ロック探偵のMY GENERATION

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リメンバー・チェルノブイリ・デー

2022-04-26 21:19:35 | 日記


今日4月26日は、「リメンバー・チェルノブイリ・デー」ということです。

1986年のこの日、旧ソ連のチェルノブイリ原発で大事故が発生しました。
チェルノブイリといえばウクライナ侵攻でも再び大きな注目を集めましたが……そんななかでのリメンバー・チェルノブイリ・デーということで、今回はこの事故から得られる教訓について考えてみたいと思います。


先月にはスリーマイルの日というものがありましたが……チェルノブイリ、スリーマイル、フクシマと、これらの重大事故に共通しているのは、予期していなかった事故が突然起きたわけではなく、なんらかのかたちで事前に予期しえた、回避しようと思えばできたはずだった、ということです。
スリーマイルの場合は、その事故にいたるプロセスが起こりうる可能性に思い当たり、事前に警告していた人物がいたということです。
福島第一原発の場合は、巨大な津波がきたら耐えられないと事前に警告されていたことは、日本の原発問題に関心をもっている人には周知のとおり。
チェルノブイリの場合は、もっと直接的で、事故が発生する前にアラームが鳴っていたといいます。そのアラームで作業員が運転を停止していれば、あの事故は起きなかったかもしれません。しかし、作業員はアラームを無視して作業を続けてしまったのです。
ものの本によれば、そのときチェルノブイリ原発では「原子炉を停止して慣性だけでタービンを回し続けたらどの程度発電できるか」という実験をやっていたといいます。原子炉は停止しているのだから大した事故にはならないだろう……と、作業員たちは考えたそうです。そして、アラームを無視したら、大事故になってしまいました。

この、「事前に警告されているのに、きちんとそれに対処しない」というのが、原発の安全に関する大きな落とし穴なんだろうと私は思ってます。

おそらく、原発という巨大なシステムにおいては、その種の危険に関する警告が日常的に大量にあるのだと想像します。そして、そのひとつひとつに対処していたら、とても原発を稼働できない。だから、警告を無視する。結果、警告されていた事態が生じたときにそれを防ぐことができず大事故にいたる……そんなところじゃないでしょうか。

アラームを切る類の話は、あの福島第一原発の事故を経験したあとでさえ、ちらほら聞こえてきます。
汚染水タンクの水位センサーとか、外部から原発敷地内への侵入者を感知するセンサーだとか、そういった警報が切られていたという報道がありました。そして、これらに関する原発運営側の釈明は、「ちょっとしたことで反応するセンサーにいちいち対応していたらきりがないから切った」なのです。

今次のウクライナ侵攻で、「原発が武力による攻撃を受けた場合」というのが、一つの大きなリスクとして浮上してきたわけですが……これに対しても、「そんなことあるわけがない」とか「対応してたらきりがない」といって無視するとしたら。そうした姿勢の先には、また次の大事故が待っているということになるんじゃないでしょうか。




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