ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

第二の殺人を振り返る

2018-10-11 16:05:15 | 過去記事
振り返り記事です。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』における第二の殺人について書いています。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』あらすじ・その4 第二の殺人 
これまでの数回、イーグルスの曲を紹介してきましたが、今回は、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』の内容をテレビドラマの番宣ふうに紹介していくシリーズに戻りたいと思います。そもそも......


ヴァン・ヘイレンで豆が育つ?

2018-10-10 21:42:43 | 日記



“音響栽培”というニュースを聞きました。



音楽を流しながら植物を栽培するとよく成長する……というんです。



それだけ聞くと、いかにも疑似科学的なうさん臭さが漂ってきます。はたして、本当にそんなことあるんでしょうか。



以前、科学コラムニストとして知られる竹内久美子さんの文章で、それについて読んだことがあります。

竹内さんがいうには、「優しい言葉をかけると植物がよく育つ」とか、音楽で植物がよく成長するというのは、科学的に見て必ずしも根拠のないことではないそうです。

植物に音楽を聴かせると、害虫を食べてくれる鳥が周囲にたくさんいると誤認して、よく成長するようになるというんです。

鳥が害虫を食べてくれるとしたら、植物は思う存分に成長できる。音楽などを聴かせると、そういう鳥が周りにたくさんいると植物が認識し、よく成長するようになるというわけです。実際、太平洋諸島の農民は、その地方の鳥の鳴き声をマネして作物の収穫を増やしており、インドにも似たような風習があるのだとか……

どうなんでしょうか。

まあ正直なことをいうと、竹内さんのコラムには結構マユツバなところもあると私は個人的に思ってるので(当該コラムを収録する本のタイトルが『千鶴子には見えていた! 透視はあっても不思議はない』だったりするところとか)、そのまま鵜呑みにしていいのかはちょっと戸惑うところです。



一応そういう実験もあるみたいです。

竹内さんのコラムによると、インドのアンナマライ大学のT.C.シンという教授が実験をしたそうです。

インド神話で、ヴィシュヌの化身であるクリシュナが音楽によって植物を繁茂させていたという神話に着想を得て、音楽を聞かせてみたら、植物がよく成長したといいます。



また、ドロシー・リタラックという人は、植物にロックやジャズ、クラシックなどさまざまなジャンルの音楽を聞かせる実験をしたそうです。

それによると、植物はインドの音階であるラーガを好んだということです。一方で、ロックはきらいで、レッド・ツェッペリンやジミ・ヘンドリクスを聴かせると、育ちがよくなかったとか。

ただし、別の人の研究では、カリプソマメという豆にヴァン・ヘイレンを聴かせたらすくすく育ったといいます。



……こうなってくると、植物というのは意外とちがいのわかるやつなのかもしれません。音響栽培というのも、疑似科学と切り捨てるわけにはいかないのかも。


バンクシーの作品“自壊”事件

2018-10-08 18:24:44 | 日記



バンクシーの作品が、オークションで“自壊”というニュースがありました。



このニュース、見出しを見た時には意味がわからなかったんですが、本当に“自壊”したんですね。

落札された直後に、絵に仕込まれていたシュレッダーで自動的に裁断されたという……まるでミステリー小説にありそうな展開です。



バンクシーというのは、正体不明の覆面アーティスト。



ブラーのアルバム『シンクタンク』のジャケットの絵を描いた人……といえば、UKロックファンならわかるでしょうか。

この人は、世界各地の紛争地帯なんかで壁にグラフィティを描くなどの活動をしています。たとえばイスラエルで、あの“分離壁”にグラフィティを描いたり……それは、社会の不公正であったり、紛争の悲惨さに世の中の目を向けさせるという意図をもって行われているように思われます。



彼の作品は美術品として高値で取引されていたりしますが、バンクシー本人はあまりそういうことを好ましく思っていないそうです。今回の作品“自壊”も、そういうことの表れなのかな……と思いました。



それはまた、美術品の価値とはなんなのかという問いかけかもしれません。



美術品市場では、キャンバス一面を一色に塗っただけの絵が100億円単位で取引されるようなニュースをたまに聞きます。そこに疑問をさしはさむと、美術がわかってないみたいにいわれるんでしょうが、ものの本によると、こういうふうになったのは、オークション会社が意図的に値段をつりあげけてきたためだといいます。



