俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

国産品

2013-05-25 09:24:29 | Weblog
 マスコミは食品の危険を騒ぎたがる。特に賞味期限偽装や残留農薬はニュースになり易い。これは視聴者や読者のニーズに応えるためのものなので偏っている。そのせいだろうか、大切な情報が随分欠落しているように思える。
 例えば中国産の野菜の農薬には大騒ぎをするのに国産の野菜には無関心だ。日本の農家の農薬使用量は世界一であり、しかもその検査が殆んどされていないことについては報じられない。輸入野菜は検査されるから問題になるだけで検査さえされていない国産野菜は汚染し放題だ。
 7月からBSEの検査対象が生後48ヶ月超に変更されるが、生後48ヶ月以下の牛は感染していても検出できないことが以前から分かっていた。このことは殆んど報じられず、10年以上に亘って全く無意味なことをやっていた。これは「消費者の安心」のための儀式のようなものであり、科学ではなくただのお祓いだ。このお祓いの継続を求める人が決して少なくない。
 「TPPで安全な国産品が淘汰される」という主張を耳にするが、本当に安全なら淘汰されない。危険でしかも不当に高い物が淘汰されると考えるべきではないだろうか。
 もし本当に品質が良ければ高くても売れる。実際、国産の工業製品は高品質だから高額品も低額品も世界中に輸出されている。一方、国産の農産品は高くて低品質だからリンゴ以外は殆んど輸出されていない。
 国産品が安全というのは工業製品から連想された神話に過ぎない。輸入品のトラブルを針小棒大に騒いでいるから、相対的に安全だと思い込んでいるだけだ。

休火山

2013-05-25 08:57:12 | Weblog
 私が子供の頃、富士山は休火山だと教わった。今では休火山も死火山も死語になっている。活火山と区別が付かないかららしい。
 活断層という言葉も早急に死語にすべきだろう。国民に不必要な不安を持たせるだけだ。そもそも定義でさえいい加減だ。従来「13~12万年前以降にできた断層」だったものが今年の1月に突然「40万年前以降」に変更された。12万年前にせよ40万年前にせよ、何ら学術的な根拠の無い恣意的なものだ。
 4月に淡路島で震度6弱の地震が起こった時には、呆れたことに「未知の活断層が動いた」と発表した。実際には「新しい断層ができた」のだろうがそれを認めれば活断層が震源になると騒げなくなるから「未知の活断層があった」ということにしたいのだろう。
 阪神大震災が起こった1995年から昨年までに、地震調査研究に3,600億円が投じられたと言う。これだけの研究費を使いながら東日本大震災を全く予測できなかったことについて何の釈明も無く、誰も責任を問われない。これではただの金喰い虫だ。
 12万年前だろうと40万年前だろうと100万年前だろうと、所詮50歩100歩の議論だ。定義を弄んでいる暇など無い。どうせ分からないのなら火山の定義と同様、ただの「断層」と呼ぶべきだろう。分からないことを「分からない」と認めるのが科学であり、分からないことを「分かる」と主張して事実を歪めてまで金儲けに利用するのは詐欺にも等しい。