ます。


暗黒物質と銀河の分布

暗黒物質の分布と、見える銀河の分布とを比べると、
暗黒物質と銀河の星形成の関係を調べることができます。

今回の研究では、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ(HSC)を使って、
かに座方向の領域を観測し、暗黒物質の分布図を作成。

そして、約1万2000個の銀河の距離を赤方偏移から測定し、
大規模な3次元銀河分布を作成しています。

比較は、この2つの分布図で行われました。

  膨張する宇宙の中では、遠方の銀河ほど高速で遠ざかっていくので、
  銀河からの光が引き伸ばされてスペクトル全体が、
  波長の長い方(色で言えば赤い方)にずれる現象を赤方偏移といいます。
  なので、赤方偏移の量が大きいほど、遠方の銀河ということになります。



銀河団領域。等高線は質量分布を表し、
赤は星形成をやめた銀河、青は星形成中の銀河。

まず、それぞれの構造がよく似ていること、
つまり、銀河によって描き出された質量分布は、
暗黒物質の分布とよく一致していることが確かめられます。

さらに、赤方偏移から得られた銀河の3次元分布を宇宙の時代ごとに切り分け、
時代ごとに銀河の分布が、暗黒物質の質量分とどれくらい似ているかを調べています。

距離ごとに分けて銀河分布を調べるイメージ図。
地球(観測者)から観測された銀河の3次元分布を描いている。
赤は星形成をやめた銀河。

すると、50億光年先にある遠方銀河団の周りの星形成銀河の分布が、
30億光年先にある近傍銀河団の周りの星形成銀河の分布に比べて、
より暗黒物質の質量分布図と一致していることが分かりました。
(上)30億光年先と(下)50億光年先の銀河団領域の拡大図。
(左)暗黒物質の質量分布、(中)星形成をやめた銀河の分布図、(右)星形成銀河の分布。
30億光年先の銀河団では質量分布に対応する星形成銀河がほとんど見えないが、
50億光年先では対応する銀河増えている。

このことは、遠方にいくと宇宙の泡構造に対する星形成銀河の寄与が、
より顕著になるという変化をとらえたものになります。

星形成銀河が宇宙の暗黒物質の物質分布をなぞる様子が、
宇宙の歴史の中で変化してきたことを明らかにしたんですねー


さらに遠方の宇宙の観測へ

遠方の宇宙では、今まで無視されてきた星形成銀河が、
重要な役割を果たすことが新たに分かってきました。

超広視野主焦点カメラで得られた質量分布図の中には、
さらに遠方の宇宙の情報も含まれていると考えられています。

さらに、現在開発中のすばる望遠鏡次世代超広視野多天体分光装置(PFS)が完成すれば、
より遠方の銀河を一度にたくさん分光することができます。

今後研究チームでは、超広視野主焦点カメラと、
次世代超広視野多天体分光装置のデータを組み合わせることで、
星形成活動が活発だった時代の暗黒物質と星形成銀河の様子の解明を目指すそうですよ。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 宇宙の網を作る暗黒物質のフィラメント構造

冥王星の模様から分かってきた、巨大天体の衝突と衛星カロンの誕生

2017年02月17日 | 冥王星の探査
多様な物質と地形をもつ準惑星

地球から遠くはなれた天体。
今回は準惑星に降格になった太陽系の元第9惑星の話です。

これまで多くの研究者が、
冥王星はクレーターだらけの退屈な氷の塊だと思っていました。

でも、NASAの探査機“ニューホライズンズ”が、
そのイメージを変えることになります。

2015年7月のこと、“ニューホライズンズ”が、
史上初めて冥王星にフライバイ(接近通過)による観測を行い、
冥王星や衛星カロンの詳細な表面画像を見せてくれました。
  【冥王星探査】広がる氷の平原と、太陽風ではぎ取られる大気
  巨大な割れ目と氷火山活動… 衛星カロンには激動の歴史があった。

実際の冥王星は、
ハート模様やクジラのような模様、氷河や氷の火山などが見られ、
驚くほど多様な物質や地形に彩られていたんですねー

なかでも目を引くのが、赤道域を中心に幅およそ300キロ、
長さおよそ3,000キロにわたり広がる褐色の領域“くじら模様”でした。
  “クジラ模様”は、赤道領域全体のおよそ3分の1を占めています。

ただ、この模様の形成には、
かつて冥王星で起こった大規模な物理・化学過程が関わっているはずなんですが、
その形成過程は謎のまま…

新たな研究によると、冥王星の赤道域に広がる褐色の“くじら模様”は、
衛星カロンを生み出した天体衝突によって、できた可能性があるそうです。
メルカトル図法で作成された冥王星の地図。
下図点線で囲まれた他部分が“クジラ模様”の褐色の領域“クトゥルフ”。

  そもそも、どこがクジラ模様? っという疑問もありますよねー
  一応ハート模様の左下の黒い部分、ここがクジラっぽく見えるそうです。

  この地域は非公式に“クトゥルフ”という名前が付けられていて、
  この場所には有機物のソリンの存在も予測されています。


模様はどうやって出来たのか?

