日に一度は、実家の解体現場に足を運び、作業風景を眺めたり写真を撮
っている。作業員は大体同じ顔触れだが、一人だけ気になる人物がいる。
小柄で華奢な風体、顔がヘルメットとタオルに隠れてよく分からないが、
もしかしたら、女性? しかも若そうである。いやいくら何でも、華奢
な若い娘が解体現場の仕事をやるか? やはり男だろうと思ってた。
ある日、掘削中の現場から、産廃物が大量に出たという知らせがあり、
お昼過ぎ自転車で実家跡地に出向いた。道端に立って様子を見てたら、
黒いTシャツに作業ズボン、ヘルメットを被った件の華奢な作業員が
寄って来た。地主であることを告げ用件を伝えたら、やはりそのヒト、
若い女性だった。顔も肌もすっかり日焼けしてたが、落ち着いた印象
で人当たりの感じも良く、場違いなカワイイ声をしていた。
産廃物というので、鉄屑や機械廃棄物かと思ったら、砕石やレンガだっ
た。表面のコンクリートの下から出てくるというので、戦時中に被災し
て焼けた当時の、家と工場の残滓物なのだろうか。これを全部除去して
廃棄処理せねばならないという。土地の引き渡し、間に合うかぁ?!
ということで、産廃の追加経費も気懸かりだが、炎天下の解体現場で作
業をしている女の子も気に掛かる。中年の太ったオバサンが、建築資材
を担いでいるのなら見たことがあるが、力仕事の現場で、彼女のような
多分20代前半の細身女性は極めて珍しい。重量物の取り扱いは無理そ
うだし、ひょっとして重機とか運転するのだろうか。
夏の解体現場なんて、若くとも男の私だって敬遠するのに、彼女は何な
のだろうか。他に職がない時代でもなし、解体が特別に高給でもないし、
好きでやってるのか? 仮に親族経営の会社で、形ばかりの社員をして
月給を貰っているにしても、20代の普通の女の子が、キツイ、汚い、
危険の、解体現場には足を踏み入れないものだろうに。
今のところ、彼女は、推理仕切れない謎の女性である。
っている。作業員は大体同じ顔触れだが、一人だけ気になる人物がいる。
小柄で華奢な風体、顔がヘルメットとタオルに隠れてよく分からないが、
もしかしたら、女性? しかも若そうである。いやいくら何でも、華奢
な若い娘が解体現場の仕事をやるか? やはり男だろうと思ってた。
ある日、掘削中の現場から、産廃物が大量に出たという知らせがあり、
お昼過ぎ自転車で実家跡地に出向いた。道端に立って様子を見てたら、
黒いTシャツに作業ズボン、ヘルメットを被った件の華奢な作業員が
寄って来た。地主であることを告げ用件を伝えたら、やはりそのヒト、
若い女性だった。顔も肌もすっかり日焼けしてたが、落ち着いた印象
で人当たりの感じも良く、場違いなカワイイ声をしていた。
産廃物というので、鉄屑や機械廃棄物かと思ったら、砕石やレンガだっ
た。表面のコンクリートの下から出てくるというので、戦時中に被災し
て焼けた当時の、家と工場の残滓物なのだろうか。これを全部除去して
廃棄処理せねばならないという。土地の引き渡し、間に合うかぁ?!
ということで、産廃の追加経費も気懸かりだが、炎天下の解体現場で作
業をしている女の子も気に掛かる。中年の太ったオバサンが、建築資材
を担いでいるのなら見たことがあるが、力仕事の現場で、彼女のような
多分20代前半の細身女性は極めて珍しい。重量物の取り扱いは無理そ
うだし、ひょっとして重機とか運転するのだろうか。
夏の解体現場なんて、若くとも男の私だって敬遠するのに、彼女は何な
のだろうか。他に職がない時代でもなし、解体が特別に高給でもないし、
好きでやってるのか? 仮に親族経営の会社で、形ばかりの社員をして
月給を貰っているにしても、20代の普通の女の子が、キツイ、汚い、
危険の、解体現場には足を踏み入れないものだろうに。
今のところ、彼女は、推理仕切れない謎の女性である。