ロシアが、ウクライナにおける“特別軍事作戦”において大きく方針を転換したようです。
親露派が多い南東部の“解放”に注力すると……
作戦の第一段階が予定通りに完了したため――というふうにロシア側はいっていますが、これは旧大日本帝国語でいうところの「転進」みたいなもので、当初の予定通りに作戦が進んでいないために方針転換せざるをえなくなったというのが実際のところでしょう。米国も、当初の目標が達成できず、作戦規模を縮小したと見ているようです。
なぜロシア軍の作戦はうまくいっていないのか。
士気が低いとか、軍の連携がうまくいっていない、ミサイルの失敗率が異様に高いとか……いろんなことがいわれています。
それぞれに正しいのでしょうが、それらは結局、独裁体制化による機能不全の結果と私にはみえます。
独裁政治の末期症状を表現するのに、「ベトナム戦争のときの南ベトナム」という言い方を私はよくしてます。
愚かな独裁者が権力を握っていると、その国家組織全体がどんどん機能しなっていく……ということです。これが行きつくところまで行きつくと、資金や物資を大量にもっていても、それをまとも運用することができず、国は衰退の一途に。実際南ベトナムは、アメリカの支援を得て、軍事力では常に北に対する優位を保っていたといいますが、結局戦争に破れて消滅してしまいました。
いまのロシアは、もうそういう状況に近づきつつあるんじゃないでしょうか。
この戦争によってプーチン体制が崩壊するのはほぼ確実という見方も出てきているようですが……そうなるとしたら、これはもう独裁体制の必然というほかありません。
そして、たびたびいっているように、日本はこの点を他山の石とすべきなのです。