上野駅から国立博物館の横を通り、東京芸術大学美術館へ行く途中に東京芸術大附図書館の入り口があり、その中庭にこのロダンの青銅時代の彫刻がありました。この像は「実際の人間から型を取ったのではないか」と疑われた、ロダンが彫刻家として認められるようになった作品である。実際に目の前で見てみると、本物の裸の男が立っているような感じを与える。この作品について東京藝術大学の設立に貢献した岡倉天心が面白いことを語っている。1907年、若手彫刻家たちが岡倉天心に会見し「彫刻があまりにも売れません。何とか需要の途がつかないものでしょうか」とたずねると「諸君は売れるものをお作りになる、だから売れません。売れないものをお作りなさい、必ず売れます」と助言した。その言葉を聴いた平櫛田中(近代日本の彫刻家の中で最高の彫刻家だと私は思っています)は、弓をひきしぼる座した僧の彫刻「活人箭」を制作し、天心の批評を受ける。「あの弓と箭いりません。あんなものを附けてもじき失ってしまいます。只これだけでよろしい」と袖をまくり、左手を突出し、射る姿をされ「すーつ」と言って上半身と共に両手を左方に、矢が風を切って飛ぶ姿を示され「これでよろしい。私はフランスでロダンに会いました。偉いじいさんです。ロダンはこれをやって居ります。あんな姿では死んだ豚でも射れやしない」と語った。
この青銅時代は作った当初、槍を持っていたそうです。
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