今回の研究では、“クジラ模様”の形成過程に関して、
衛星カロンの形成に注目しています。

カロンの質量は冥王星の10分の1ほどもあり、
これは主天体に対する割合として非常に大きいんですねー

そのカロンの起源として、
冥王星への巨大天体の衝突“ジャイアント・インパクト”が提唱されるのですが、
実証的な証拠に欠けていました。

研究チームが考えたのは、
もし冥王星に“ジャイアント・インパクト”が起こった場合、
衝突地点付近の氷が加熱されて広大な温水の海ができること。

その海では冥王星に元々存在していた単純な分子種が重合反応を起こして、
褐色の有機物が生成されるのではないかということでした。

そこで研究チームでは、
巨大天体衝突後に、温水の海で起こる化学反応を再現することになります。

行われたのは、ホルムアルデヒドやアンモニアなど、
カイパーベルト天体に共通して含まれる分子種を含む水溶液を、
様々な条件の下で加熱する実験でした。

すると、およそ50℃以上で数か月以上の加熱時間の場合、
冥王星に元々含まれる物質から“クジラ模様”と同様の褐色の有機物が、
生成することが分かります。
“ニューホライズンズ”が撮影した冥王星(右下)とカロン(左上)。
冥王星の左下に“クジラ模様”が見える。


温度条件

実際に、褐色の有機物が生成される温度条件が、
カロン形成の“ジャイアント・インパクト”時に達成されるのでしょうか?

数値シミュレーションによって調べてみると、
カロンのような大きさの衛星を形成する衝突条件の場合、
ほぼすべてのケースで“クジラ模様”と同程度の広さの加熱領域が、
冥王星の赤道域を中心に形成されることが明らかになります。

つまり、カロンを形成するような“ジャイアント・インパクト”が起これば、
必然的に赤道域に褐色の領域が形成されるということです。

裏を返せば、“クジラ模様”が冥王星に存在するということは、
“ジャイアント・インパクト”によって衛星カロンが形成されたという説を、
強く支持する材料になるんですねー

また、衝突の条件が変わると天体全体が褐色になったり、
加熱されず白いままだったりすることも確かめられています。

これにより、セドナやエリスといった他のカイパーベルト天体の多様性も、
“ジャイアントインパクト”の結果という統一的な説明が出来るようになりました。
今回の研究結果から、
地球に火星サイズの天体テイアが衝突して月が誕生した事と同様のことが、
冥王星とカロンでも起こった可能性が見えてきました。

初期の太陽系では、このような衝突が頻繁にあったのかもしれません。

地球形成領域から太陽系外縁部にわたる広い範囲で、
原始惑星同士が頻繁に衝突・合体するという大変動を経て、
現在の太陽系の姿になった…

っと考えると、
今回の研究により太陽系の成り立ちに少し近づけた気がしますね。


こちらの記事もどうぞ
  月を作ったのは“巨大衝突”ではない。 のかも…
  火星の衛星は巨大天体が衝突して作られた のかも…

追加ミッションは地球公転軌道上の小惑星探し

2017年02月15日 | 宇宙 space
NASAの探査機“オシリス・レックス”が、
9日から20日までの間、追加ミッションを行っているんですねー

この追加ミッションは、
太陽と地球の引力が釣り合う“ラグランジュ点”で行われていて、
地球の公転軌道上に新たな小惑星がないかを調べているようです。

アメリカ版の“はやぶさ”

“オシリス・レックス”は、
太陽の周りを回る小惑星“ベンヌ”からサンプルを採取して持ち帰るために、
昨年の9月に打ち上げられた探査機です。

そう、世界で初めて小惑星からサンプルを持ち帰った探査機“はやぶさ”のアメリカ版が、
“オシリス・レックス”なんですねー

  “はやぶさ”は小惑星“イトカワ”のサンプルを世界で初めて地球に持ち帰るという
  偉業を成し遂げた日本の探査機。



追加ミッション

NASAによると今回の小惑星探査は、
小惑星“ベンヌ”到達前の追加ミッションになり、
9日から20日まで続けられる予定です。

探査が行われるのは、太陽と地球の引力が釣り合うように働く、
“ラグランジュ点”と呼ばれる宇宙空間。

“ラグランジュ点”は、他の場所から移動してきた天体が、
とどまりやすいと言われている場所なんですが、
地上からは太陽の光が明るすぎて観測しにくい場所でもあります。
“第4ラグランジュ点(L4)”に存在するかもしれない小惑星

