Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

下戸同士で乾杯!

2020年07月17日 15時31分18秒 | 小話
       歓喜に胸ときめかせて……ネムノキ


A やはり一滴もダメ?
B 一滴も、というわけではないが、まあそんなもんだね。下戸です。
A 僕もそうなんだけど、体質なのかな。それとも血筋?
B 僕の場合は、はっきり血筋だな。親爺なんて酒饅頭1個でダメだったからね。
A うちは逆。母方の家系がそうで、母はもちろん、そちらの方の祖父母をはじめ
  親戚そろってそうだった。
B 夫婦というのはおかしなもので、親爺はまったくダメなのに
  母親は飲むんだよな。それも酒豪と言えるほど強かった。
  母には兄さんと弟さんがいて、うちによく遊びに来ていたんだが、
  やっぱり遅くまで飲んでね。飲めない親爺の機嫌は当然よろしくなかった。
A うちは母はダメだったが、親爺はごく普通じゃなかったかな。
    そんなに強くはなかったが、晩酌に銚子2本程度で切り上げていた。
    酒癖も悪くはなかったと思う。
           
B 互いに一方の親の血筋ということか。ところで、社会人になりたての頃は、
  やはり飲めるよう随分稽古、稽古と言うのもおかしいが、訓練したんじゃない?
A 入社した頃は、やはり先輩たちから誘われるじゃない。
  「僕、飲めないです」とは言いづらいからね。なんか断っているようで……。
  それで頑張るだけ頑張ってみたものの、トイレに駆け込むのがオチ(笑い)
B 僕なんか人事不省になったことが2度ある。
  先輩から注がれると、断れないもんな。「ええい、ままよ」とやったら、
  たちまち天井や壁がぐるぐる回り出し、そのままバッタリ。
  もちろん、その後の記憶はまったくなしだった(笑い)
A それぞれ年も取り、付き合いも多くなった。君はやはりご一緒しているの?
B 事前に「カラオケがある所」と注文しておくんだ。
  相手の方も僕が飲めないことはだいたい分かっておられるから、
  嫌だとはおっしゃらない。必要な用件が終われば、あとは歌っているね。
  相手の方は僕の歌を肴に飲んでおられる(笑い)
  そうでもしなきゃ、間がもてなくてかなわんからな。
A 僕はもっぱらノンアルコール類とウーロン茶でお付き合いしている。
  それで許してもらっているのだけど、飲み始めはともかく
  次第に調子が合わなくなってくるんだな。
  相手はアルコールでテンションが上がるのに、こちらはそうはいかない。
  何せ、ノンアルコールとウーロン茶だからな。
  場合によっては場を白けさすことにもなりかねない。気を遣うよ。
  僕も君みたいに歌がうまいといいんだが、何か中途半端でね……。
  徹底して下手なら、それで場を賑わすこともできるのだろうがね。
B お互い苦労するよな。
          
A ところで家庭ではどうなの? 僕の所は女房も飲まないんだけどね。
  だから2人だけの食事、これはパッパッと終わってしまう。
  おまけに2人の息子もからっきしダメ。
  両親の血をしっかり受け継いでいるんだ。
  それで、たまに家族が集まる正月なんか、誰も飲まないものだから、
  あっけなく終わってしまう。何だか寂しいような気がするので、
  息子たちに「お前たち、少しは飲めよ」そう言ってはみるんだが、
  両親がこうだからね。そりゃ無理だよな。
B 僕のところは女房が結構いける口なんだ。たまに1人で晩酌したりしてる。
  横で「ああビールがうまい」なんてやるものだから、
  「おい、嫌味か」と言ってやりたくなる。
  2人の娘もそこそこ飲めるようだから、母親の血なんだろう。
  先日、長女とその娘、息子、まあ要するに孫だが、
  5人で一緒に食事へ行って驚いたね。2人の孫の飲むこと、飲むこと。
  しっかり祖母ちゃんの血を受け継いでいるんだよ。
A そりゃ、頼もしい。話は変わるが、寝酒ならぬ、寝饅頭やるんだって。
B そんなことどこで聞いてくるんだよ。まあ、否定はしない。
A さすがにそれはどうかな。体に良くないだろう。
B 毎晩というわけではないからね。健康診断でも異常なし。
A でもね……。
B もう古希を過ぎているのだし、それほど無茶はしないよ。
  ご忠告、ありがたく承りました。