今朝は曇り空に小雨が舞っていた。
リサイクル用の新聞紙を二束、父が集積場所に出していた。
アメリカでは百年以上の歴史のある大手証券会社が破綻したらしい。
この影響は不況と物価高の日本経済にどのように及ぶのだろうか?
「江戸」に惚れ込んだ故・杉浦日向子さんの著書を拾い読みしていた。
彼女の説く江戸庶民のライフスタイルについては、以前にも紹介した。
モノを持たない・出世しない・悩まないという「三ない主義」である。
現代日本は維新以後こういうものとは逆の方向に来てしまっている。
「疲弊した肉体と精神で、このままただ、なし崩し的に滅びていくより
は、新しい貧しさを選択したほうが私はよいと考えています。」と
杉浦さんは生前に記している。
人々が銭金にあくせくもせず、当時世界的にも大都市である江戸が
250年もの長きの間、泰平を保てたのは何故か?
その暮らしの価値観を示すキーワードとして、杉浦さんは、
「持たず」と「急がず」を挙げている。
「持たず」はモノを持たない、衣食住の家財道具を出来るだけスリムに
すること、もう一つは「コンプレックスを持たない」事であるという。
「他人をうらやむ、ひがむ、そういったコンプレックスを持たずに、
自分は自分という自信を持って日々を暮らせば、せちがらくない。
そういうことが大切なのです。」と。
「急がず」は「仕事を急がない」と「人づきあいを急がない」である。
江戸は武士と商人・職人の街だった。職人は丁寧な仕事をすることに
自分のプライドがあった。三日で出来ても六日かけてでも満足のいく
出来栄えの仕事をすることを選んだそうである。
江戸は諸国からの出入りの多い都市である。互いがよそ者の寄合世帯
であり、人付き合いには手抜きをせず、時間をかけて馴染み合い、支え
あってこそ成り立つ共同体でもあった。
江戸のルールに生国・年齢・過去や家族を相手に尋ねてはならないとい
う不文律があったそうである。そのために、人と親しくなるには時間を
要したのだろう。「人づきあいを急がない」は他にも何等か理由のある
生活の知恵だったのだろうと思われる。
現代は、仕事は常に急かされ、人との繋がりも安易で性急、人づきあい
は形式ばかりをなぞった、見え透いたものになっているように思える。
今こそ「江戸」の豊かな「貧しさ」について、生き方のモデルとして
学んでみるべきときではなかろうか。
参考文献:杉浦日向子著 筑摩書房
『うつくしく、やさしく、おろかなり 私の惚れた「江戸」』
リサイクル用の新聞紙を二束、父が集積場所に出していた。
アメリカでは百年以上の歴史のある大手証券会社が破綻したらしい。
この影響は不況と物価高の日本経済にどのように及ぶのだろうか?
「江戸」に惚れ込んだ故・杉浦日向子さんの著書を拾い読みしていた。
彼女の説く江戸庶民のライフスタイルについては、以前にも紹介した。
モノを持たない・出世しない・悩まないという「三ない主義」である。
現代日本は維新以後こういうものとは逆の方向に来てしまっている。
「疲弊した肉体と精神で、このままただ、なし崩し的に滅びていくより
は、新しい貧しさを選択したほうが私はよいと考えています。」と
杉浦さんは生前に記している。
人々が銭金にあくせくもせず、当時世界的にも大都市である江戸が
250年もの長きの間、泰平を保てたのは何故か?
その暮らしの価値観を示すキーワードとして、杉浦さんは、
「持たず」と「急がず」を挙げている。
「持たず」はモノを持たない、衣食住の家財道具を出来るだけスリムに
すること、もう一つは「コンプレックスを持たない」事であるという。
「他人をうらやむ、ひがむ、そういったコンプレックスを持たずに、
自分は自分という自信を持って日々を暮らせば、せちがらくない。
そういうことが大切なのです。」と。
「急がず」は「仕事を急がない」と「人づきあいを急がない」である。
江戸は武士と商人・職人の街だった。職人は丁寧な仕事をすることに
自分のプライドがあった。三日で出来ても六日かけてでも満足のいく
出来栄えの仕事をすることを選んだそうである。
江戸は諸国からの出入りの多い都市である。互いがよそ者の寄合世帯
であり、人付き合いには手抜きをせず、時間をかけて馴染み合い、支え
あってこそ成り立つ共同体でもあった。
江戸のルールに生国・年齢・過去や家族を相手に尋ねてはならないとい
う不文律があったそうである。そのために、人と親しくなるには時間を
要したのだろう。「人づきあいを急がない」は他にも何等か理由のある
生活の知恵だったのだろうと思われる。
現代は、仕事は常に急かされ、人との繋がりも安易で性急、人づきあい
は形式ばかりをなぞった、見え透いたものになっているように思える。
今こそ「江戸」の豊かな「貧しさ」について、生き方のモデルとして
学んでみるべきときではなかろうか。
参考文献:杉浦日向子著 筑摩書房
『うつくしく、やさしく、おろかなり 私の惚れた「江戸」』