①からの続きです、森本千絵さんが語る「サンデーエッセイ」
代役ということではないですよね、志村さんはずっと この映画の中で生きているわけで、新たな誰を?ということで、私もすごい驚いたんですけど、沢田研二さん。
私からすると、ジュリーをきっかけに私はドリフターズを知った人間なんで、ジュリーとけんさんというと 有名な鏡コント、二人が似ていて、二人が沢山いろんなコントをすると非常に落ち着くというか、なんかすごく相性のいい二人だなと思って見ていて、それはお互いに信頼と、尊重しあう気持ちが確かにあって、それが見る私たちの心を動かしていたと思うんですけど、こういう運命だったのではないかと思ってしまうくらい、それぞれのご縁がつながっているように思います。
それで私がこの緊急事態宣言のさなか、自宅でグラフィックデザインの仕事をいつもどうり まっとうしていたんですけど、家で「沢田研二さんになるんだよ」なんて耳にした時に、何か私もデザインの形で、志村けんさんへの敬意を含めて、何かお力になれることは無いかと思って、49日に志村さんの広告を作ろうと決定しまして、企画をご提案させて頂きました。
企画というのが、映画館の中のスクリーンに 志村けんさんの笑顔が写っていて、誰も座っていない客席の中に
あなたがいたから 私でいられた
人と人が繋がれない そんな今だから
あなたの事を想います
というコピーを入れて、新聞広告であったり、ウェブサイト SNSでこのビジュアルを展開し、その思いを繋いでやりとげる覚悟ですという、これから映画撮影をしていく沢田研二さんを応援していくという形で発表しました。
本来なら会社で集まって、何度も色をプリントアウトして、新聞社の方とやりとりするのが本来のやり方なんですが、一度もそういう確認ができないまま、全部お家の机の前でコツコツやって、家に朝 送られてきた朝刊で初めて見るという、ああこんな色で出た。手作業の、良く言えばぬくもり、悪く言えば不器用なメッセージと共にお届けした、そんな広告を作らせて頂きました。
個人的には、沢田研二さんにも非常にご縁があるので、こういう形で繋がっていくのは非常に不思議で、広告のその反響も非常に大きくて、やはりコロナ感染の哀しいニュースで、今日は何人だ何人だ、皆が不安に駆られている時に、ふっと突然笑顔の志村さんのビジュアルがバーンと浮かび上がって、何だこれは いつもと違う、ふっと柔らかくなるような、皆でこの思いを忘れないという ご縁になったようです。
できることなら映画が実現して、志村さんの映画のポスターを作って見たかったと思ってみたりするんでけど、こういう形できちんと皆 前に向かっているわけで、スクリーンの中に志村さんもいると思って、改めて志村けんさんと沢田研二さんが共演しているという形で、色んなことを色んな人の気持ちを感じながら、静かに、そして楽しみに待ちたいと思います。
映画「キネマの神様」は来年公開予定です。
志村けんさんへの感謝の思いを育てながら、皆さんと一緒に観れる日を本当に心から楽しみにしています。森本千絵でした。
(アナウンサー)
アートディレクター森本千絵さんのお話でした。
志村けんさんといえば音楽を愛していた事でも知られます。
コメディアンでもあり、ミュージシャンでもあったドリフターズのけんさん。
生前好きだとおっしゃっていた曲です。
オーティスレディングで⇒「セキュリティ」
森本千絵さんといえば、幼い時にジュリーのツアーパンフの写真に登場していました。東京ステーションホテルで撮影、後ろのポーターは、父親である森本マネ。
千絵さんはこの撮影がイヤだったと、話していたように思います。ジュリーの還暦のパンフのデザインも千絵さんでした。