脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

Frank Zappa は、バカボンのパパである。

2012年03月31日 12時06分18秒 | 音楽
フランク・ザッパ(1940~1993)の名前を初めて聞いたのは、Deep Purple
の「Smoke on the water」の歌詞によってかもしれない。ザッパは奇人・
変人のロック・ミュージシャンとも思われがちだが、R&Bや現代音楽
を素養にもち、音楽ジャンルを越境した表現者として、一部では高い
評価がされている音楽家である。

私はあまりザッパに馴染みがなかったので、デビュー・アルバム「Freak
Out!!」(1966) と 「Sheik Yerbouti」(1979) を借りて聴いてみた。
1966年といえば、ビートルズが来日した年であり、彼らの実験的音
楽アルバム『Revoler』がリリースされた年でもある。だが、ザッパの
「Freak Out!!」も、同時代のレベルを抜いて、十分に前衛的である。

(画像は、CDジャケットを写した絵だが、雑派先生は、髪を結んで少女
に扮している。バンド名の「フランク・ザッパと発明の母たち」といい、
フザケたおっさんだと思う。)

ザッパとは、一体どんな奴なのか? 
CD「フリーク・アウト!」のライナー・ノーツ(1994)で岸野雄一
というヒトがいみじくも表白している。

「クラスに一人はいないが学年には一人位いる
「流行の服は着てないけどかっこよくて、誰とも話が合わないけど
 おもしろく、先生を屁理屈で言いくるめられるほど頭のきれる問題児」
 の孤立を励ますような歌詞 」
を作って歌うような、ヒゲのおじさんがフランク・ザッパなのだろう。

CDの日本語訳の歌詞を読むと、アメリカ(国家・社会・文化文明)をこき
おろし、またAsshole がどうしたの、屁がどうのと、放送局が流したがら
ないようなことを歌にしている。(だが、ザッパのギターは素晴らしい。)

では、ザッパとは一体、音楽で何をやったヒトか?
「フリーク・アウト!」所収のもうひとつのライナー・ノーツ(1994年)
で湯浅学氏が、これまた、いみじくも述べている。

「システムと戦うことは、武力にかわる芸能力を身につけることである。
 フランク・ザッパは音楽という制度(あると思えば敢然として存在する)
 を非制度化しようとする大いなる試みを続けるうちに、自らの創造力
 が急激に高まってしまった稀有な例である。」

つまりザッパとは、音楽という芸能力で世のシステムと戦ったヒトなの
だ。制度あるいはシステムを、その外側から力で攻撃するのではなく、
内側に身を置き、冗談をやりながら内破すべく試みた御仁なのだ。

私にはザッパが、マンガ家の故・赤塚不二夫に似て想えて来る。「天才
バカボン」とか「レッツラ・ゴン」(商業価値をあざ笑うかのような)
を描いた赤塚マンガも「常識」に固まった世間や制度を、ギャグという
芸能力で撃破しようとした。

「常識」も世間の有り様も諸制度・システムも、誰か(多分、権力ある
ヒトビトの都合で) 作られた決まり事の、押し付けである。
例えば、原子力という発電システムが安全であるという「常識」、
東京都民が東電以外から電気を買えないという「制度」、
或いは、電力という近代文明システムを疑ってみたっていいのである。

フランク・ザッパは(多分)、天才バカの仲間である。
彼は、私が敬愛してやまない、(音楽界の)バカボンのパパだったのだ!





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