徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

あまりにハリウッド的な/自然の襲撃 2011年の太陽嵐

2008-04-23 04:39:23 | Documentary
ディスカバリーチャンネルでクライシス物のドキュメント2本。
まずはハリウッド映画そのまんまのタイトル再利用の<ディープインパクト・惑星が地球に衝突する時>
6500万年前に恐竜たちが絶滅したという小惑星の衝突が現代に起こったらどうなるかというストーリーを、専門家の証言を交えながら検証し、シミュレーションするフィクション・ドラマ……ですが、予想通りいろんな意味でハリウッド流です。

続いて、50年ごとに巡ってくるという太陽の活動極大期に起こる<太陽風>が地球にどのような影響を与えるのか検証する<シリーズ:自然の襲撃 2011年の太陽嵐>。ここでは太陽の活動極大期による強烈な太陽風が原因で、発電所・変電所がダメージを受け、全世界で破滅的な大停電が起こるという設定で、こちらもドラマ仕立てで見せる。アメリカ人はそこまで電力への依存が後ろめたかったのかというぐらい、ここでもハリウット的にクライシスしてサバイバルしている。

シュミレーション・ドラマは話半分に観ていればいいのだけれども、ちょっと気になるのは、この<2011年の太陽風>だ。地球温暖化ブームの昨今、ちっぽけな人類が排出する二酸化炭素がでっかい地球に与える影響よりも、どう考えても、さらにでっかい太陽の<活動極大期>の方が影響が大きくないか。それによって起こるという<2011年の太陽風>の方が、さらにちっぽけな地球に与える影響は大きくないのか。しかもその影響は比較にならないほど直接的なはずだ。

でも、結論としてはよくわかってないらしい。
しかし、わかってなくても言われれば言われるほどに後ろめたくなって心配するのが人間で、また何だかわからないけれども心配している善良な人たちを、何かに利用する人間もいたりする。
モラルを問いたいのならば最初からそこに問題点を絞ればいい話で(モラルを憂う人はいつの時代にも、どこにでもいる。そして急進派は感情論を糊塗するために、かなり強引な“科学的根拠”を魔法のように産み出す)、まあ温暖化問題も、アンチ関係の人たちが暗躍している社会・環境問題の二の舞は勘弁です。

だって人間の企みや悪意なら憤りもできるけれども、小惑星の衝突や太陽の極大期は……どうしようもないもの。

<田中宇:地球温暖化問題の裏側>も参考までに。

(追記 6月20日)
<グリーンランドで1万年以上前、氷期から温暖な現在の間氷期へ移行している期間に2回の急激な温暖化が起きていたことが確認された。国立極地研究所(東京都板橋区)が参加する国際共同研究で、19日付米科学誌サイエンス電子版に発表する。低緯度で何らかの気候変動が起きて、大気循環が変化したためと見られる。同研究所の東久美子准教授は「北極は環境変動の影響を受けやすい。現在の気候変動を予測するカギとなる」という。
日独仏米とデンマーク、アイスランド、スイス、スウェーデン、ベルギーの9カ国が、96年から03年にかけてグリーンランドの氷床を岩盤まで全長3085メートル掘削。
氷床に含まれる酸素や水素の同位体などを解析したところ、約1万4700年前には3年間で約10度、約1万1700年前には約50年間で約10度という温度の上昇が確認された。
氷の解析によって、グリーンランドに雪をもたらす水蒸気の発生海域が、より高緯度になったことも推測でき、当時、短期間に大気の循環が大きく変化したと考えられるという。 >(朝日新聞 6月20日付

さて、温暖化派はこの報告に対してどう言い繕うのだろうか。
オレも思いついた革命的な別の意図が彼らにもあるのならば尊敬しちゃうけれども。