Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

動かぬ証拠

2020年07月30日 14時37分14秒 | エッセイ
    前にドライブレコーダーを搭載した車が停まっている。
    車体にこれ見よがしに「ドライブレコーダー搭載」のステッカー、
    それも後方も撮影中とあれば、何だか自分が監視されているようで
    あまりいい気はしない。そうじゃないと分かっていても、だ。
           
このところ、ドライブレコーダーを搭載した車がやたら多くなった。
悪質な「あおり運転」が目立ってきたからに違いない。
自分の運転ぶり、あるいは光景を撮影して楽しむ、それもあろうが、
自分があおり運転をされたら、その様子をしっかり録画しておき、
それを動かぬ証拠にしようというのが主目的なはずだ。

    運転マナーの基本は、つまるところ「思いやり」と「譲り合い」だと思う。
    さらに言えば、ドライバー同士の穏和なコミュニケーションが必要だ。
    「どうぞお先に」「ちょっと前に入れてください」などとドライバー同士が、
    運転席から相手を見ながら会話をする。そして軽く会釈し、
    時にはハザードランプを点滅させて「ありがとう」の謝意を示す。
    これなんかは、よく見かける光景だ。
            
その対極にあるのが「あおり運転」だろう。
「思いやり」「譲り合い」といったことの欠片もない。
一から十まで威嚇、恫喝である。
それだけにはとどまらない。人の命さえ奪ってしまう。

    3年前の2017年6月5日、神奈川県の新東名高速道路で
    起きた追突・死亡事故。
    これは一家4人が乗ったワゴン車が執拗なあおり運転を受け、
    挙げ句に追い越し車線に無理やり停車させられ、
    そこへ後続のトラックが追突した。
    これにより夫婦が共に死亡するという痛ましい事件だった。
    「あおり運転」の悪質さが世間に広まったのは、
    この事件が機になったと言える。

この「あおり運転」については、6月から改正道路交通法が施行され、
「あおり運転」を妨害運転罪とはっきり規定した。これには車間距離不保持、
急ブレーキ、割り込み、幅寄せ、蛇行運転など10類型が示されている。
違反すると免許取り消しとなり、さらに最大で5年以下の懲役、
または100万円以下の罰金が科せられることになった。
          
    カー用品店を覗くと、売れ筋商品の棚には、
    いまやドライブレコーダーがずらり並んでいる。
    前後は言うまでもなく、最近は360°ぐるりと撮影
    できるものまで登場している。
    いつあおられるか分からない物騒な世の中だ。
    やはり備えておくべきか。あれやこれやと品定めをしてみる。