以前、オークションで4000円ぐらいで落札された絵が実はゴッホの作品で、それが判明したとたん値段が数億円になったという話がありましたが……絵の値段が絵そのもの価値で決まるのなら、誰が描いたものであろうが価値は変わらないはずであって、これはどうにもおかしな話です。しかもこの値段はオークションできまったわけで、そのオークションに出品した人も、いあわせた他の人たちも、みんなこの絵の価値は4000円ぐらいということで合意しているわけです。それがゴッホの絵だとわかったとたんに一気に価値が跳ね上がる。これはおかしい。



で、バンクシーに話を戻しますが、今回の“自壊”事件は、そういう状況に対する批判も込められているんじゃないでしょうか。

アートの世界も、行きすぎたカネもうけに侵されている。オークションはその象徴であって、そこで自分の作品が高値で取引されるということが我慢ならなかったんじゃないか……絵の“自壊”というニュースをみて、そんなことを思いました。








ドニ・ムクウェゲ医師にノーベル平和賞

2018-10-06 21:41:46 | 時事
今年のノーベル平和賞の一人に、コンゴ民主共和国のドニ・ムクウェゲ医師が選ばれました。

これまでにも何度かノミネートされていた方のようで、名前を聞いたことはあるような気もするんですが、恥ずかしながらよくは知りません。

ただ、コンゴ民主共和国という国については、小説の題材としてちょっと調べてみたことがあります。

かつてはザイールと呼ばれ、モブツという独裁者が支配していたことで知られる国ですね。

その後モブツの独裁体制は倒れたんですが、カビラという人が新たな独裁者となり、いまはその息子が大統領をやってます。

このカビラ父子のもとでもうずいぶん長いこと内戦が続いていて、民族紛争や天然資源の奪い合いの問題、子ども兵の問題など、途上国のあらゆる問題が凝縮されたような国になってしまっています。今回のムクウェゲ医師の受賞で、そのなかに性暴力の問題が含まれることも明らかにされました。

独裁的な体制の国なので、かつて中国が劉暁波氏のノーベル賞受賞を快く思わなかったように、コンゴ政府はムクウェゲ医師のノーベル賞受賞をそれほど喜んではいないようです。

AFP通信の記事によると、政府の報道官は「政府はドニ・ムクウェゲ医師が非常に重要な仕事をしていることを称賛する。われわれとは意見が一致しないことも多いが」とか、「意見の不一致は、彼が自身の仕事を政治問題にしようとするたびに起きてきた。とはいえ、人道的観点からは重要な仕事であることは間違いない」といっているそうです。
どこかひっかかるようなものいいですね。

実際のところ、ムクウェゲ医師は、コンゴ政府に対して批判的であるようです。
先の記事によると、彼は、カビラ政権に対する「平和的な闘争」をコンゴ国民に呼びかけています。
今年の12月には選挙があるということで、そこで不正が行われるだろうともいったそうですが、その翌月、カビラ大統領は今年での退陣を発表したといいます。そのことをもって政府側は「ムクウェゲ医師のいったことは間違っていた」と批判しているんですが、これはどうなんでしょうね。「不正をしようとしている」と指摘されたから、それと反対に退陣表明して「ほら、あいつは間違っていただろ」といってるように見えます。
権力の側は、そういうことができてしまうんですね。なにか悪辣なことを進めていて、それを指摘されたらいったんその企みをストップして「ほら、私たちはそんなことしてませんよ。あの人のいってることは間違ってるんですよ」という……

思えば、やはりノーベル平和賞受賞者であるマララ・ユスフザイさんも、祖国パキスタンでは批判的にみられることが多いんだそうで……このあたりは、共通するものがあるのかと思います。
劉暁波にせよ、マララにせよ、今回のムクウェゲ医師にせよ、彼らの活動は結局のところ抑圧的な政府と対立することにならざるをえないわけでしょう。人道活動を突き詰め、実現しようとすれば、それは必然的に政治活動につながっていくのであって、先の報道官の批判は、つまりは「あいつは政府に批判的だから気に食わない」ということでしかありません。
預言者は石もて追われるということですね。チョムスキーさんがいってました。聖書に登場する預言者たちは、必ずしも周囲に歓迎されない。むしろ、迫害を受けて砂漠に追われる……抑圧的、独裁的な政府に批判されるということそれ自体が、彼らの活動が平和賞に値するという証明なのでしょう。

「ならず者」を振り返る

2018-10-05 15:36:42 | 過去記事
今回も、過去記事を振り返ります。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』で章題として使われているイーグルスの名曲「ならず者」(Desperado)について書いた記事です。

イーグルス「ならず者」(Desperado)

今回も、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』に出てくる曲について紹介するシリーズです。3回目は、第二章の章題になっている Desperado。いわずとしれた、屈指の名曲です......