今日11月11日は「ベースの日」。
このブログでは、毎年ベーシスト列伝というのをやっており、今年もまたそれを踏襲しようと思います。
今回焦点をあてるのは、60年代ブリティッシュロック。例によって、簡単な紹介とともに動画を貼っていきます。
ジャック・ブルース
エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーとともにクリームで活動した。
いわゆる“前に出るベース”の代表的存在で、ベース革命を体現するベーシストの一人といえる。ただ、前に出るベースゆえに他のメンバーと衝突することも多かったらしい。クラプトンは名うてのギタリストであり、ジンジャー・ベイカーは手数の多いドラムの代表格。三人とも自分が主役と思っているので、クリームの活動は長続きしなかった。
曲は、ジャック・ブルースがリードボーカルをとる I Feel Free。この動画を見るかぎりは仲よさそうだけれど……
Cream - I feel free (1967)
ポール・マッカートニー
いわずとしれたビートルズのベース。
さまざまな楽器を演奏できるが、ギターがジョージ・ハリスン、ドラムがピート・ベスト……となっていって、最後に残ったポジションがベースだったために、ベースを弾くことになった。この人がベースのポジションについたことが“前に出るベース”スタイルの確立に大きく寄与し、それ以後のロックバンドに多大な影響を与えた……というのが私のロック史観。
そういう意味ではベースというポジションでロックに革命を起した人物といえるが、ポールがすごいのはそれだけではない。卓越したメロディセンスや、いくつもの発声法を使い分ける七色の声など、数々の才能をあわせもつ。まさにこの人は、ロック史の巨人なのである。
曲は、「ペニー・レイン」。ポールのポップなメロディセンスが光る作品。
The Beatles - Penny Lane
ジョン・エントウィッスル
The Who のベース。
ジャック・ブルースと並んで、ベースの革新者として知られる。
ベースを革新したといわれるベーシストは何人かいるが、“革新”という言葉は、このジョン・エントウィッスルにこそふさわしい。
独創的なベースサウンドは、フーというバンドの大きな特徴ともなった。この後ろで鳴っている音はベースのようだが、しかし、これ本当にベースなのか……と、ときに戸惑ってしまうような音を出す。
仄聞するところによれば、彼のエフェクターシステム内にはギター用のエフェクターも含まれているのだとか。革新的なサウンドの秘密は、そのあたりにあるのかもしれない。
曲は、「ピンボールの魔術師」。ジョン・エントウィッスルのベースが躍動している曲の一つといえるだろう。
The Who - Pinball Wizard (Live at the Isle of Wight, 1970)
ティム・ボガート
ヴァニラ・ファッジの活動で知られる。また、ジェフ・ベックともにベック、ボガート&アピスでも活動。いずれもベースを弾いていたが、ベース以外に何種類もの楽器を演奏するマルチプレイヤーでもある。このあたり、ポール・マッカートニーに通ずる部分があるかもしれない。ゆえに、スタイルとしてはやはり前に出るベースであり、そのあたりでジェフ・ベックとはうまくいかなかったのかもしれない。
曲は、ヴァニラ・ファッジの代表曲 Keep Me Hangin' On。
ドラムを叩いているのは、ベック、ボガート&アピスでも行動をともにするカーマイン・アピス。
Vanilla Fudge "Keep Me Hangin' On" on The Ed Sullivan Show
ポール・サミュエル=スミス
ヤードバーズのベース。ヤードバーズにおける中心的な存在でもあった。
彼の脱退後に、ジミー・ペイジがベースとして加入したということで、いわゆる三大ギタリストがヤードバーズに足跡を残すきっかけを作ったともいえる。
曲は、サニー・ボーイ・ウィリアムソンのカバーで Good Morning Little Schoolgirl。このライブバージョンでは、ポール・サミュエル=スミスがエリック・クラプトンとともに歌っている。
Good Morning Little Schoolgirl
チャス・チャンドラー
アニマルズのベース。
ベーシストとしてよりも、ジミ・ヘンドリクスを発掘してきた人物としてのほうがその名を知られているだろう。一時、ジミヘンのマネージャーをつとめていたこともある。
曲は、「悲しき願い」。「朝日のあたる家」と並ぶアニマルズの代表曲の一つ。
The Animals "Don't Let Me Be Misunderstood" on The Ed Sullivan Show