地球公転軌道上に5つあるとされる“ラグランジュ点”のうち、
今回“オシリス・レックス”の探査対象となるのは“第4ラグランジュ点(L4)”。

この付近の小惑星は“トロヤ群(小惑星)”と呼ばれています。

  トロヤ群とは、惑星の公転軌道上の、
  太陽から見てその惑星に対して60度前方あるいは60度後方、
  すなわちラグランジュ点L4・L5付近を運動する小惑星のグループ。

計画によると“オシリス・レックス”は2017年9月にスイングバイを実施。
地球の引力を利用して加速と進路変更を行い、小惑星ベンヌを目指すことになります。
宇宙空間を小惑星“ベンヌ”を目指して航行中の
NASA探査機“オシリス・レックス”(イメージ図)

そして、“オシリス・レックス”が小惑星“ベンヌ”に到達するのが2018年。

着陸はせずに特殊なアームを表面に接触させて、
約60グラムのサンプルを採取。

そのサンプルを持ち帰ってくるのが2023年の秋になるそうです。
小惑星“ベンヌ”でサンプルを採取中の
探査機“オシリス・レックス”(イメージ図)

日本の“はやぶさ”の後継機“はやぶさ2”も、
現在、小惑星“りゅうぐう”を目指して航行中で、
2020年にサンプルを持ち帰る予定です。
  リュウグウへ向けて! “はやぶさ2”が追加イオン・エンジン運転で軌道修正に成功

NASAとJAXAが進めている小惑星からのサンプルリターン計画。
地球に帰還した後は、互いのサンプルを提供し合うようですよ。


こちらの記事もどうぞ ⇒ はやぶさに続け! 探査機“オシリス・レックス”が打ち上げに成功。

地球から流出した酸素が月にまで届いている?

2017年02月13日 | 月の探査
月周回衛星“かぐや”による観測から、
太陽活動によって地球の重力圏から流出した酸素が、
月に到達していることが直接確かめられました。

このことは、月表土の複雑な組成を理解する上で、
画期的な知見になるそうです。


プラズマがシート状に存在する領域

太陽風や宇宙線から私たちを守ってくれる存在。
それが地球の周囲にある磁場“地球磁場”です。

地球磁場は、太陽と反対方向(夜側)では彗星の尾のように引き伸ばされ、
吹き出しのような形をした空間“磁気圏”を作ります。

そして、その“磁気圏”の中央部には、
熱いプラズマがシート状に存在している領域があります。
太陽、地球磁気圏、月の位置関係の概念図。

今回の研究では、
月周回衛星“かぐや”が取得した月面上空100キロのプラズマデータを解析。

すると、月と“かぐや”がプラズマシートを横切る場合にのみ、
高エネルギーの酸素イオンが現れることを発見したんですねー


“かぐや”がとらえた酸素イオン

今回の研究の元になったデータを取得した“かぐや”は、
2007年9月に打ち上げられ、2009年6月まで観測を続けた日本の大型月探査衛星です。
日本初の大型月探査機“かぐや”

これまでに地球の極域から、
酸素イオンが宇宙空間へ漏れ出ていることは知られていました。

でも、“地球風”として38万キロ離れた月面まで、
酸素イオンが運ばれていることが、観測的に明らかになったのは世界初のこと。

検出された酸素イオンは、
1-10keV(キロ電子ボルト)という高いエネルギーを持っていて、
これほどのエネルギーがあれば、
酸素イオンは金属粒子の深さ数十nmまで貫通することができるようです。

今回の研究結果は、
長年謎だった月表面の複雑な酸素同位体組成を理解する上で、
非常に重要な成果になります。

植物による光合成で生成された酸素、
つまり地球の生命活動によって作られた酸素が、
月にまで運ばれている…

地球の生命活動が、遠く離れた月に直接影響を与えているんですねー

月と地球は力学的だけでなく、
化学的にも影響を及ぼしあっているんですね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 月に水があるのは小惑星が運んできたからです?

太陽系の外にある、地球に似た惑星に探査機を送る方法

2017年02月11日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
“プロキシマ・ケンタウリ”という太陽系から最も近い恒星の周りを回る、
地球サイズの惑星が見つかったのが、ほんの数か月前のこと。

今回、ある天体物理学者のチームが、
この系外惑星に探査機を送り込んで長期間観測を行う方法を提唱。

その方法とは“アルファ・ケンタウリ”星系に,
超小型の宇宙探査機を送り込むというものでした。
プロキシマbから見たプロキシマ・ケンタウリ(イメージ図)。


“ブレークスルー・スターショット計画”

この方法、なんか聞いたことありません?

そう、英宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士らの計画、
“ブレークスルー・スターショット”と似ているんですねー
  20年で4.37光年先の星系を探査するスターショット計画って何?

