俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

外交

2013-05-02 10:43:12 | Weblog
 日本のマスコミは日本人に受けることしか考えていないようだ。先月29日に行われた日露共同記者会見でTBSの記者がプーチン大統領に対してロシア批判を交えた質問をした。私は、これはヤバイと思った。案の定プーチン大統領は不快感を隠そうとはしなかった。
 日本人が最も知りたい北方領土について尋ねることは日本のマスコミとしては当然の義務だが、その質問にロシア批判を混ぜるべきではない。これは相手を怒らせるための質問だ。国内での馴れ合いでの記者会見しか知らないから外交の微妙さを知らないのだろう。
 国内でなら際どい質問も許されている。それが国益=国民益に適っているからだ。しかし外交の場での際どい質問は相手国の国益を損ないひいては自国の国益をも損なう。
 自国にとって有利な主張はたとえ偏っていても国内では支持される。私のように「平和条約を締結して国境が確定するまでは軍事支配が有効」と考えるのは少数派であり、決して強硬には主張しない。だから彼は自分を正義の味方だと信じ切っていた。
 ロシアにはロシアの正義がある。既に支配している領土を手放そうとすれば国民による批判は免れ得ない。プーチン大統領は敢えて火中の栗を拾おうとしている。それは領土よりも日露関係の改善のほうが長期的には国益に適うと考えているからだろう。
 国民の声があれば怖くないと思うのは偏狭な考えだ。相手国も自国民の利害を背負っている。外交が国益と国益がぶつかり合う場所だと理解していればあんな質問をすることは無かっただろう。
 一世一代の晴れ舞台だと思って張り切ったのだろうが、独善性を世界に晒すことになってしまった。多分エリート社員だろうとは思うがこんな赤っ恥を晒してしまったのだから今後どう処遇されることやら。

アンケート(2)

2013-05-02 10:41:03 | Weblog
 今日(2日)の朝日新聞のトップ記事は「96条改定『反対』54%」だった。
 4月21日付けの「アンケート」でも書いたとおり私は朝日新聞社のアンケートに作為を感じているが、今回のものはそのレベルを通り越した「嘘っぱち」であり偽った情報に基づいて国民を誤った方向へと導こうとする悪意さえ感じられる。戦前・戦中に国民を戦争へと煽った愚行を全く反省していないとしか思えない。私は「戦犯」という概念を戦勝国によるでっち上げだと考えているが、もし「戦争に導いた者」を罰するなら朝日新聞社だとさえ思っている。
 96条改定「反対」54%、の根拠になっているのはこんなアンケートだ。「衆議院や参議院の一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員が改憲の提案をするのは、問題だと思いますか。問題ではないと思いますか。」
        問題だ54(%)    問題でない38(%)
 こんなアンケートを根拠にして「96条改定『反対』54%」という1面トップの見出しにする朝日新聞社の非常識さに呆れ果てる。報道人としての良心を捨てたとしか思えない。
 「一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員」だから何を決めようとも問題だ。生活保護だろうと原発再稼動だろうとAKB総選挙だろうと全部問題だ。但し問題なのは「一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員」であってAKB総選挙が問題な訳ではない。そんなことさえ理解できないとはとても考えられない。だから作為だ。
 ここまで堕落したのだから、こんな姑息な手法など使わずに、いっそのことアンケートの集計結果を操作することを朝日新聞社にはお勧めしたい。そうすれば好きな結果を導けるだろうし、作為的な質問項目にケチを付けられることも無かろう。
 追記:憲法96条について問う別の質問があった。たまたま同じ54%だったので思い違いをしてしまった。すみません。