Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

年の取り甲斐もない!

2020年07月07日 06時06分38秒 | エッセイ

「何のために年を取ったのか、分りゃせん」──自身を厳しく叱りつける。
今朝の出来事。深く反省する。

   いつものようにマイカー出勤。雨はやや強く、そのせいか道が混んでいる。
   熊本県の球磨地方は、今日も豪雨警報が出ている。
   すでに大きな被害が出ており、そこにまた追い打ちがかかる危険がある。
   大丈夫だろうか。
   近くを御笠川が流れる我が家のことも気になる。
   17年前の7月、前夜からの豪雨によりこの御笠川が氾濫、
   マンション1階の我が家も床上浸水の被害にあった。
   天気、それに御笠川の水位も常にチェックしておく必要がある。
           
そんなことを考えながら、いつもより10分余計にかかって駐車場に着いた。
「しまった」車を降りようとして突然気付いた。
マスクを忘れてきた。運転中はマスクなし、降車時に付けるのが習慣になっている。
それでバッグから取り出そうとして、忘れてきたことに気付いたのだ。
家を出た途端、忘れたことに気付くことはままある。
その場合は、すぐに取りに帰れば済む話だ。

   だが、今日は駐車場に着くまでまったく気付かなかった。
   会社は福岡市随一の繁華街・天神地区にあり、
   社内も社員が頻繁に行き来している。
   福岡市内でも再び、ぽつぽつとコロナ感染者が出てきており、
   第2波が懸念されている。ノーマスクというわけにはいくまい。

駐車場に隣接しているコンビニに飛び込んだ。
一時はマスクを手に入れることが困難だったが、今はその心配はない。
だが困った。棚にあるのはボックスの10枚入りばかりだ。
10枚は必要ない。家には備えのマスクが十分にある。
今日をしのげる1枚があればいいのだ。男性の店員さんに尋ねても
「この10枚入りだけですね」という。さて、どうしよう。

   そんなやり取りを聞いていたのだろう。
   年配の女性店員さんが寄ってきて「1枚だけ必要なんですね。
   ちょっと待っててください」そう言うと、奥へ引っ込んだ。
   間もなく出てくると、「はい、どうぞ」と言いながら
   ボックスの中から1枚だけ渡してくれたのだ。
   やれやれ助かった。
   「それで、おいくらでしょう」と聞くと、
   「結構ですよ。これは従業員用ですから。どうぞ、どうぞ」
   「いいのですか。いやー、ありがとうございます」それだけ言うと、
   そさくさと店を出、会社へと急いだ。
             
その途中だ。頭の中でこんな声がした。
「お前ねえ、『ありがとうございます』の一声で済ませてきたのか。
いったい何のために年を取ったのかね。そこはコンビニだろ。
マスク代はいらないと言われたのなら、ガムなり、飴なり、
そんなものを買ってお返しすればいいものを。そんなことにも
思いが至らないとは、年の取り甲斐もない奴よ」

     ひどくなってきた雨の中をコンビニへと引き返した。