心の中に雨が降る夜
傘を差し出してくれるような一曲である。
その差し出す手付きが、
親しげで、何故か懐かしいので、
誰だったっけ?と、
闇夜に眼をこらすが、
姿はない。
傘も消えている。
気がつけば、
夜空は晴れ渡っている。
十五夜の月明かりが照り返り、
夜道は、星の雫に濡れている。
確かにさっき、
誰かを感じたんだけど…と、
ほのかな想いを残り香に、
果てのない、一人居の夜の底で、
トランペットが低く、甘く歌っている。
※「In your own sweet way」
『WORKIN’』(The Miles Davis Quintet)所収
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