“プロキシマ・ケンタウリ”の周りに地球大の惑星が発見される前から、
太陽系に最も近い“アルファ・ケンタウリ”星系を目指す
“ブレークスルー・スターショット”計画は考えられていました。

その理由は、この星系で新たに発見された惑星“プロキシマb”は、
地球から4.24光年しか離れていないことにありました。

“プロキシマb”は太陽系外惑星としては、
人間の寿命内に無人探査機で到達できる可能性が最も高いんですねー
太陽系から最も近い恒星“プロキシマ・ケンタウリ”を周回する、
惑星“プロキシマb”(イメージ図)。

ただ、“ブレークスルー・スターショット”計画では、
探査機は地球から照射される強力なレーザーで加速するので、
目的地の横を猛スピードで通過。

  計画されているナノサイズの宇宙探査機“スターチップ”は、
  反射率の高い帆を張り、地球から照射される強力なレーザーの力を借りて加速し、
  最終的に探査機のスピードは光速の2割ほどまでになります。


探査機は、そのわずかな間に写真の撮影やデータを収集して、
地球に送信することになります。

この方法だと撮影できるのは数枚のスナップショットになり、
ここでカメラが目標をとらえられなければ、一巻の終わりになるんですねー

  写真データを光速より速く送ることはできないので、
  私たちが目にするまでに4年以上かかることになります。


でも、探査機がブレーキをかけれたら…
目的地を周回する軌道に入り、観測を続けることことも可能になります。

今回の計画では、超小型探査機を“プロキシマ”を周回する軌道に送り込むため、
恒星の光を利用した減速を考えています。

速度は“ブレークスルー・スターショット”計画の5分の1になるのですが、
星間ミッションへの技術的・エネルギー的なハードルは格段に低くなるそうです。


探査機を減速させる

遠くにある恒星の光をブレーキとして利用するアイデアは、
太陽の光で宇宙船を走らせる太陽帆“ソーラーセイル”の原理から生まれました。
  5月には宇宙へ! ソーラー・セイル実験機“ライトセイル”

反射率の高り材料でできた巨大で薄い帆は、
海上の船の帆が風をとらえるのと同じように、
太陽の光子をとらえて光圧により宇宙船を進ませます。

光子を利用して宇宙船を推進することができるなら、
風を利用して帆船を加速したり減速したりできるように、
宇宙船が目的地に近づいたときに減速させるのにも使えるはずです。

計画で考えているのは、重さが石けん1個分ほどの探査機が、
大きさが9万平方メートル(およそサッカー場14面分)の帆で推進力を得ること。
“アルファ・ケンタウリ”は、
南半球からよく見える青みがかった明るい星で、
地球からわずか4光年のところにある三重連星。

探査機は太陽の光を巨大な帆に受けながら、
“アルファ・ケンタウリ”星系を目指します。

目的地に近づくと帆の向きを変え、
今度は“アルファ・ケンタウリ”から届く光子を利用して、
効率的に減速することになります。

そして探査機は、
“アルファ・ケンタウリ”の明るいA星とB星を周回する軌道にとどまることや、
2つの星の重力をうまく利用して“プロキシマ”に向かい、
その軌道に入ることも可能になります。

いずれにせよ、探査機は“プロキシマ”の間近で、慌てることなくデータの収集や撮影をし、
それを地球に送ることが可能になります。


到達時間と探査時間のどちらを選ぶ?

探査にとって、今回のアイデアはベストかもしれませんが、
目的地への到達には、人間の寿命よりも長い時間がかかってしまうことになります。

太陽光に押されて“アルファ・ケンタウリ”を目指す探査機が、
太陽系の外に出るときの速度は、光速の4.6%にしかならないからです。

この速度では、探査機が“アルファ・ケンタウリ”星系に近づくまでにかかるのは約95年。

さらに、“アルファ・ケンタウリ”からの光を利用して減速した後、
“プロキシマ”に到達するのに46年かかることになります。

つまり、探査機が集めた“プロキシマ”に関するデータを受け取るのは、
私たちの子孫ということになるんですねー

一方、“ブレークスルー・スターショット”計画のコンセプトにとって重要なのは、
人間の寿命内に“アルファ・ケンタウリ”に到達する点です。

この計画では、太陽の100万倍の光圧で帆を押すことになります。

ただ、強力なレーザーで探査機の速度は光速の2割にまで加速するので、
恒星の光だけで止めることは出来ませんが、その分はるかに早く目的地にたどり着けます。

目的地に早くたどり着き少しだけの探査にするのか?
目的地までの時間はかかっても長い探査をするのか?

どちらが良いのか決めるより、
どちらも実施してみた方がよい結果が出そうですね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽系に最も近い恒星に地球サイズの惑星を発見